ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

「明日の子供たち」

2015-04-24 14:12:54 | 
「明日の子供たち」有川浩 幻冬舎 
児童養護施設を舞台に繰り広げられるお話。
「施設に入っているから かわいそうとは限らない」の一言で私の思い込みが砕かれました。施設に入れば、布団でゆっくり寝られて、朝晩とご飯が出て、おやつももらえて、学校に生かせてくれるから幸せだというのです。
しかし、問題は施設を出てからです。たとえば、冠婚葬祭などで「お包み、いくらしたらいい?」と聞く時、普通ならば親に聞きます。でも、それを聞く大人がいないというのです。そこで、退所後にも気軽に相談できる支援センターが必要になってくる・・・。といろいろ考えさせられる一冊です。
イノっちとアッコちゃんのお話は、胸をしめつけられ、ほろりとしました。
施設の中でおこる問題を乗り越えようとする子どもたち。そして、子どものことを考え、悩みながら支えていこうとする大人たち。さわやかな読後感です。怖いドロドロがありませんので、怖がりさんにも読めますよ。

福原先生は「本を読むことは素敵なことよ。みんな、自分の人生は一回だけなのに、本を読んだら、本の中にいる人の人生もたくさん見せてもらえるでしょ」と言います。
それに対して久志くんは、本を読むと「物知りになれる」「いろんな価値観を知ることができる」と答えます。
先生は「本を読んでよかった、と思うことがあったら、それが全部正解なの」と本によって救われたエピソードを話します。「他人の人生を読んで経験することが、自分の人生の訓練になってることがあるんじゃないかって。踏み外そうなときに、本で読んだ言葉が助けてくれたりとか・・・」そして、「楽しく読んだものは、全部自分の糧になるわ」と。
これを聞いて久志くんは、本が好きな自分は大丈夫だと思います。
この場面、いいなあと思います。

コメント
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