季節の移ろいin絵手紙 Ⅱ

 絵手紙&水切り絵&パステルアートに日々の出来事を添えて・・・

秘密の言葉

2017-02-23 10:32:54 | 思い出
 私が小学一年か二年生の頃の話です。

 ある時、四歳上の従姉が
「これな、寝る前に読んで手を合わせて(ありがとうございました)と言うて眠るといいんやで」と小さく折りたたんだ紙切れを私に渡しました。
 そして、人差し指を口に当てて(内緒よ)のしぐさをしました。

 家に帰り、紙切れを開くとカタ仮名がたくさん並んでいました。
 (オンカカカカビサンマエイソワカ)
勿論何のことかさっぱりわからず、でも毎晩従姉に言われたように、
この紙切れをそっと出してきて、心の中で読み手を合わせて(ありがとうございました)と眠っていました。

 この紙切れが何処に行ったか分からなくなった頃には、すっかりそらんじられるようになっていました。

 それから数十年。。。

 60歳を超えて(四国遍路)を始めました。
(遍路)を経験された方はご存知のように、
一つのお寺の本堂で、まずお賽銭、お線香、おろうそくをお供えし、
そこに祀られているご本尊(たとえば、観音菩薩、薬師如来、大日如来とうとう。。。)の真言と般若心経唱え、
大師堂に移り、またお賽銭、お線香、おろうそくをお供えし、お大師さんの真言と般若心経を唱えるというのが、お参りの作法になっています。

 あるお寺でのことです。
本堂で、ご本尊の真言を唱えるとき「わからない方は、こちらを読んでください」と示された先を見て思わず声をのみました。
 そこには
  (オンカカカカビサンマエイソワカ)とかいてあったのです。

 幼いころから何もわからずに心の中で唱えていたのは、地蔵菩薩、つまりお地蔵さんの真言であったという事なのです。

 家に帰り、このいきさつを早速従姉に電話で伝えました。
すると、彼女はキツネにつままれたような返事。。。
 数十年前のことなど、さっぱり記憶になく、
ましてや自分は一度も唱えたことがないとのこと。
「お地蔵さんの真言なんて今 聞き始め~」って・・・
二人で大笑いしました。

 従姉もおばあちゃん子で育ち(従姉の母方の祖母なので私のおばあちゃんとは違うのですが)、
信心深いおばあちゃんが、子どもの守り佛であるお地蔵様の真言を孫に伝えたかったのでしょう。
  それが私に伝わってことでしょうか^^

 数十年の時を経て、
この真言が、心の中で生き続けてきたのは、
決して信心深いとは言えない私ですが、
何かしら不思議な温かさに触れた想いがしました。


 今日の絵手紙
  桜餅だぁ~~い好き!
 口の中に広がる優しい香りと味は春を感じますね。