浜菊会のブログ

半泣き老狼団。一道民が生き抜く為の記録。

国家戦略特区ワーキンググループ 原英史座長代理による名誉毀損事件について

2020-09-17 02:31:44 | 政治
あまり詳しく知らないが、毎日新聞社が提訴された事件のようである。
>https://mainichi.jp/articles/20190704/ddm/012/040/099000c


19年6月頃に毎日新聞の報道があり、その後国家戦略特区のHPのトップページに諮問会議やワーキンググループの有志一同の名前で反論が掲載されていた。


民事事件であるので、一般的な名誉毀損裁判の判例が多いと思うので、その線で判断がされるであろう。


以下、次のように記載する。

毎日新聞社:被告または毎日新聞
原英史座長代理:原告または原
国家戦略特区諮問会議:特区諮問会議
国家戦略特区ワーキンググループ:WG
特区ビジネスコンサルティング:特区ビズ社
内閣府官僚 藤原(当時):担当官僚
土日夜間議会改革:政治団体
特区ビズ社に依頼した学校法人:学校法人



新聞記事の性質から見て、公共性及び公益性の立論は容易であろう。おそらく原告側もその点は争ってはこないだろう。残るは真実性の要件であるが、報道内容に虚偽が書かれていたかどうかは、双方の主張を見たことがないので分からない。


19年当時の当方の見た範囲においては、原が直接金銭を受け取ったとは読めなかった。その上で、どうなのかは考えたことは勿論、ある。

また、原に直接インタビューし、原自身の反論(説明)を掲載したのも毎日新聞だったのでは?それでもなお、名誉毀損の要件を満たすということなのか。


インタビュー記事で、原は複数回にわたり学校法人に直接指導したり助言したことを認めていたのでは?
また、14年11月に原と参事官が、ある飲食店で学校法人副理事長及び特区ビズ社社長と会ったことについても、認めていたのでしょう?


真実性の立論は被告にしかできないので、それとは別に疑問点などを書いてみる。


ア)WGとは何なのか?

特区諮問会議の民間議員は法に定めのある公務員であろう。だが、内閣府の説明だとWGは単なる民間人のようだ。

例の問題になった「JALタスクフォース」とよく似ている。大臣の私的諮問組織であれば、根拠法がないし公務員でもないし権限も特に有してはいないはずである。あくまで建前上は、だ。

しかし、加計学園獣医学部の決定過程で見れば、実質的に大臣に進言できる立場にあったことが明らかになっており、次のステップ(特区諮問会議)に進められる役割を担っていただろう。


具体的な役割は次のようになっていた。

>https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8218780/www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/dai1/siryou4.pdf

1)国家戦略特区のコンセプト・制度設計
2)対象とする具体的なプロジェクト・規制改革項目の選定
3)対象地域の選定基準

※上記の議論を進めるに当たり、必要に応じ、ヒアリングを実施することとする。


WGの権限について疑義が生じた後、内閣府は選定には無関係である、との答弁を繰り返したが、それは事後的に言い訳に用いたものであり、上記資料や以前の国家戦略特区のHP上での説明でも「選定」と書かれていたことは明らかだった。

一方、国家戦略特区側の反論では、「非公式の打ち合わせ」や「省庁との折衝」が役割として書かれていた。そのような機能が何によって裏付けされているのかは全く不明であり、法的根拠もなければ権限の根拠さえも不透明なままである。


『毎日新聞社の国家戦略特区を巡る報道への抗議』
2019年7月17日
>https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/190717_kougi.pdf


規制改革項目へのメニュー追加は、WGから諮問会議に上げられてくるもの、というのが通例だろう。その権限を有していた、と言えるだろう。


イ)WG委員は私人

10月頃に持ち上がった情報漏洩騒動があったが、その時に北村大臣の国会答弁において、原が私人だということで内閣府は秘密漏洩に関与せず、との事だった。


御質問にありましたとおり、十月十一日金曜日の十九時過ぎに、森ゆうこ議員から内閣府事務局に対し、原英史国家戦略特区ワーキンググループ座長代理に対する参考人招致の要請と質問通告があったとお聞きしております。これを受けて、二十時ごろに、事務局より原氏に対して当該参考人招致の要請を伝えるとともに、その諾否につきまして判断を求めるため、質問通告の内容を送付いたしたと聞いております。
 原氏が受け取った質問通告の内容を確認したところ、その中に嘉悦大学に関する項目があったことから、原氏自身の判断により、必要な事実確認を行うため、嘉悦大学教授の高橋洋一氏に対し、質問通告の資料は渡さずに、電話とメールで連絡を行ったということであります。
 本件は、森議員からの質問通告を受け取った原氏が、私人としての判断で高橋洋一氏に連絡したものであり、本件について、参考人招致の要請を受けた原氏以外の第三者である高橋氏に、内閣府から直接接触をしたり情報を渡したりした事実はないと承知いたしております。
 このため、本件について、内閣府から通告内容が漏えいしたという事実はないというふうに私としては確認をいたしました。

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かような私人が、どういうわけか規制省庁と折衝するだの、極秘の打ち合わせをするだの、担当大臣に意見したり特区諮問会議に話を通す等の権限が与えられているのかは、謎であった。

それとは別に、委員単独の行動はあくまで私人であって、WG委員としての立場はとれないということを、内閣府大臣が認めたと言ってよいだろう。


ウ)原が学校法人に対し助言した行為は何か

まず、内規ではどうなのか、というと、WGは座長が招集し(2条)、過半数の出席で成立(3条)する。

運営要領

>https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8218780/www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/dai3/sankou2.pdf


つまり、WG委員の単独での開催は不可能であり、一人しかいない状態でのWGというのは、前項で見た通りただの「私人」である。WGとしての活動は、個人単独では成立しないのだ。


すると、原が一人で提案者と打ち合わせをしたり、指導や助言をしている行為は何なのか?

少なくともWGの活動ではないはずである。何故なら、座長招集で過半数が出席の要件を満たさないからである。

省庁のヒアリングとか規制内容の調査などであれば、少人数での実施で済ませてきたのかもしれない。相手が国家公務員であるし、開催場所が役所の中で実施されるだろうから。
原則からは逸脱しており、ただの私人が妙に権力を振りかざしているようではある。


問題は、ただの私人が役所内の会議室ではない場所で、WGの肩書を使って業務をしてよいのか、ということである。
国家戦略特区側の抗議文を見る限り、私人が好き勝手に日本全国でWGの名前を使って仕事をしてもよい、これが本務だと言っているようだ。原の行動を擁護しているのだから、そうなるだろう。極めて異常な事態だとしか思えないが。


エ)担当官僚は何故一緒に料理店に行ったのか?

この点が謎なのである。福岡での会議に出て、東京に帰る飛行機の時間があるので、10分程度だけ、みたいな話なのであれば、官僚が店に行く意味はないように思えるが。

担当官僚は、特区ビズ社と関係なく、学校法人とも面識がないのに、何故「原が行くから一緒に行く」ことになるのであろうか?

飛行機の時間を気にしてたのなら、自分は先に空港に行けばよいのでは?原と共に行動しなければならなかった特別な理由でもあったのか?友人に会いに行くわけでもないのだし、別行動が普通の対応だとしか思えないが。一緒に行くように原が頼んだとすると、それは何故なのか?

担当官僚の行動自体が不自然である。

一般的には、本省の偉い人が来ると「箔が付く」的な印象を与えるかな、と。一緒に行くことを頼んだのであれば、WG委員としての立場を利用した可能性がある。


オ)特区ビズ社は14年11月当時、存在してないのでは?

原の主宰する政治団体と特区ビズ社の東京事務所が同じマンションの一室だったことや、双方の業務の一部を同じスタッフが行っていたことなどは、原自身が毎日新聞の取材に認めた事実だったのでしょう?

で、特区ビズ社は登記日が15年1月15日(本社は福岡)で、提案日が翌日の16日だったことも事実ですよね?

内閣府はヒアリング日時をどこに連絡することができたのか?通常、事前連絡しないと不可能でしょう?提案者が特区ビズ社だと認識したのはいつからか?

会社が存在してたのはいつからか?
それはどういう名称だったのか?

金銭授受がなくても、役務の提供等で何等かの見返りが発生していたらそれが問題になるので、特別な関係にあることが疑われるような行為は慎むのが普通では。

大きなオフィスフロアではなく、広さが200平米以下しかないマンションに一緒に入ってる会社と団体となれば、疑惑の目が向けられるのも常識的には分かるはずだが。


カ)WG委員が直接指導するなら、コンサル会社を利用する意味がないのでは?

これも謎なのである。提案の仕方とか、申請の仕方とかを全部事細かに教えるのであれば、コンサルに依頼する中身がなさそうな気がするのだが、何を依頼するのだろうか?

税務署が特定の税理士事務所を紹介して、申告手続きの代理をするように言うのは、普通はしないでしょう?というか、できないのでしょうけど。

そういう点だけは、都合よく「私人」の立場を利用しているに等しいと思われても不思議ではないかと。


キ)竹中平蔵は特区ビズ社の紹介をした

シンポジウムの席上で特区ビジネスコンサルティングと紹介した後で、15年6月29日の特区諮問会議でも同じく紹介しており、議事要旨に記載があった。民間議員が特定の会社名を挙げて説明するには、相応の理由があるはずだろう。

原と竹中の関係性はどうだったのか?
そういう憶測を生むことは、簡単に分かるのではないか?


15年1月

15日 特区ビズ社 会社登記
16日 特区ビズ社が提案
27日 特区諮問会議 規制改革項目のメニューに記載

これほどのスピード決裁みたいなことって、他の提案でもよくあったのか?
稀な手続きだったとすると、そこにはどういう理由があったのか?


あまりに不可解な対応であると見えるだろう。


追記:

ク)WGの実態を国民が検証することができない

国家戦略特区側は、WGの議事要旨について4年後には公開するとしていたはずだが、その原則が守られている様子はうかがわれない。未だに極秘にされている会議が多数あり、議事内容についても秘匿されている。

会議の記録とは、例えば

第1回国家戦略特区ワーキンググループ(議事概要)
>https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8218780/www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/dai1/gijigaiyou.pdf


このように、日時、場所、出席者が記載されている。提案者の名前が出ると困るということなら、その者の名前を伏せて情報を開示する等で開示可能ではないかと思えるが、現実にはこうした「会議の存在」を明らかにすることがない。


会議の記録がなければ、私人が一人で「WG」を僭称して勝手に活動をしているものなのか、公式のWGの要件を満たす会議なのかの判定もできない。事実を知っているのが当事者のみで、捜査・調査権限もないので関係者の書類を確認することもできず、WGが会議の情報開示を拒む為に国民が行政について監視することができなくなっているのだ。

全て公開している、との説明が虚しいw


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