浜菊会のブログ

半泣き老狼団。一道民が生き抜く為の記録。

加計学園問題での「文科省に挙証責任」厨の杜撰な言説~その3

2017-07-01 16:16:52 | 政治
次に、今治市&加計学園の構想について、述べる。


参考資料>https://www.ayyoshi.com/%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E7%B3%BB%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%96%B0%E8%A8%AD/


全体として、まあ頑張った力作だとは思いますが、正当性を立論するには、どうかなと思いますね。飾られた言葉なり、内容をよく知らない人向けには、効果があるのかもしれませんが、表現というのはいくらでも言いようがあります(例えば、トランスレーショナル)ので。

以下に、いくつかに論点を分けて述べます。


1)ヒトと動物との橋渡し的役割

まるで呪文のように強調されてきたのが、「ライフサイエンス分野」という言葉です。これは、石破4条件の時から概ね同じであり、特別の何かを連想させるカタカナ語のようですが、実際には何を言っているのかさっぱり分からない、というようなものです。

オレの理解で簡単に書くとすれば、人に関連する分野について、動物実験も利用してゆくから獣医学部が必要、ということらしいです。

人に関連する分野というのは、医学や薬学というもので、国家戦略特区諮問会議が言っていた「創薬プロセスにおけるライフサイエンス分野」というのも、そういう意味合いでしょう。

簡単に言えば、医薬品開発において、実験動物は使うから、獣医がやればいいかもね、というようなことかと。その構想自体は否定されないものであるとして、別に加計学園が今治市に存在することの正当化には繋がらないでしょう。


反論
ア)医学・薬学等隣接科学との連携を謳うのであれば尚更、医学・薬学部のある大学や農学・生物科学の講座を有する大学、殊に国公立等総合大学の拡充の方が有利であり、協同も連携も取れやすい。

イ)ライフサイエンス分野の研究を掲げるなら、学生教育よりも研究機関の充実が近道であり、実験動物を用いた研究は獣医学部に限ったものではなく、他既存大学や研究機関において実施されているので、新規性に乏しい。医学・薬学部の他、農学系や生物系の学部の人たち、或いは生体材料系(どちらかと言えば工学系、素材・物性系?)の人たちでも可能な動物を用いた研究はあるので、獣医学部に限定するべき理由がない。水産学部は相応の大学があるし。



そもそも、既存大学ですら、実験用のマウスやラットさえ購入資金がない、などといった状況であるのに、新設大学建設に多額の補助金を投入するくらいなら、既存研究者たちに実験費用を渡した方が効率的に研究できることだろう。
実験用動物の飼育にしても、専任を置くことすらできず、ウサギさんに餌やりとか飼育ケージ清掃とか、研究者が労力を割かれている現状の方が問題なのであって、獣医師を雇って研究できるようになればいい、みたいな夢物語を言う前に、解決すべき問題は山積しているだろうに。


足りないのは、獣医師でもなく獣医学部でもなく、研究費とポストを増やせる予算、研究促進の環境、である。既存の獣医師たちでさえ、研究がままならないのに、新規施設を増やせば即席で(科学的研究)成果が出せるものではない。


2)防疫、感染症対策や水際対策拠点

これまで鳥インフルエンザや口蹄疫等の対応は、既存の獣医学部・学科による養成を経た獣医師たちが担ってきたものであり、加計学園の掲げる獣医学がこれと大きく異なる学問領域の開拓とか能力獲得を意味するものではない。

感染症対策や公衆衛生的な実務として従前より活動をしてきたのは、
・農水省の出先機関
・都道府県の担当機関
・家畜保健衛生所
・動衛研
等であり、獣医学部・学科がゾーンディフェンス(by今治市&加計学園)の主体だったわけではない。


また、感染症対策を充実しようと思うなら、例えば家畜保健衛生所の能力増強(人員拡充、個々人の質的向上=職員研修・海外研修・留学等の機会増加策など)でも可能であり、今治市に獣医学部を新規設置すべき理由にはならない。

反論ウ)
感染防御の主体及び拠点は、都道府県や農水省出先機関、家畜保健衛生所、動衛研などであり、獣医学部・学科である必然性は乏しい。ゾーンディフェンスが大事なら、近隣県や自治体からの「応援・連携体制」(レスキューの広域応援体制のようなもの)を拡充等でも対応可能。
司令塔的拠点ならば、全国的にごく少数配置でも問題ないので、総合大学や主要研究機関等の医・薬の連携、人的資源の豊富な組織が担えばよく、今治市に獣医単独で配置すべき特段の理由がない。


3)優れた教育プログラム

これは、大学教育に関して具体的なことを殆ど知らないので、オレには何とも言えない(既存獣医学部の人たちには何か意見があるかも)。が、もしも獣医師の能力として必要不可欠であるなら、国家試験へと反映されるであろうし、その場合全国の大学にも適用拡大となるので加計学園独自のものとは言えなくなる。

他では教えていない付加的な能力という位置づけならば、大学の特色を示す部分なのかもしれないが、その為にだけ獣医学部の新設が必要というのは、疑問の余地はあるだろう。従前の教育を受けた獣医師たちに、全く教育機会がないというわけでもないからだ。代替可能な方法(例えば獣医学会?等での講演・講習・研修会の開催、必要知識の周知徹底、啓蒙機会の増大措置など)があるなら、新設大学を設置することなく知識を与える・啓蒙することができるので、費用の比較を行うべきであろう。


反論エ)特徴的な優れた教育プログラムがある、というだけでは、獣医学部の新設理由としては弱い。獣医師たちへの教育方法に代替手段があるなら、その比較検討が必要であろう。



今治市&加計学園提案の肝というのは、上記3点くらいに要約されると思われたので、それぞれについて反論を試みたものである。


益々、新規獣医学部を設置すべきである理由、というものが不透明になったように思われる。


必須なのは、現有戦力=獣医師、獣医学教育関係者、獣医学部・学科の既存大学、関係する役所、等々の整備・拡充の優先であり、それも不十分であるのに、「新兵を投入すれば良くなる」というような幻想を抱いているようにしか思われない。

新兵なり画期的な新兵器を投入すれば解決できるかのような物言いが、根本的に信じ難いのである。そう都合よく「画期的な新兵器」なんぞ、簡単には開発などできるわけがないのだよ。



加計学園問題での「文科省に挙証責任」厨の杜撰な言説~その2

2017-07-01 14:01:54 | 政治
私のとてもか弱いガラスの心を、どれだけ叩いてると思っているんだー!!
私の心をどれだけ叩いたんだー!!


冗談です。
絶叫女性議員の音声が、あまりにインパクトがあり過ぎて、ちょっとふざけて書いてみたくなっただけです。
失礼しました。



新たなコメントがあったようなので、少し書いておきたい。

>http://blog.goo.ne.jp/hamagikukai/e/6ad70bd56e8ceb4d9055e9e1bd40ee3c


昨日にも、返答は一部書いた。

>http://blog.goo.ne.jp/hamagikukai/e/f582efb54782a0ff19e3e78a192205f6

ごんべい氏には、新たな資料をご提示いただき、ありがとうございます。自分も知らなかった部分があったので、不勉強をお詫び致します。当該資料に関する論点については、後述することとします。


で、まず先に、「弁護士です」さんから返答したいと思います。コメントを以下に引用。


じゃあ加計の認可申請を不認可にして、加計が処分取消訴訟提起したら、だれが不認可の理由の立証責任追うんですか?
処分行政庁の文科省でしょ。
処分行政庁が立証責任負うのなんか当たり前の話です。
もう少し勉強してから発言しなさい。



行政訴訟で文科省の指定代理人が「四国の獣医師需給については文科省の所管でないので資料がありません」、「農水省が協力してくれません」、なんて言ったらどうなります?
裁判所から「あ、立証無しですね」って言われて即敗訴でしょ。



行政規制は、本来憲法上の営業の自由の保証が及ぶ行為について、あえてそれを規制する所轄行政庁(処分行政庁)の行為である以上、規制をする所轄行政庁の責任の重大性が認識されるべきです。
加計問題について政府批判をする所轄行政庁の文科省の元官僚たちには、その意識が欠如しています。
それと、総理であろうが誰であろうが、他人をカタカナで呼び捨てにしたりするのは止めなさい。
自分がそうされたらどう思うかくらい、まず人として考えなさい。


もう一つだけ。これで最後。
あなたと考えの異なる人に対して「厨」とか下らない言葉を使うのも止めなさい。あなたの品格を貶めるだけです。


=======


まず答えやすい④から。
当方の品格について、低い評価であることは自覚しております。「厨」と使ったのには、相応の理由があります。そのことをいちいち解説する意味がなく、自分が意図的に用いているものであって、それは非難されようともやむなしと考えております。あなたにあれこれ言われる筋合いのものではありません。はっきり言えば大きなお世話です。


また、「アベ」とカタカナ表記で、かつ敬称を用いていないことについて。あなたは呼び捨てであることを非難していますが、学術論文ではこれが一般的ですよ。特別に変わったことではないと認識しております。
更に、カタカナ表記の人名についてですが、一般的に「マルクス」「ケインズ」「カミュ」「スターリン」等々、挙げればきりがありませんが、同じく呼び捨て表記で大量に用いられており、これが特殊な表記であるとは考えていません。唯一、日本人名に対して、カタカナは珍しいというだけであって、それでも「タナカさん」等と表記されることはあるのではないかと思いますが。
これをけしからんとか、不敬であるといった受け止め方になるのは、あなた自身の心の内を鏡に映したようなものなのでは(笑)。友人同士だって、「おい、タカハシ」とか「なあ、安次郎」とか、呼び捨てで呼び合うことなんて普通ではないでしょうかね。


日本人の総理だからといって、特別に敬意を込めて記載すべきという理由はオレには見出すことができず、むしろ違法を承知で数々の暴虐を働く人間に対し「アベ」と呼称することに何ら問題など感じられない、というのがオレの考え方です。


③の『行政規制は、本来憲法上の営業の自由の保証が及ぶ行為について、あえてそれを規制する所轄行政庁(処分行政庁)の行為である以上、規制をする所轄行政庁の責任の重大性が認識されるべきです。』というあなたの演説を聞かされたところで、本件問題点について、これといった前進は得られません。

一般論として、事業者等の許認可制や届出制といった広範な行政による規制については、法学的な一定の見解が確立しているものと考えられますので、まずはご自身で教科書でも何かの成書でも熟読されてみては。

『文科省の元官僚たちには、その意識が欠如しています』というご意見も、全くの見当ハズレであり、あなたが本ブログ記事に書かれている内容について理解されていないことが分かります。閣議決定の責任所在は、内閣です。


仮に現状でアベ政権の手法について批判的である、という文科省の元官僚が存在すると仮定したとしても、当該文科省告示を出したのは小泉内閣(竹中平蔵は内務大臣時代)であり、官僚が出せたわけではありません。責任は内閣が負うべきものです。また、告示の廃止を決めるのも文科省官僚ではないのは当たり前です。


続いて、①と②の行政訴訟提起の場合について。

加計学園が07年に特区申請して以降、当該告示の基本部分は変更されていないので、あなたが「行政訴訟をすれば勝てる」と算段しているのであれば、引き受けてあげると良かったのでは?
恐らく顧問弁護士くらいはいるでしょうから、行政訴訟を提起した場合の見通しくらいは出来そうな気がしますが。普通は、負けると分かっている訴訟を提起するよう勧めるのは、不誠実な弁護士ではないでしょうかね。
実際、訴訟提起などされていませんね。


基本的に、行政訴訟となった場合には、文科省が「何も主張せず、無言」みたいなことはないわけです。それはあなたの勝手な思い込みに過ぎません。無駄な設定を書いて、それを押しつけないように。


学園が原告になって行政訴訟を提起した場合、被告は「国」であって文科省というのは違いますね。一般的には、被告が国の場合、法務省官僚が訴訟を担当するのでは?(笑、法曹にこんな当たり前のことを申し上げるのは気が引けるのですが)
文科省は、不認可処分を実行後じゃないと被告にはならないですね。特区の不採用は関係ないですね。法廷では法務省役人(訟務局では?)が訴訟を担当するはずですしね。


ご指摘の

行政訴訟で文科省の指定代理人が「四国の獣医師需給については文科省の所管でないので資料がありません」、「農水省が協力してくれません」、なんて言ったらどうなります?

というご意見は、恐らくは妄想でしかなく、そのような愚かな答えをするはずもなく、文科省が示すべき部分は内閣府に回答済みです。


ツイートにも資料を記載済み

>http://blog.goo.ne.jp/hamagikukai/e/fa86ab9d1e0272758a3ceb2150d5d702

文科省は、

・農水省の「獣医師需給見通し」上では、獣医師の不足はない
・未就業の獣医師は多数存在する
・規制には理由がある

と答えられているので、これ以上の立証は必要がない。


規制が正当化される理由としては、

・当該告示は小泉内閣が出したもの
・平成17年中教審答申(中期的計画)
・自由な大学設置は弊害がある(実例:法科大学院、株式会社立大学、米メディカルスクール乱立時代、歯学部・薬学部の例、等)
・規制により質の向上が図られたこと(医学部、獣医学部)

などが挙げられよう。


弁護士さんが原告代理人だとして、例えば「当該告示の規制は違法である、憲法違反がある」という主張をするなら、その立論は原告がなすべきことです。

理由に

・文科省が「新たな分野での需給見通し」を返答していないこと
・四国には獣医学部が一つも存在しないこと
・愛媛県や今治市に獣医師が不足していること

を挙げたとしても、ほぼ無効でしょうね。
もしも、そんな理由で行政訴訟に勝てるとお考えなら、弁護士資格が泣くのではありませんか?


初歩的なのは、獣医学部が存在しないことと、今治市、愛媛県や四国に獣医師不足があること、ということの関係性を立論すべきは、原告たるご自身ですよ?
そこには明瞭な関係性があるとは言えず、単に処遇・待遇の劣悪等があるから、と言われても反論できないでしょう。文科省が「新たな分野の需給見通し」を返答できたか否か、と当該告示内容の合理的理由があるかどうか、というのは別問題です。もし裁判なら、被告の国は「原告の言う『新たな分野における需要』というのは何か」と反論するんじゃないですか?


以上、「弁護士です」さんのご意見を見てきましたが、ああ、法曹の養成はこのようにレベルが低下してしまったのだろうか、と改めて実感するに至ったように思います。「立証なしで、即敗訴」などという自分自身の脳内妄想を、一生懸命書いてくる、という時点で、大丈夫なのだろうか、と日本の将来につき危惧する次第です。


無駄なお説教は得意そうですが、他人に「もう少し勉強してから発言せよ」と言うのであれば、まずはご自身がそれを実践してみてはいかがでしょうか(笑)。


主張が余りにお粗末過ぎて、反論を書く時間を浪費してしまった。


長くなったので、今治市の獣医学部に関する構想については、次の記事で。


6月30日(金)のつぶやき

2017-07-01 05:01:57 | 政治