まあ…全然、韓国ネタじゃないです。最初に。
子供の頃、近所に正(しょう)ちゃんという子が住んでました。
正ちゃんは私よりいっこ上でした。
正ちゃんが小学校一年生で、
私が幼稚園の年長さんの頃でした…
ある日の午後、
私は正ちゃんから「カッちょいいもの」を教わりました。
それは、「バーぅろーぅっ!」でした。
「バーぅろーぅっ!」は当時、正ちゃんが覚えたて(多分)の「カッコいいもの」でした。
どこから覚えたのでしょうか。
きっとテレビで任侠モノの映画かなんか見たんでしょうか…
「バーロー!」…と普通に言うのはすっごい普通なのですが、
「ロー」の発音のときに舌を巻き、息を強く出して「レロレロ」と鳴らしながら、
「バーぅろーぅっ!」…とやるのです。
正直、それがカッコいいものなのかは私には分かりませんでした。
だけど正ちゃんが、「カッチョいい」と言っていたので、
そういうものなんだと思って聞いていました。
その日、正ちゃんは先ず、
「バーぅろーぅっ!」の理論だけを私に教えてくれました。
「こうやってベロを… 『ろ』のときに力入れて…」
私は嬉々として真摯な姿勢で教えてくれる正ちゃんに、
「こんなに丁寧に教えてくれるなんて…」、と感謝にも似た感情が湧いていました。
声にドスを利かせながら(…ってまあ、小1の声にドスも何もないっつー)、
「バーぅろーぅっ!」をやる正ちゃんに、
私は何やら「大人の魅力」みたいなものを感じ始めました。
やっぱ男も小学校上がると違うな…
…とか子供心に感心しました。
私は家に帰ると早速、「バーぅろーぅっ!」の練習しました。
やってみたら以外にも簡単にマスター出来ました。
出来た…!
私は、「これで俺も一人前の男だぜ…フッ」みたいな爽快感というか、
達成感のようなものにひたりながら心の中で正ちゃんに感謝しました。
(でもどこで使うんだ?そんなモン)
学年が上がるにつれ、
正ちゃんが知恵遅れの子だとだんだん分かって行きました。
5年生か6年生くらいになった頃だと思います。
友人たちと遊んでると正ちゃんが来ました。
友人たちは、「バカが来たー」とからかい始めました。
正ちゃんは、「バカというヤツがバカなんだー」みたいに応戦しました。
私は友人たちの仲間になることなど出来ず、
かと言って正ちゃんを助けることも出来ず少し離れたところで立ちすくんでいました。
どうすべきなのか、どうしたいのかも分からず…
中学校にあがる頃になると正ちゃんを見かけなくなりました。
引っ越したという噂をかなりあとで両親から聞きました。
いつしか私は正ちゃんのことを忘れて行きました。
まあ、にがい思い出というか…
痛い思い出というか…
ずっと忘れてたのに何故か思い出しちゃって…で、
なんか書きたくなっちゃったんです。
ま、最初は、「バーロー」ネタで笑い取るために書き始めたんですが、
途中からセンチメンタル入っちゃいました。
年取るとダメですね。
正ちゃん、まだ生きてんのかなー