浜菊会のブログ

半泣き老狼団。一道民が生き抜く為の記録。

司法試験の例題~容疑者Xの収賄は成立するや否や

2019-11-02 10:12:42 | 政治
全くの法学素人が刑法の基礎知識を知らずに、予想問題を考えてみたよw模範解答の作成は各自にお願いしたい。


Xは、法に定めのない政府会議の委員の一人である。元々Xは複数団体を主宰しており、それぞれの役員でもある。
長年の友人Yは、Xと親密な関係にある。

Yは、Xの主催する政治団体の会計責任者を担っていた。後述するYが代表取締役の法人Z社の東京出張所の所在は、Xが営業や活動しているNPO法人、株式会社や政治団体と全く同じマンションの一室であり、使用する電話番号も共用していた。

AはYの知人で、ある時Aが所属する法人において新規事業構想が持ち上がり、実現には行政が定める規制基準をクリアする必要があったが、それは極めて困難であることが予想された。その事をYに相談した所、有力な行政へのパイプがあるXと昵懇の間柄であるこおとや、専門的に相談できるとYに言われたこともあり、AはXとの面会を希望した。


当初AはYから聞いた話は半信半疑であったものの、Xと面会した際、本省役人BがXと連れ立って訪れた為、Yの説明を信頼するに十分であるとの認識を抱いた。その後、行政への申請について、Aの所属法人に代わり、Yらが代理申請をするという業務の請負の提案があった。XはAに対し度々Yが同席の下で面談し、制度活用のメリット等を説明するなど、Yとの契約によって有利に進むであろう期待を抱かせるに至った。

Aの所属法人は、Xがいれば新規事業の実現に有利となるだろうことを期待し、遂にYとの契約をした。

YはXと共謀し、Xが何らかの罪に問われぬよう、新たに法人Z社をYが設立し、形式的にZ社への支払のみとすることで、見かけ上はX自身は金銭の収受が存在しなくなるよう準備した。


AはYが設立した法人Z社に200万円を払った。Yが受け取った200万円はZ社の売上となり、後刻Z社の東京出張所をXの団体と同一の所在地に置くことで、Z社からXへの主催団体への家賃支払いや顧問料、寄付などの名目で、資金がXの下に還流された。たとえ金銭を受け取ったとしても、あくまでそれぞれの団体でありX個人ではない、との体裁を維持する為に複数団体を使い分けていた。


その後、Xは政府会議でAの所属法人の事業について、推進するよう進言した。またXは旧知の間柄だった非常勤公務員Tに対し、Z社の存在につきどんどん宣伝・推進をお願いしたい旨を告げた。

非常勤国家公務員Tは、政府重要会議の民間議員であり、非常勤ながら国家公務員であると共に政府内でも影響力が行使できる有力な立場にあった。Xはそこに目をつけ、Tに対しAの提案事業やZ社の報告等していた。

この数日後、Tは実際に政府重要会議の席上で、具体的にZ社の社名と活動を挙げて説明をした。また同会議における民間議員の提案事項の一つに、Aの事業について記載をしていた。


ここで問題。

本件は収賄罪の適用如何?

・Xは非公務員との立場であるが、事実上国家公務員と同等の業務を実施していた場合、公務員に準じ収賄罪の立件を考慮できるか?

・Xの働きかけによって非常勤国家公務員TがAの提案事業やZ社を殊更取り上げたのは、職務上の不正行為に該当するか?

・XとYの共謀の事実、収受した金銭の使途や還流先を解明できない場合、立件は可能か?



(収賄罪は公務員による犯罪なので、政府会議の一委員でしかない民間人では成立しないのは当然とはいえ、実態として国家公務員の事務局以上に深く関与していたXの言動が問題視されるのは当然であろう。)



1 コメント

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試験向きの事例ではない。 (舶匝(@online_checker))
2020-09-12 18:16:46
職務行為や職務密接関連行為の意義が絡むものの、法的問題よりは事実関係の整理が主。
なので、試験向きの事例ではない。

ちなみに、当方の「師匠その一」はかつて、贈収賄(事実認定は軽め)に背任や横領を絡めた問題を期末試験に出していた。
また、当方の「師匠その二」(「師匠その一」の師匠)は、職務密接関連行為は職務行為の一部である、という結論を導いている(刑法各論のテキストには必ず載っています)。

それから、審議会委員は非常勤公務員、収賄は難なく成立しえます。
……あと、実例から出すことは、とても良いことです

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