あんまり暗い話題には触れないようにしてるのですが、
この間、ソウルで起きた簡易宿泊施設での無差別殺人事件。
…に関してはあまりコメントしたくねー!な訳ですが、
惨劇の舞台になった「簡易宿泊施設」について今日は少しお話を…
そもそもは学生や受験生などがこもって勉強する、
コウシウォン(고시원)と呼ばれる図書館の閲覧室みたいな施設でした。
机がひとつひとつ仕切りによって区切られた小さな部屋のような空間。
それがだんだん地方から上京した受験生たちがそこにそのまま泊まるようになり、
それに対応して食事する施設やトイレやなんかがいろいろと整って来て、
ついにはカプセル・ホテル(形態は全然違うけど)みたいな施設に発展した訳です。
近年はその使用料の安さから、
外国人労働者やあまりお金のない人たちの住家としても利用されてるようです。
昔、若かった頃に偶然に地方からの受験生と知り合いになりました。
彼が宿としていた場所がコウシウォンでした。
何度か遊びに行く機会があったのですが、
当時はまだ今のようにホテルライクな施設ではなく、
部屋と言うにはあまりにも悲惨な場所でした。
一畳くらいの空間に机がひとつ。
入り口はカーテンひとつで仕切られてました。
「仕切り」と言った方が似つかわしい壁。
当然、隣や向かいの人の身動きする音から何まで筒抜けです。
学生たちは皆、深夜まで勉強をして疲れたらそのまま椅子をどけて、
布団をしいて机の下にもぐり込むように寝ていた訳です。
靴を脱いで入るようなコージーな空間ではありません。
ビルのオフィスの床…靴で歩き回るその床に、
直接、薄い布団をしいて寝るのを想像してみてください。
今はもう韓国になれた私ですが、
当時、その光景をみて衝撃を受けました。
「こんなところで、こんな風に暮らしてる人たちがいる…」
しかも皆、高校を出たばかりの十八、九の子供たちです。
女の子も沢山見かけました。
寝る、というよりは、ちょっとごろ寝するという感じ。
お腹がすいたらカップラーメンや近くにいっぱいある露天食で済ませる…
凄まじい世界でした。
当時の私には。
「やっぱ先進国とは違う…」
だけど彼らにはあたりまえの世界です。
「つらくないの?」…こんな質問を何度かしてみましたが、
彼らにとっては浪人してることが親に申し訳なく、
「勉強させてもらってるだけでも感謝だ」…みたいなことを言っていました。
不平も言わずあたりまえにその生活を送ってました。
最近のコウシウォンはサイトで見る限りはそうでもないみたいです。
なんか小奇麗に整理されてそれなりに人間らしい生活空間ぽく見えます。
今回、犠牲者になった女の子たちも受験生だったのでしょうか…。
あまりにも悲し過ぎます。
くっそー、いい社会みんなで作ろうぜ!