ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『世界にちりばめられて』

2019-04-05 15:19:24 | 
 大変だ。今日、図書館へ予約している本を受け取りに行ったら、5冊もあった。1冊のはずだが、今日4冊届いたのこと。
『面白南極料理人』『うつ病九段』『ノモレ』『不在』『TIMELESS』『最初の悪い男』『嘘の木』『かくれ里』さらに『イタリアの詩人たち』『魔眼の匣の殺人』う~ん、睡眠時間を削って読むしかないか。

『地球にちりばめられて』 多和田葉子 講談社
 留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る―。
 近未来の社会。Hirukoの故郷・日本は、原発事故かなにかで消滅してしまったようだ。言語が違ってもスカンジナビアの人ならば聞けばだいたい意味が理解できる人工語「パンスカ」を作ったHiruko。男女の垣根を超えるアカッシュ。国境を越えるナヌーク。彼らの間には、英語、ドイツ語、パンスカ、デンマーク語、日本語が飛び交う。彼らは、言語以外にも自由にさまざまな壁を越えようとしているのだろうか。
 Susanooは、故郷を輝かせていたが今はなくなった産業をロボットで再現する故郷PRセンターに疑問を感じ始める。どうして、人ではなくロボットが説明するのか。ロボットに嘘をつかせて、張本人の政治家や科学者は責任を逃れているのではないか。Hirukoは、便利だからと軽々しく「縁」を口にしていたら、言葉に踊らされてしまうことになってしまうと思っている。言語って、いったいなんなのだろう。
 そして、5人の登場人物の名前。Hirukoは、イザナギとイザナミが結婚してできた子どもで不具だったので葦の舟に乗せて流して捨てた子・蛭子。Susanooは、高天の原で乱暴をしでかして、高天の原を追放され、下界に下りてきた須佐之男命。ノラはイプセンの「人形の家」で家出をするノラ?野良猫のノラとも読める。いずれも、ホームから飛び出した者たちだ。(アカッシュとナヌークの意味は、わからなかったが)ちなみに、クヌートの語源は、結び目らしい。みんなをつなげる役目にふさわしいではないか。
 深い言葉の海に溺れそうな私だ。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする