わが大地のうた♪

NPOグリーンウッド代表理事:辻英之(だいち)が今、南信州泰阜村から発信する炎のメッセージと…日々雑感!

今度は泊まってけ

2012年05月22日 | 震災支援:山賊キャンプ招待
今日、福島市にある飯舘村の避難宿舎を訪れました。

原発事故の影響で、全村避難を余儀なくされた飯舘村。

その飯舘村のこどもたちを、信州こども山賊キャンプに招待する。

このために、この2か月間、何度も足を運んできました。


3月に初めてこの宿舎を訪れた時、自治会長さんは辛口でした。

それでも「おい、これであきらめちゃいげねど。俺に言われたくらいで来なくなるならそれまで。困難なことに立ちむかうことが大事。また来いや」と帰り際に笑顔で言ってくれたことを思い出します。

2か月間、足を運んだり、電話をしたり、メールをしたり。

宿舎の管理人の方々と、丁寧に丁寧にやりとりを続けてきました。


そして今日、再度打ち合わせをする予定でした。

会長さんが奥の部屋に待っていて「飲むか」と一言。

急いで管理人さんとの打ち合わせを終えて、本当にようやく、ようやく酒を酌み交わすことができました。

この1年で起こった事象に対して、飯舘村の自治会長さんが想うことあれこれを訥々と。

私は聴くしかできません。

でも、ようやく想いを私にぶつけてくれるようになりました。

何度も何度も足を運んで、本当にようやくです。

途中から宿舎の方々数人も加わり、私が信州から持参した日本酒と、宿舎で用意した日本酒を飲み尽くしました。


▼へべれけになるまで飲んだ





「おい、今度は泊まってけ」と赤い顔で会長さんは言ってくれました。

帰り際、自治会蝶さんの肩をもみました。

その肩は、1年間、緊張感のなかで闘い続けてきた肩でした。

こんなことしかできません。

私の亡き親父にもむように、もみ続けました。


私たちは、飯舘村からもこどもを数人、キャンプに招待します。

教育キャンプを通して生まれた南信州泰阜村と福島飯舘村の縁。

村を捨てる教育から村を捨てない教育への転換を模索する泰阜村が、村を捨てざるを得ない状況に直面する飯舘村の人びとに、教育を通して支援します。

「支援」という「縁」が紡がれ始めます。


再来週、この宿舎でキャンプ説明会を開催します。


代表 辻だいち

あれから1年

2012年05月19日 | 震災支援:山村留学へ長期受け入れ
今日は早朝から田植えです。

1年間の山村留学:暮らしの学校「だいだらぼっち」のこどもたちと共に、まさに一家総出の大仕事。

こどもたちが責任を持つ一反歩(10a)の棚田は、すべて手植えにチャレンジ。

こどもたちの段取りと元気がよかったのでしょうか、それとも全国から駆けつけた保護者の皆さんやスタッフのサポートがよかったのでしょうか、午前中ですべて終わらせることができました。


▼一家総出の大仕事




私は、こどもたちにレクチャーをした後、作業を抜け出して、スタッフが責任を持つ一反歩(10a)の田んぼを、隣のおじいま(おじい様の意味)から借りた小さな田植え機で植えました。

見てるよりやるのは難しい。

後半に応援に来てくれたこどもや保護者やスタッフに田植え機をやってもらうと「難しい~」と皆言っていました。


▼やってみると案外難しい田植え機



スタッフ田んぼも午前中にすべて植え切り、そばを流れる清流のほとりでみんなでお弁当を食べる時間は至福の時間でした。


▼働いた後の昼食はことのほかおいしい




暮らしの学校「だいだらぼっち」には、福島からの被災児童が参加しています。

今年2年目の彼女は、今日も元気に田植えをしました。

苗を植えながら彼女に声をかけました。

「去年の田植えのこと、覚えてるか?」

「うん」


昨年の田植えの時。

彼女は泰阜村にやってきました。

暮らしの学校「だいだらぼっち」の見学です。

お母さんに連れられた彼女は、青白い顔をして緊張していました。

1日一緒に田植えをして、彼女は「楽しい」と言った。

そして1か月後、彼女は本当に泰阜村にやってきました。


共に暮らす仲間に支えられた1年。

泰阜村の風土と人々に支えられた1年。

彼女は知らないであろう見えない全国の人びとに支えられた1年。

その1年を土台にして、今日、彼女は、今年から参加した仲間に、田植えのことを教えます。

彼女が仲間を支えます。

とても素敵な1日でした。



▼こどもたちがいろいろな役割を果たす。まさに支え合いの田植えです



田植え機との格闘で、身体中が痛いのですが(笑)、心地よい疲労感に包まれています。


代表 辻だいち


白球を追う

2012年05月13日 | 日々雑感
この土日、泰阜村の少年野球の合宿でした。


▼こどもたちが白球を追う




昨日あった公式戦は、自滅パターンで大崩壊の1回戦負け。

さっさと村に戻って、夕方までハードな練習に明け暮れました。

くたくたになっても夜は勉強会。

女の子がたくさん入ったチームには、まずはルールの勉強が急務です。

大人たちも一緒に泊まってもちろん飲んで野球談議を夜更けまでした。


▼監督さんから教えを受ける




今日も快晴。

昨日太ももをつって悲鳴をあげた長男も、朝からすこぶる元気です。

基礎練習をみっちりとして、夕方にはやりきった爽快な顔となりました。

私も重い身体をぼちぼちあたためながら、こどもたちの野球のサポートに、グラウンドを駆け巡りました。


福島に足を運ぶと野球をやめていく少年たちが多いという話を聞きました。

土とまみれることがあたりまえの野球。

放射線を心配してやめさせる親が多いということです。

それは、放射線の線量が高い地域はもちろんのこと、さほど高くない地域でも。


思う存分、白球を追う。

それができなくなったこどもたちが福島にいます。

足がつるまで、思う存分白球を追うことができる泰阜村の少年野球のこどもたち。

16名のうち女子が5名で、9名揃えて試合に出るのもままならない弱小チームです。

そんな泰阜村のこどもたちは、何ができるのでしょうか。

福島の少年野球チームと泰阜の少年野球チームが、野球を通して交流できないか、検討中です。


▼女子も試合に出る





泰阜村は難しいことはあれこれできません。

ただただ野球をやることが、福島のこどもの支援になる。

その支援から生まれる縁を丁寧に紡ぎ、「支縁」になっていく。

この考え、泰阜村の人びとが皆、賛同してくれています。


▼野球を通して東北と豊かな縁を





私は、今年度、泰阜村少年野球チームの保護者会長。

実現できるでしょうか。

あきらめません。

やることいろいろあるぞ~

代表 辻だいち


福島のこどもがまた来ます

2012年05月11日 | 震災支援:山賊キャンプ招待
今日、泰阜村教育長と打ち合わせをしました。

被災地からこどもたちを招待する件などです。

今日までに、夏の信州こども山賊キャンプに招待する福島のこどもが、39名確定しました。

浜通りのいわき市、中通りの福島市、田村市、そして飯舘村のこどもたち。

あと10名くらいは増えそうです。

昨年は、全国のあちこちで東北のこどもたちの招待キャンプが開催されました。

今年はどうなのでしょうか。

日々薄れゆく被災地への関心。

でも、福島のこどもたちを取り巻く環境は、日に日にきびしくなるばかりです。


泰阜村では今年も、引き続き福島のこどもをキャンプに招待します。

3月、4月、私は幾度となく福島に足を運びました。

私たちの想いを理解してもらうため。

私たちを信頼してもらうため。

この想いを、泰阜村行政も、支援してくれます。

近いうちに、教育長を連れて、福島に行くことになりそうです。

この夏も、キャンプを通した被災児童の支援、がんばりますよ~

招待する費用について、また皆さんにご支援をお願いすることになります。

支援は長期だから支援です。

よろしくお願いします。


代表 辻だいち


自然と人間の共生

2012年05月08日 | 支えあいの指導者育成
5月8日。

私にとって特別な日です。

今年度、私は昨年度に引き続き、立教大学新座キャンパスで「自然と人間の共生」という授業を非常勤で受け持っています。

泰阜村のようなへき地山村に住む人々が営む、自然と共存する暮らし。

その暮らしに潜む教育力を学び、今求められる自然と人間の関係性を考える。

そんな授業です。

拙著「奇跡のむらの物語 ~1000人の子どもが限界集落を救う!~」がテキスト。

今回は「お互い様は身体で学ぶ」というお話。

NPOグリーンウッドが主催する1年間の山村留学:暮らしの学校「だいだらぼっち」のこどもたちが「飼ってるニワトリを絞めるか絞めないか」「米作りに農薬を使うか使わないか」について真剣に話をしているビデオ(テレビ取材)を見せました。

学生さんは、一様に驚きの声をあげていました。

そしてその学びを支える泰阜村の「お互い様の文化」にも。

「サンマよりヨンマ」(拙著を読んでいただいた人にはわかる)の話も学生さんには響いていましたよ。

そんな学生さんが、震災支援の話にも目を輝かせ、耳を立てて聞き入っていました。

津波や原発事故で、自然と向き合う暮らしが失われました。

自然は恵みをもたらす対象から、危険をもたらす対象へと変質してしまいました。

「放射能に比べれば農薬なんて」とつぶやく福島の人びとに、私たちはなんと答えればいいのでしょうか。


私たちNPOグリーンウッドができる身の丈の支援は、教育活動です。

自然の猛威におびえきったこどもたちに、もう一度自然の素晴らしさを伝えたい。

無残にも奪われた集落の底力を、もう一度こどもにたちに伝えたい。

そんな私の想いも、きっと学生さんに伝わったことでしょう。

今年も福島から、こどもたちを信州こども山賊キャンプに招待します。

現在、福島県内のあちこちと、水面下で折衝中です。

学生さんに、福島のこどもたちが参加するキャンプのボランティアをしてほしい。

そんな想いを込めて、授業を行いました。


でも、一番反応があったのは「今日は俺の誕生日だ~」と言った瞬間でした(笑)。

250人を超える学生さんから一斉に拍手をもらい、授業後に全員が各書くコメントペーパーにも「先生おめでとう!」の言葉が躍りました。

いくつになっても、祝福されるのはいいことですね。

学生さんに「ありがとう」と返しました。

私を丈夫に産んでくれた母親に感謝を込めて。


代表 辻だいち