新庄剛志氏が遂にプロ野球球団の新監督に決まった。就任記者会見での襟の高い出で立ちはあまり好きではなかったが、それでも話の内容には期待を持てた。最初の挨拶で冗談半分に「選手兼監督として契約」と言いかけ、隣の球団関係者に確認する振りをして「監督として」と言い直してみたりした。
ただ、「選手兼監督として・・・」は単なるおふざけではなく、内心の思いをさらけ出すつもりでの言葉だったのではないか、と感じた。それには「監督として選手と離れた存在では居たくない」という気持ちや、今年トライアウトに参加した「自分もまだまだ選手としてやれる」という思い、さらに春のキャンプでの「練習試合に選手と共に参加し、自分のプレーや野球姿勢を伝えたい」など、いろんな気持ちを抱えていることを表す「新庄流」の表現だったように思える。
自分の勝手な思い込みが、はたして新庄氏本人の思いにどこまで迫っているのかは分からないが、何となく日本のプロ野球界に新しく大胆な試みが吹き込まれそうな気がして期待感が持てる。実際の契約上で可能なのかどうかは分からないが、公式試合ではない春のオープン戦なんかでは、何かの切っ掛けを捉えて「代打・新庄」とか、「投手交代で新庄」という声が掛かる場面があるかも知れない。使い方によって「ファンへのサービス」で終わるのかも知れないし、「監督から選手へのアピール」となるのかも知れない。
もしそんなことをして、選手に「単なる目立ちたがり屋」と映るのか、「自ら野球への姿勢を示す手本」となるのかどうかは、その時までに新監督への信頼感・尊敬が得られているかどうかに係るだろう。新庄監督が球団側の複数年契約を断って一年毎の契約を望んだというのも、「とにかく一年目から思うように挑戦したい」という思いの表れなのだろう。自分流のやり方が大失敗ならば、潔く兜を脱いで責任を取り一年で諦めようということだろう。
それだけに、おそらく「やれることには全て挑戦する」くらいの思いで当たるのだろうから、来季のプロ野球界がどんな風に揺れ動き、選手達のプレーや試合の流れにどの様な変化が表れるのか、楽しみでもあり不安でもある。
