私はヤゴです

水中から地上へそして空中へ飛び立つ人生を

100 「見切り販売」

2009-06-24 17:01:58 | weblog
消費期限の迫った弁当や菓子パンの値引きを認めず、大量廃棄を続けてきたコンビニの販売方式に、6月22日公正取引委員会が「待った」をかけた。期限切れ前に値引きをして販売する「見切り販売」が認められれば、消費者にも好都合のほか食品がごみになる「フードロス」も減少する。今回のセブンイレブン本部の値引き制限に対して、公取委の下した判断はエコ活動に取り組む社会全体の中で正しい英断と歓迎したい。
もともと国内で12,000店を展開している加盟店とセブンイレブン本部とは、商品価格を自由に決められる契約になっていた。それが時の経過とともに本部は優越的地位を利用して推奨価格を示したり、販売期限を超えた食品は全て廃棄するよう加盟店に要求。廃棄が増えるほど店の負担が重くなるシステムを作り上げ、これに反するものには不利益処分を与える言動が見られた。商品の鮮度が落ち、消費期限が迫ったものを値引きして売買するのは商法の常道で、一般的にスーパー等で閉店時間間際に行われ定価販売にこだわっていない。これは「もったいない」意識の国民感情にも合致し、消費者には好感をもって受け入れられている。
コンビニの使命は、「消費者に対する利便性」であるだけに全国津々浦々にまで確立された24時間営業、定価販売のビジネスモデルがこれからも維持できるかコンビニ業界の英断が試されることになる。年間58万トン(農水省 18年度推計)ともいわれる弁当やおにぎりの廃棄物。片や食料自給率40%では世界の笑いものになりはしないか。
今後、この利便性、利益、環境保護、食料自給率等とのバランス、最大公約数をどこにおくのかコンビニ業界にのみ丸投げせず、消費者も含めた社会全体が取り組むべき問題でもある。

99 D N A 雑 感

2009-06-19 11:22:40 | weblog
DNAといえば遺伝子本体の解析で、一般的には事件現場に残された微量な資料や対照する資料から犯人特定や親子判定をする実に精度の高いデオキシリボ核酸鑑定を想像する。科学的・医学的にはむずかしい理論によって構成され、犯罪捜査や医学面で大きな貢献をしているがそのメカニズムは私にはよくわからない。
けだし、これを社会的視点からの発想で読み替え、解析してみたらどうだろうか。
   D (ディフェンス)  ・・・ 危機管理  組織防衛  国の防衛
   N (ニュートラル) ・・・ 思想的・政治的中立  情緒安定  平常心
   A (アクション)   ・・・ 攻めの活動  積極施策  創意工夫
守りを固め、平常心を保ちながら機をみて攻めに転ずる。そして、程よくこの三者のバランスが保たれていることが、「強い国・組織・企業」「賢い国民・社員」を作り上げるための必要条件のような気がしてならない。
政治・経済、企業経営、スポーツ、社会生活等においても考え方は同じではないか。長引く不況下にあって将来や周辺の状況を見ながらじっと耐える判断も必要となろう。
「できるだけ主義とこれだけ主義」「現状維持派と現状改革派」「まだ・・あるともう・・ない」選択肢はいくらでもある。
 「理論が正しいからと言って 良い結果が出るとは限らない」
 「学問があるからと言って その人に教養があるとは限らない」
 「総論で良いと言っている人でも 細部まで賛成しているとは限らない」
世の中この「限らない」ことが多すぎ、税金も介護掛け金もアップして年金から天引きされるに至り、「先を読む力」がなければ刹那主義では生きて行けない時代となった。

98 ナラ枯れ病

2009-06-14 06:18:08 | weblog
昆虫が運んだ病原菌によってナラ、シイ、カシ、クリといった樹木が集団で枯死する「ナラ枯れ病」が、島根、山形、秋田など日本海側の23府県に拡大し猛威を振るっている。この病気は人間の新型インフルエンザと同じ感染力が強く、長野県でも北部飯山方面の里山にこの病気の兆候が出ているという。
犯人は、カシノナガキクイムシ(カシナガ虫)。体長5ミリほどの甲虫で、幹に穴を開けて侵入し、持ち込んだナラ菌を繁殖させて餌にする。菌が増えると水を吸い上げる力が弱まり枯れてしまうケースが一般的だ。始末が悪いのは、このカシナガ虫は例年6月ころから活動をはじめるので若葉の成長期に当たる夏場に被害が目立つ。気がかりなのはこの「ナラ枯れ」、拡大の原因がはっきりせず今もって解明されていないことだ。
同じような病気に松くい虫病がある。同病は「マツノザイセンチュウ」という体長1ミリにも満たない線虫が、松の樹体内に入ることで発生し、その線虫を松から松へ運ぶのが「マツノマダラカミキリ」という運び屋らしい。松くい虫は外材に潜入して日本に入ってきたものだが、その環境適応力と繁殖力は抜群である。カシナガ虫も外国産で運び屋によつてその活動範囲を広げているとするならば由々しき問題だ。
山菜の時季。梅雨の合間に一段と新緑の映える山に入り野鳥の声に囲まれての山菜狩りは爽快そのものだ。そんな中で茶色と化した枯れた樹木を見るのがつらい。
病気拡大の遠因には、里山の手入れ不足や温暖化で虫の生態が変わったことが指摘され、長野県は今年から新たに「森林税」を県民から徴収している。このナラ枯れ病、松くい虫病の被害予防も視野に入れた森林行政で、長野の大切な緑を守って欲しい。

97 議員と世襲制

2009-06-11 04:37:54 | weblog
世襲とは、親の手にしている特定の地位や肩書き、職業をその子や係累が引き継ぎ、それによって社会的な権力や権限を得ることである。開業医の子が親の営む医業を継ぐケースは一般的で、政治家、外交官、大学教授、芸能人など事実上の世襲が多くなる傾向にある。とりわけ歌舞伎、能、狂言等の伝統芸能については世襲によってその文化が守られているといっても過言ではない。また、天皇家の皇位は世襲されることは、日本国憲法によって保障されている。
今、国会内には世襲議員に対する風当たりが強く世襲規制論議が高まり、民主党は3親等内の親族が同じ選挙区から連続立候補することを党規で禁止し、政治団体代表を継承することも禁じようとしている。この世襲規制論の骨子は、地盤(後援会)、看板(知名度)、カバン(政治資金)の「三バン」を「そっくり親族から引継ぎ立候補するのは不公平」とし、世襲そのものを「悪」と位置づけている。
ダメな世襲議員は選挙によって淘汰されればよいのであって、はじめから立候補の制限をすることには問題が多すぎ私は反対である。世襲議員でも良いものは良い。
永年正当に積み重ねられた政治家と地元民との信頼関係は、地域にとっても政党にとっても大切な財産である。それを親から子に引き継ぐことが何故悪いのか。
もともと国会議員を選ぶのは有権者である。「世襲は悪」と最初から立候補の権利すら認めない感覚には危険な全体主義を予感させる。立候補の間口は広くして当落は有権者の判断とし、出口を狭くすることが民主主義の根幹ではないだろうか。

96 DNA鑑定

2009-06-07 04:12:07 | weblog
平成2年栃木県足利市で発生した4歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で無期懲役が確定していた菅家利和(62)受刑者について、東京高検は6月4日午後同人を千葉刑務所から17年半ぶりに釈放した。
再審開始の決定が出る前に異例の釈放となったものだが、これは犯人特定、有罪決め手の証拠とされていたDNAの型が再鑑定によって別人のものと判定されたことによる。今後再審が行われることになるが、無罪判決が出されることは必至と見られている。
DNA鑑定は、4兆7000億人に一人といわれる高い確率で個人を特定できるといわれ、指紋(万人不同 終生不変)とともに証拠の王としての双璧とされてきた。本事件ではDNA鑑定結果が決め手となって有罪を認定したものが、皮肉にも別のDNA鑑定結果によって無実を証明することとなった。
DNA鑑定の精度、本質は導入当時から何等変わっていないが、平成3年と言えば錬度が浅いためにその技術力、検査手順、検査方法等分析を担当した技官の腕が拙劣であったため、ゲルプレートが均一でない状態での誤った鑑定結果によって全ての誤判断が生じた可能性が高い。(帝京大名誉教授石山夫氏談)同鑑定は行う人、鑑定方法、資料の採取方法等が問題であって、今回の誤判定をめぐって鑑定の精度全体を否定してはならない。今後警察、検察そして裁判もこの科学鑑定は慎重に配慮しつつ他の証拠と合わせて評価すべきものである。
「刑事や検事は絶対に許さない」「失われた人生を返して」菅家さんの悲痛な叫びが聞こえてくる。司法界全体がそれぞれの分野で冤罪をなくすための猛省がなされなければ第二第三の菅家さんが再び三たび出現することになる。


95 杉原千畝と敦賀ムゼウム

2009-06-04 16:58:30 | weblog
今年は、第二次世界大戦の際ナチスから迫害を受けていたユダヤ人およそ6000人を救い「東洋のシンドラー」と呼ばれた杉原千畝(ちうね)外交官の生誕100年とポーランド孤児や迫害をうけた多くの難民を受け入れた「敦賀ムゼウム」(ポーランド語で資料館の意)が開館した記念すべき年でもある。
昭和15年杉原千畝(岐阜県出身)はリトアニアに大使として着任した。当時リトアニアにはナチス占領下のポーランドから逃亡してきた多くのユダヤ人が、各国の領事・大使館からビザを取得しようとしていたが、ソ連が他の大使業務を閉鎖したため日本領事館に通過ビザの発行を求めて殺到することとなった。
日本政府方針、外務省指示は「難民へのピザ発給は許可できない」旨の命令であり、これに反し杉原は人道的な見地から日本通過ビザを無制限に発給することを決意、その数6000人のユダヤ人の出国を助けた。
一方、100年前からウラジオストックとの直通航路を持つ敦賀港。日本とヨーロッパ各国を結ぶ最短路の拠点港として発展を遂げてきた。昭和15年日本政府は、シベリアに残されたポーランド孤児の救済に立ち上がり、総勢765名の孤児とその後6000人のユダヤ人を受け入れたのは、この敦賀港で「人道の港」と言われる所以でもある。今年3月港の近くに「人道の港敦賀ムゼウム」がオープンし当時の様子が資料とともに紹介されているという。機会を見て是非見学をしたいと思っている。
先人の偉業に頭の下がる思いがしているが、今の政治海賊船程度に手をこまねいているようでは、拉致や領土問題などとても解決にはおぼつかない。