ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『まいまいつぶろ』『生きる演技』

2024-03-11 16:20:07 | 
『まいまいつぶろ』 村木嵐 幻冬舎
 口がまわらず、誰にも言葉が届かない。歩いた後には尿を引きずった跡が残るため、まいまいつぶろ(カタツムリ)と呼ばれ蔑まれた君主がいた。常に側に控えるのは、ただ一人、彼の言葉を解する何の後ろ盾もない小姓・兵庫。だが、兵庫の口を経て伝わる声は本当に主のものなのか。将軍の座は優秀な弟が継ぐべきではないか。疑義を抱く老中らの企みが、二人を襲う。麻痺を抱え廃嫡を噂されていた若君は、いかにして将軍になったのか。
 舘様の出演している「大奥」を見て興味を持つ。酒と女色におぼれた、頻尿の将軍と思っていたが。本を読んで全然違うと思った。立場立場で解釈が違うのだろうな。
 頭では全て理解しているのに伝わらないもどかしさ。それが兵庫の口を得て、どんなにうれしかっただろうか。当たり前にように思っていたが、意志が伝わるという嬉しさに胸をつかれた。
 兵庫の口に徹する献身にも心を打たれた。
 また、正室比宮への家重の心遣い。始めは嫌がっていた比宮も家重の気持ちを理解していくエピソードは、感動的だった。
 
『生きる演技』 町屋良平
 本心を隠した元「天才」子役・生崎(きざき)と、空気の読めない「炎上系」俳優・笹岡(ささおか)。性格は真逆だが、同じように親を憎み、家族を呪い、そして「家族を大事に」というこの国が許せない。互いの本音を演じあうふたりはどこへ向かうのか――?
 ちょっと難解というか、頭を使う。結構、深い物語。ヒロケンって誰の事だ?
 私たちは、期待される姿を演じて生きているのかもしれない。しかし、それがもし家や国によって巧妙に普通の人間を演じることを強制されているのだとしたら?人の作った物語の中で生きている方が楽で居やすい。そして、流されたら大変なことにならないか?
 「おもしろいは暴力だ。なぜ、おもしろくないといけない?」「家や国って人を守らないんだって。隠すんだなって」「現実は地味でつまらない」など心に刺さる言葉も多いが、深すぎて消化不良。あれこれ引っかかるが、理解が追い付かない。サラっと理解できる頭がほしい。

コメント
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