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飽食と食糧破綻

2021-03-14 | 日記

「飽食」が世界的な食糧破綻を招くという警告番組を見た。昔は「飽食」と聞くと、一部の富裕層や食べ物に溢れるアメリカの家庭の食卓を思い浮かべたものだが、高度経済成長の終わりの頃からは日本にも「飽食」という言葉が当てはまるようになった。それは「まだ食べられるうちに廃棄される食品」という形で折に触れて報道され、スーパーやコンビニで期限切れ前に捨てられる食品の山を想像させるようになった。頭の中では想像していたが、今の日本の廃棄食糧の量が年間600万トンに及び、国連食糧機関による世界各地への食糧援助合計の1.5倍にもなると聞くと、日本がそこまでの「飽食」に溢れた国だったのかと驚くしかない。

 もし世界の先進国で今のままの「飽食」が続けられると、2030年頃には食糧需給のアンバランスが拡大して食糧需給を巡る破綻がくると予想されているそうだ。日本で年間に廃棄されるという600万トンに 40%(カロリー)~ 60%(生産額)という食料自給率を当てはめると、 240 ~ 360 万トンの食糧を海外から買い付けて捨てているという計算になる。多く見積もれば、一年間に国連食糧機関が行う食糧援助の総量に近くなる。そのような食糧供給の偏りに、今後の世界人口の増加と急速に経済拡大を続ける国々での急速な食料消費拡大を重ねるた時、現在の食糧バランスに急激な変化が起きることは容易に想像できる。

 それが番組での予想通り2030年なのかどうかは分からないが、どちらにしろ食糧供給の破綻はいずれはっきり認識されるようになるに違いない。一方では、現在の食糧総生産量でも上手に分ければ世界の人々を十分に食べさせられると言われている。食料供給の均等化がスムーズに起きれば社会不安や損失も少なくて済むが、極限まで拡大したアンバランスから一気に均等化へと向かうカタストロフィー的変化が起きるなら、社会的不安や社会的損失は最大となってしまうだろう。富の再分配の最も根源的な形は食糧の再分配だと思うが、それが円滑に持続的に進むような社会的装置の設計が急がれると思い知らされた。

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