ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『プリズム』『御庭番耳目抄本』『この世の喜びよ』

2024-06-15 21:48:05 | 
『プリズム』 貫井徳郎 創元推理文庫
 小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが……。万華鏡の如く変化する事件の様相、幾重にも繰り返される推理の構築と崩壊。
 推理によって怪しいとされる人物。次の章では、怪しいとされた人物の推理でさらに怪しい人が浮かび上がる。犯人らしき人のリレーで最後にある推理が示されるのだが。これが辛くて気持ち悪い。シーン4から1に戻ると1で読んだ風景がまたガラリと変わる。
 でも、おもしろくてグイグイと読んだ。
 この本の構成のネタとなった『毒入りチョコレート事件』(アントニー・バークリー)を読んでみたくなった。
 
『御庭番耳目抄』 村木嵐 幻冬舎
 青名半四郎。又の名を、万里。徳川吉宗・家重の将軍二代に仕えた御庭番は、江戸城の深奥で、何を見、何を聞いたのか?隠密秘話に胸熱くなる、『まいまいつぶろ』完結編。
 アナザーストーリーというだけあって、別の一面から見た話。「寵臣の妻」では、涙がとまらなかった。シンプルによかった。
 『まいまいつぶろ』を読み返したくなった。

『この世の喜びよ』 井戸川射子 講談社
 娘たちが幼い頃、よく一緒に過ごした近所のショッピングセンター。その喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼びさましていく芥川賞受賞作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。
 芥川賞受賞作は読んでたんだな。でも、読み返して、二度目に読んだ方がいいと思った。いいんだよ、そのままでと言われている気がした。
 子が大きくなった母の気持ちが描かれている気がした。そしたら、作家はまさかの87年生まれの若い人で、若くてこんな気持ちを描くことができるなんて、さすが作家だと思った。
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