ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『戦場のコックたち』『いとの森の家』

2016-02-09 21:52:25 | 
今日は、昼前後にヒョウが降った。すごい風で驚いた。

インフルエンザが流行っている。小学校で学級閉鎖が相次いでいる。うがい、手洗いをきちんとしようっと。


『戦場のコックたち』 深緑野分 東京創元社
 19歳のティムは、料理好きの祖母の影響で戦場でのコック兵となる。一晩で忽然と消えた600箱の粉末卵の謎、不要となったパラシュートをかき集める兵士の目的、聖夜の雪原をさまよう幽霊兵士の正体……。ティムは、戦いの合間に、かけがえのない仲間とともに謎解きをしていく。
 日本人が書いた日本人が出てこない小説。しかし、翻訳本を読んでいるようで違和感がない。戦場でおこるミステリという感じでおもしろかった。特に、最後は「えっ!」と驚いた。しかし、人がどんどん死んでいく話はあまり好きではない。

『いとの森の家』 東直子 ポプラ社
 福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。そこで、加奈子は死刑囚の慰問へ行くおハルさんというおばあさんに出会う。おハルさんから、さまざまな話を聞き、加奈子は命について考えるようになる。
 たった一年の森での暮らしが鮮やかに描かれている。きっと、自分の人生で忘れることのできない濃密な、宝物のような一年だ。そして、おハルさんとの関係がいい。優しげで魅力的なおハルさんだが、彼女はたくさんの命や心を踏みつけてきたと言う。アメリカへの移民で戦時中は収容所暮らしをしていたと推測できるおハルさんの言葉は重い。知らない土地に行ってうまくやるコツについて「自分に与えられた時間の中で、今自分にできることを、せいいっぱいやって、なにがあってもにこにこしていること。人が見ていても、見てなくても、かっこ悪くても、苦しくても、寂しくても、ただただできることをして、にこにこしているの」 本に出てくる死刑囚の俳句もずっしりと心にしみる。おハルさんの「あなたには残酷なことが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」という言葉をすべての子供たちに贈りたい。児童書ではあるが、大人も十分読み応えのある本。私はこの本が好きです。
コメント
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