HALクリニックの診察室から

Human Active Life…新潟で心臓血管外科のクリニックを開設した医師のひとりごと

「認知症を減らす」ことを目標にして実現できるの?

2019-05-17 13:56:56 | 健康
 今日の新聞の1面に政府が認知症を減らすことを目標にしたという記事が…




「70歳での割合 6年で「6%減」」

 認知症は、医療の現場のみならず、高齢化社会においては
大きな問題になってきます。
実際に、当院でも「介護」に「認知症」の問題が大きいことを実感しています。

ただし、「認知症の予防」となるとかなり難しいという現実に直面します。
アルツハイマー型認知症は脳内に原因物質の蓄積によって起こるとされていますが、
その物質を脳内から除去する薬や治療法は現在はありません。
認知症は「老化」と関係しているので、高齢者では多かれ少なかれ認知症になる
リスクがあります。

 予防法も地道な生活習慣の改善となります。
脳梗塞や心筋梗塞の予防にために、高血圧を治療する降圧剤、
悪玉コレステロールを低下させる脂質治療薬などの効果が明らかな
薬がある病気に比べて、認知症の予防は一筋縄ではいきません。

 元気でいると思われた患者さんが、急速に認知症が発病するのを
見ていますが、予防する手段については見当たらないというのが
実感です。


 認知症を減らしたいというのは誰でも同じ考えですが、医学的に
治療法が明らかではないことを目標にするのはどうなのかな…

 その以前に、がん検診の検診率を上げる、メタボなどの生活習慣病の治療を
行うという、医学的に方法論が確立しているのに十分行われていないことを
実行することが先ではないかと考えています 

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