この国の政府は「自衛権」または「専守防衛」の内容を拡張するようだ。そもそも「軍事力による防衛」そのものが、歴史上のほとんどの国が「軍隊・軍事力・武力」を持つ理由であり、「他国を攻撃する目的」による軍隊創設というのはあまり例が無い。現在の世界の国々を見ても、「他国を攻撃することを目的として作られた軍隊」というのは思い当たらない。
米ソ冷戦時代の核軍拡競争ですら、互いに「相手の核戦力に対抗し、核兵器によって自国を防衛する」というのが目的だったろう。そして、核攻撃に対して相応の迎撃能力に加えて核反撃能力を持っていることが、相手国の攻撃を抑止するために必須な軍事力とされていた。
今回の政府による「敵国内の基地に対する反撃能力の保有」という方針は、少なくとも「攻撃を受けた時には、相手国内の軍事対象を攻撃する」ということなのだろう。それは「やられたらやり返す」能力を確保するという意味で、世界の他の国々の軍事力保有の理由と何ら変わりが無くなったということだ。せめて「先制攻撃の禁止・放棄」くらいの文言が無ければ、「軍隊じゃない自衛力」という説明は誰も受け入れ無いのじゃなかろうか。今後も、この様にして日本の自衛力の「限りない軍事力への同一化」は進められて行くのだろう。