浜名史学

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重要文化財が売られる?

2024-05-30 09:02:17 | 社会

 今朝この記事を読んで驚いた。こんなことがあっていいはずはない。何とか売らずに済む方法はないものか。

 『中日新聞』の記事。写真を除いて、全部を貼り付ける。

重要文化財がなぜオークションに? 春日井の密蔵院、区画整理で泣く泣く…

14世紀に創建された愛知県春日井市熊野町の天台宗寺院の密蔵院が、国の重要文化財(重文)の建造物「多宝塔」の売却を検討していることがわかった。周辺の土地区画整理事業に伴う多額の清算金を求められるなど、寺を維持する資金面で困窮。オークションへの出品を有力な選択肢の一つとして考えている。

重文の売却を巡って文化財保護法は、正式な売買契約の前に買い主や予定額などを国に申し出ることを義務付け、買い主や管理体制に問題があると判断すれば国が同額で買い取ることを定める。問題なければ売買は可能だが、文化庁によると、過去に重文の建造物がオークションに出品された例はないという。
 密蔵院の境内中央にある高さ16・5メートルの多宝塔は、室町時代初頭に建てられたとされる。二重塔に見えるが、実は屋根がある一重塔にひさしを付けた構造。薄くはいだ木片を重ねる「こけら葺(ぶ)き」の屋根のそりが、各地の多宝塔に比べて急なのが特徴で、1920(大正9)年に国の重文に指定された。

◆3800万円要求「払うお金なんて…」

 男性住職(76)によると、売却を検討するきっかけは、2010年に始まった地元の区画整理事業。事業組合側への一部土地の拠出を求められたが、神聖な境内の土地を削ることはできず、昨年3月、代わりに清算金8300万円を要求されたという。
 交渉で3800万円に減額されたが、それでも「とても払うお金なんてない」と住職は嘆く。春日井市にも相談したが、助け舟は得られていない。

◆檀家を持たない密蔵院、乏しい収入

 密蔵院はもともと僧を養成するための寺で、檀家(だんか)を持たない。近年、周辺の寺が閉じる際に引き受けた檀家が29軒あるが、収入の柱にはならない。保有する土地の一部を貸すことで収入を確保し、なんとか固定資産税など年間の税金200万~300万円の支払いを賄っている。
 収入が乏しい上、多宝塔をはじめとする多くの文化財の維持管理にも費用がかかる。自身は01年、天台宗総本山の比叡山延暦寺(滋賀県)から派遣されて住職に就いたといい「独身だからやっていけるだろうと白羽の矢がたった」と自嘲する。生活は、自らの年金が支えだ。
 清算金の支払期限は区画整理事業が終了する2029年度の予定。時間的な猶予はあるが、「寺の現状を考えれば、いつまでたってもそんな大金をつくれるはずがない。売り払うしか方法はない」。海外の富豪などの目に留まりやすいサザビーズなど著名なオークションのほか、手軽なインターネットオークションなども検討している。売却後、多宝塔を移築するかどうかは購入者の判断に任せるつもりだという。
 (多園尚樹、長谷川和華)

 密蔵院 正式名は医王山薬師寺密蔵院。1328(嘉暦=かりゃく=3)年、岐阜県御嵩町の寺から移ってきた慈妙上人(じみょうしょうにん)が開いた。栄西が創始した密教「葉上(ようじょう)流」を伝え、ここで修行した僧が開いた末寺は全国700カ所に達したとされる。織田信長の比叡山焼き打ちの影響もあり戦国時代末期に衰退したが、江戸時代初期に尾張藩の支援で再興。多宝塔と本尊の木造薬師如来立像が国の重要文化財に指定されているほか、愛知県や春日井市指定の文化財が絵画や工芸品など計27件ある。

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