私はヤゴです

水中から地上へそして空中へ飛び立つ人生を

カレイの手紙

2008-01-30 04:49:15 | weblog
1月26日、15年前に川崎市の小学生が赤い風船に付けて飛ばした手紙が100km余り離れた銚子沖で水揚げされた魚(サメカレイ)に張り付いていたのが見つかり持ち主と再会したという明るいニュースを、日光旅行に向かうバスの車中新聞で知り感激した。
当時小学校創立120年記念で飛ばした差出人白髭奈津美さん(早大2年)の手紙は、15年の歳月を経て1,000mの海底から底引き網漁船によって引き上げられたサメカレイに風船の一部とともに張り付いていた。14㎝×20㎝の油紙に油性マジックで書かれた手紙とはいえ、これが体長50㎝の魚に長年まとわりついていたこと自体不可思議であり奇跡だ。写真で見る限りでは紙も破けていなければ文字もにじんではおらず原文そのままの状態である。科学的な謎は謎として詮索するのはやめよう。
船主の機転と善意で手紙と再会した彼女はお礼の後、「ここまで運んだカレイにありがとうと言いたい。これからはカレイの煮付けを食べるのがかわいそうになっちゃう」なんと礼儀正しい素直なことばだろうか。
多くの子供達の多くの夢をのせた手紙がこうした形で再会できるのはラッキーなケースだろうが、自然界の摂理や神の力の前には人間の及ぶ術(すべ)もない。荒廃しきった社会の中にあってこうした小さな事柄から、大人や子供がなにを学びなにに活かしていくのかを無言のカレイが教え試しているような気がする。


ユーモア

2008-01-27 05:36:55 | weblog
最近の世相、年金、医療、教育等のほか連日生起するおぞましい犯罪に眉をひそめ、日本の将来を憂い不愉快な思いをしながら毎日を送っている。そんな人間社会にあってギスギスした日々を潤すには、笑いやユーモアは生活の潤滑油として大きな役割りを果たし欠かすことができない。その為には心にゆとりがなければそれを発せられないし、理解し笑うこともできない。ユーモアのセンスはその人の“心のゆとり度”を示すバロメーターでもある。
戦時中「ぜいたくは敵だ」「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」の標語を添削し、「ぜいたくは素敵だ」「・・・夫が足らぬ」との傑作な落書きがあったが、あの国情不安な状況下でさえ、心の持ち方次第で哀愁を帯びた素晴らしいユーモアが浮かび、すさんだ人の心をなごますこともできた。
私の友人の一人に演歌の歌詞の一節を引用しながら巧みな話術を展開し、相手の心を掴みその場の“空気を読んで”タイミングのよいジョークをとばす楽しい男がいる。話の流れで「ここに幸あり」「型は古いがシケ(変化)には強い」「さざんかの女(他人の妻)」と言った調子で、最後はきまって「ヘイヘイホー」「トントントン」とくる。下手な駄洒落やブラックユーモアよりいやみがなく、彼と話しているとついペースに引き込まれ気がつけば笑いの渦に巻き込まれていて本当に楽しい。こうした会話が身体の免疫力を高めるとあれば一石二鳥だ。
今開かれているガソリン国会。暫定税率をめぐり総選挙をにらんだ不毛な論議は、眉間に縦じわ、なりふりかまわず口角泡を飛ばすより、もう少し知恵を絞り知的なユーモアを駆使してこの難局を打開することはできないものだろうか。


銀盤上の舞

2008-01-23 05:19:03 | weblog
長野冬季オリンピック10周年記念事業「2008 NAGANO NEWYEAR ON ICE」が、1月21日ビッグハットにおいて開催された。このショーは、世界的にも定評のあるアイスショーで入場料も高価なことからあきらめていたが、幸い友人から招待券をいただいたので妻とともに鑑賞してきた。
主な顔ぶれは、プルシェンコ、ヤグディン(ロシア)エルドリッジ、コーエン(アメリカ)ロビンソン(カナダ)それに日本の荒川静香、本田武史、佐藤有香といったいずれもオリンピック、世界選手権でのメダリストばかり、世界のトップクラス男女14人の超豪華メンバーだ。
リンク狭しと滑り、飛び跳ね、回転するそのスピードと技はとても人間業ではなく芸術的でさえある。計算されたシュプール、回転時に発するエッジのきしみ音、コーナーでの氷しぶきこれに音響、照明、観衆の拍手が現場の雰囲気をいやがうえにも盛り上げてくれる。映像では何回も見てきてはいるが、やはりこの目で生のものを見るとその迫力が違い感動そのものだった。
彼らも通常の競技であれば、常に点数、順位、時間等のプレッシャーの中で緊張して競い合うが、この日ばかりはショーなるが故にエンターテイナーとして自分の得意技をアピールし笑顔もこぼれ楽しんで滑っていたのが印象的でもあった。
長野と荒川静香さんとは、野辺山の幼少時代からNHK杯、長野冬季オリンピックを通じ縁は深い。この度、世界の頂点に立った金メダリストとしてまたワールドクラスのトッププロスケーターとして、戻ってきた彼女の艶やかな舞いやイナバウワーをこの目で真近かに見れたことは本当に幸せだった。

学力低下

2008-01-20 05:44:58 | weblog
昨年暮、経済協力開発機構(OECD)は、世界57ケ国・地域の15歳を対象に実施した「国際学習到達度調査」の結果を公表した。それによると日本は数学が前回調査の6位から10位に科学は2位から6位に後退するなど軒並み学力低下が浮き彫りとなり衝撃的な結果となった。トップはフィンランドが前回に続き首位をまもり、以下香港、カナダ、台湾が続く。総体的に好成績を上げたアジア諸国の中にあって日本の高校生が著しい学力低下をみせた現状をどのように理解すればよいか。「ゆとり教育」政策は、果たして正しかったか。学力低下がこのまま続けば、国際社会における日本の地位低下、マイナス評価につながりかねない。
学力世界一を誇るフィンランドは北海道より人口が少なく、高い税金、22%の消費税を負担して各種の制度を充実させ教育に力を入れている。国民の間に「教育は未来への投資」といった考えが定着しているためか、不満の声はあまり聞かれないという。日本にも「教育は百年の計」といった思想はあっても、時の為政者の考えで教育方針が常に揺れ動いている。「基礎学力の習得」「考える力の養成」どちらも大切ではあるが、教育には強制が伴うのは当然で、偏に子供の顔色を見て迎合したり目的や理由など説明する必要はない。将来必要となる基礎学力をブレることなく徹底して教える、いや叩き込めばよい。
今の日本「ゆとり教育」をしているほどゆとりはないはずだ。このままでは近い将来、中国、韓国、台湾など周辺諸国に後れをとり、教育後進国の道を歩むことになりかねない。

小沢氏退席

2008-01-16 08:39:29 | weblog
インド洋での海上補給活動を再開するための新テロ対策特別措置法案は、1月11日衆議院本会議で再議決され、賛成340反対133の賛成多数で可決成立した。
56年振りの再議決(憲法第59条)ではあるが、この席に民主党代表の小沢一郎氏が不在だったことはなんとしても不可思議なことであり、マスコミがこの問題をあまり追求しないことも納得しかねる。
この日小沢氏は新党日本の田中康夫代表と大阪府知事選の応援に行く予定であったらしく途中から退席、記名採決のための議場封鎖の際にも戻ってくることはなかった。結局採決を棄権したが「棄権ってのは行って入れないのが棄権であって行かないのは棄権ではない。非国民だ」(立川談志)のとおり民主党にとっても小沢氏本人にとっても将来大きな汚点、禍根を残した。当然の如く民主党内はもちろん与野党からいっせいに批判の狼煙(のろし)があがり、鳩山幹事長が「私からも国民におわびしなければならない。申し訳なかった。国会議員としての責務は果たすべきだった」と陳謝したが、小沢氏本人の謝罪は今もってないばかりかむしろ開き直っている。
民主党は今までこのテロ特措法については、小沢氏を中心に党を挙げて反対の姿勢を貫き、国会を解散に追い込み民主党新政権を作り上げることに政治生命を賭けてきたのではないか。それが肝心の出番に雲隠れをし、議員の生命線である「議決権」までも自ら放棄したとあれば小沢氏にとっては「品格」以前の問題であり、お粗末このうえない。


台湾島

2008-01-15 08:36:25 | weblog
学習教材大手「学研」グループが、国内向けに販売する地球儀「スマートグローブ」に中国政府からの圧力で、台湾を単なる「台湾島」と表示してしまった。同学研は地理の教科書でも帰属先が未定として白表記になっている樺太の南半分や北方領土以北の千島列島をロシア領として色分けもしている。
学研は「不適切な表現・表記があった」として販売を中止するとともにすでに完売した一万個の地球儀の回収をしているが、マスコミのスクープがなければこのまま販売し続ける積りだったのだろうか。中国の主張を日本の子供達の頭に刷り込もうとするやり口に加担していることに無関心だったのか。情けない。
一方、台湾では1月12日総統選の前哨戦となる立法院(定数113議席)選挙が行われた。その結果、対中統一志向の最大野党国民党が81議席を獲得して歴史的圧勝をした。陳水扁総督率いる与党民進党は、27議席にとどまり敗北宣言をし早くも陳氏は主席を引責辞任することを表明している。
私も過去何回も台湾を訪れているが、その度に台湾人の勤勉性、エネルギー、料理や商売のうまさ、中国とは比較にならない対日感情の良さ等にはほとほと感心している。
中国からの脅威と対峙しこれほどまでに独立を望んで真剣に生きている台湾に対して日本が軽々に「台湾島」呼ばりするのは失礼きわまりない。アメリカも韓国もそして台湾も選挙によって近く政治体制が変ろうとしているが、3月の総統の交代によって台湾は中国に統合され本当に「台湾島」になってしまうのだろうか心配だ。

便所掃除

2008-01-13 09:00:54 | weblog
「・・・むかつくようなババ糞がかけてあります/どうして落ち着いてしてくれないのでしょう/ケツの穴でも曲がっているのでしょう/それともよっぽどあわてたのでしょう/怒ったところで美しくなりません/美しくするのが僕らの務めです/美しい世の中もこんな処から出発するのでしょう/・・・」まだまだ続くが詩人濱口國雄の詩(「便所掃除」)の一節である。
古代の昔から便所はすべからく万人が毎日お世話になる神聖なところなのに、なぜか不浄の場所として清掃を嫌いお互いきれいに保とうという努力に欠ける。そのくせ自分が使うときは、よりきれいなより臭わない快適な便所を求める人間の性(さが)は、美味しく肉を食べながら動物を殺すのは可愛そうだといった詭弁に相通じている。
もともと便所掃除に力を入れ全国に普及させたのは、イエローハットの創業者が社員の意識改革のために始めた取り組みであるが、最近は広島、鹿児島、山梨など各県の警察学校がこれを取り入れ全国に広まりつつあるという。
新人教育の一環として素手、素足で汚れが見えない便器の裏側や排水口の奥まで小さなタワシを使って磨き上げていく真冬にはつらい作業だ。にもかかわらず生徒間には「汚れを落としていくたびに達成感が生まれた」「警察官に必要とされる思いやりの気持ちが芽生えた」「つらいことに積極的に取り組む姿勢が身につく」とトイレ掃除が「便器とともに心も磨く活動」として一役買っている。
広島県は、過去に暴走族の更正活動にトイレ掃除を取り入れてきたが、「危険」「汚い」「きつい」3Kを極端に嫌う現代の若者層にもその裾野を広げて欲しいものだ。


プロ石川 遼

2008-01-11 13:37:31 | weblog
男子ゴルフで人気者の石川 遼君(杉並学園高1年)が1月10日、プロ転向を宣言。16歳3ケ月史上最年少のツアープロが誕生した。「ハニカミ王子」の愛称をもつ高校生プロには低迷する男子ツアーの救世主として期待がかかる。
身長172㎝体重68kg全身バネのようなフォームからくり出すショットは、平均飛距離291ヤード。飛ばし屋の尾崎将司をして「生まれながらの能力を持っている。振りの鋭さは見習わなくてはいけない」と舌を巻かせたくらいの才能の持ち主だ。彼の最大の弱点は技術や精神力よりもむしろ体力にある。昨年の成績をプロの賞金に換算すると40位相当の約2400万円だそうだが、全試合出場となると学業との兼ね合いもあり心配になるのが体力だ。
聡明な遼君。記者会見でも自分を見失わず冷静で浮ついたところがない。「ツアーで戦いながら勉強するのは厳しいが、あきらめず勉強もゴルフも上達したい」「自分はプロの中でも一番下手くそだと思っている」「人間的には成長したいけど、周囲が見上げるような人間にはなりたくない」なんと素晴らしいコメントだろうか。木で鼻をくくるようなそっけない会見やプロアマ試合で同伴アマとの会話もできず、空気も読めない若手プロ達も彼を見習って欲しい。当面は人気先行の彼だが、無限の可能性と秘めた実力は序々に発揮されるであろう。性急な結果を求めず暖かく長い目で若い彼を見守りたい。
そうは言ってもプロの世界は勝負が全て。いつまでもハニカんでばかりでなく、鷹のように強く逞しくなって「プロでもV」を重ね、億単位のプレーヤーに成長することを陰ながら期待し応援している。


危険運転致死罪

2008-01-10 08:23:00 | weblog
2006年8月福岡市東区で発生した飲酒運転による3児死亡事故で、危険運転致死傷罪などに問われていた同市元職員今林 大(23)被告の判決公判が1月8日福岡地裁であった。検察側の求刑25年に対して結果はなんと懲役7年6月。裁判批判はあまりしたくはないが、この判決では国民感情とあまりにも乖離し、危険な飲酒運転を追放しようとする社会の流れに大きく逆行する判決であって、両親のくやしさに同情を禁じえない。
この事故、裁判所が危険運転致死傷罪を適用するかどうかが最大の注目点だったが、結局適用が見送られ改めて同罪のハードルの高さばかりが印象づけられた。その判決骨子の中心をなしているのが「被告は、事故当時酩酊状態とはいえず、アルコールの影響で正常な運転が困難な状況にあったとは認められない。」という論旨であるが、もともと大量の酒を飲み100km/hもの高速で運転、そのうえ見通しのよい直線道路で前車に追突をする行為が果たして正常な運転に該当するだろうか。
事故後逃走した被告は大量の水を飲み、友人に身代わりを依頼するなどの隠滅工作をしており、皮肉にもこれが逆に「正常な判断能力」の認定材料とされている。
そもそも危険運転罪は、飲酒運転などの悪質運転で人を殺傷した場合、格段に重い刑罰を課すことによってこの種事故を防ぐために平成13年制定された。
「正常」「困難」「影響」「故意」といった表現は裁判官個々の裁量によって不安定な解釈の余地を残す。事故当時悪質重大違反がそこに並列的に存在するだけで適用できるような明快な法の整備を急いでもらいたい。と同時に本件は控訴して再度上級裁判所で審理をやり直すよう強く望みたい。


公正な審判

2008-01-07 08:35:15 | weblog
昨年9月に豊田市総合体育館で行われたハンドボール北京五輪男女アジア予選の試合をめぐって、中東の審判員による不公平な判定(いわゆる「中東の笛」)が相次いだとして日本と韓国がIHF(国際ハンドボール連盟)にクレームをつけた。意図的かどうかはわからないが、画像を見る限り確かに中東側に有利な判定が続出し、その結果日本チームは敗退し北京五輪出場資格を失ったのだから異議を申し立てたのは当然といえば当然だ。
日韓側の申し入れに対してIHFは、男女ともアジア予選のやり直しを決めたが、AHF(アジアハンドボール連盟)はこれを拒否したというもの。その理由は、「IHF内にアジアを分裂させようとする意図がある。これまで日本もクエートも一枚岩でやってきたのにそれを崩そうとする勢力がある。来年の役員選挙でアジアを分断すれば有利になると考える人がいる。」と矛先をIHFにぶっつけ、疑惑のもたれた審判問題については「審判に不満があるのなら試合後提訴すべきで時間が経ってから文句をいうのは理解できない。」と一蹴した。
AHFの対応はなんと横暴なものか想像できる。少なくとも国の意思として審判疑惑を申し入れ、ビデオ等により科学的に不正が証明されているのにこれを無視する態度が許せない。そういえば数年前ヨーロッパでは、サッカーのレフリーが買収されて不正な審判を行ったケースがあったばかりだ。
「スポーツは同質文化」といわれるとおり、国や人種、性別、信条等を超越した平等なルールと公正な審判によって運営されなければ、感動をよぶ競技など期待できない。