ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『真実の10メートル手前』『無私の日本人』

2016-11-11 20:04:06 | 
 父が軽い脳梗塞になる。なんでも、かかとがぶ厚くなった気がしたらしい。もうその時には、麻痺の前駆症状みたいな感じで、感覚がおかしくなっていたのかも。かかりつけの医者に行くと、すぐ救急車で大きな病院に運ばれる。MRIを撮ると、小さな詰まりかけがあり、すぐ治療をして、後遺症もなく一週間で退院。よかった。

『真実の10メートル手前』 米澤穂積 東京創元社
 『王とサーカス』で活躍したジャーナリスト、太刀洗万智の短編集。
 短編集なので『王とサーカス』より読みやすいと思った。太刀洗万智の推理が冴え、そっけなさの中に人間味が宿る。私は、『恋累心中』『名を刻む死』『綱渡りの成功例』がいいと思った。

『無私の日本人』 磯田道史 文藝春秋
 所収の短編「穀田屋十三郎」を原作に映画化(「殿、利息でござる! 」)
 他人と競争することが多い現代社会。日本にはそれと違う深い哲学があり、無名の江戸人にもその哲学が宿っていた。作者はあとがきで日本にとって怖いのは隣国より貧しくなることではなく、日本人の心根が失われることだと言う。本当に大きな人間とは、偉くならくても金を儲けなくても、濁ったものを清らかにかえる浄化の力を宿らせた人だと作者は言う。そこで、穀田屋十三郎、中根東里、大田垣蓮月の無欲で謙虚な一生を描いた。あとがきの言葉がすべてを語っていると思う。少しでも自分が楽して得しようとする現代の風潮の中、回りの人の幸せを考え与え続ける人たちの姿には頭が下がる。せめて自分は謙虚でありたいと思った・・・。
コメント
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