私はヤゴです

水中から地上へそして空中へ飛び立つ人生を

便所掃除

2008-01-13 09:00:54 | weblog
「・・・むかつくようなババ糞がかけてあります/どうして落ち着いてしてくれないのでしょう/ケツの穴でも曲がっているのでしょう/それともよっぽどあわてたのでしょう/怒ったところで美しくなりません/美しくするのが僕らの務めです/美しい世の中もこんな処から出発するのでしょう/・・・」まだまだ続くが詩人濱口國雄の詩(「便所掃除」)の一節である。
古代の昔から便所はすべからく万人が毎日お世話になる神聖なところなのに、なぜか不浄の場所として清掃を嫌いお互いきれいに保とうという努力に欠ける。そのくせ自分が使うときは、よりきれいなより臭わない快適な便所を求める人間の性(さが)は、美味しく肉を食べながら動物を殺すのは可愛そうだといった詭弁に相通じている。
もともと便所掃除に力を入れ全国に普及させたのは、イエローハットの創業者が社員の意識改革のために始めた取り組みであるが、最近は広島、鹿児島、山梨など各県の警察学校がこれを取り入れ全国に広まりつつあるという。
新人教育の一環として素手、素足で汚れが見えない便器の裏側や排水口の奥まで小さなタワシを使って磨き上げていく真冬にはつらい作業だ。にもかかわらず生徒間には「汚れを落としていくたびに達成感が生まれた」「警察官に必要とされる思いやりの気持ちが芽生えた」「つらいことに積極的に取り組む姿勢が身につく」とトイレ掃除が「便器とともに心も磨く活動」として一役買っている。
広島県は、過去に暴走族の更正活動にトイレ掃除を取り入れてきたが、「危険」「汚い」「きつい」3Kを極端に嫌う現代の若者層にもその裾野を広げて欲しいものだ。