私はヤゴです

水中から地上へそして空中へ飛び立つ人生を

65 劣化社会

2009-02-26 04:26:02 | weblog
最近「劣化社会」の言葉が各所で散見される。精神科医師香山リカさんの出版本「なぜ日本人は劣化したか」(講談社)も好評だ。
日本語力の劣化、モラル・コンテンツ(情報の内容)の劣化、体力・辛抱強さの劣化、考える力・創造する力の劣化、社会の寛容の劣化などが指摘されているが、その最たるものが「政治力の劣化」ではないだろうか。安倍、福田、麻生と三代にわたり事実上の首相選びとなる総裁選は、解散のタイミングを失ったばかりに、国民不在の政権放棄、政治劇が行われ国民の審判を経ることなく今日に至っている。信任を得ていない政府だけにその政策に迫力や説得力にも欠け、時によってはブレ、失言、読み間違え等悪循環が続いている。ネジレ現象も、空虚な時間ばかりが過ぎ結論の出ない国会活動に政治の劣化が進んでいることを感ぜざるを得ない。
劣化は政界ばかりではない。社会のあらゆるジャンルでおきている。その原因は何だろう。規制緩和が市場競争主義を生みこれが経済利益優先主義や拝金主義(弱肉強食、勝ち組・負け組)から他人に厳しく自分に甘い排除型社会を形成、遂には味気のない自己中心的な社会が誕生し、その歪が各所で生じていると結論づけたら早計過ぎるか。
「お天道様に見られて恥ずかしいことをしてはいけない」「人様に迷惑をかけてはいけない」「自分がされて嫌なことは他人にしてはいけない」といった自己規制力や古来から伝わる日本の「恥の文化」は、健全な社会をつくるための最低限の規範として根付いていたが、こうした文化も劣化の波に呑まれて崩れつつあり寂しい。

64 定額給付金

2009-02-22 05:49:33 | weblog
総額2兆円に上がる定額給付金。1人当たり12,000円、加算は65歳以上及び18歳以下8,000円で所得制限を設けるかどうかは市町村に委ねられるが、全世帯に給付される点で定額減税より平等の施策だ。
ところが生活支援をして経済的負担を軽減することにより、個人消費の喚起と地域経済の活性化を図り地域振興に資することを目的としたこの「定額給付金」制度の導入が野党や国民の間で不評のようだ。世論調査結果でも70%を超す人が「政策として好ましくない」と答える一方、「決まれば受け取る」と答える人も80%を超えている。本音と建前が入り混じり理解に苦しむが、大事なことは8割の国民がこの定額給付金を受け取るという回答の事実である。
導入までは目的(経済対策、景気浮揚策)や経済効果のぼやけ、総理の考えがブレていたり、はたまた3年後の消費税アップとのからみもあって難航したが、日増しに降下する世界経済の中にあってもはや議論をしている時期は過ぎた。どのような施策であれ全ての国民が賛成・納得するものはない。賛成から反対まで多彩な意見があることの方がむしろ自然である。多少のリスクは伴おうとも何もしないことによる空白に流れる時間の損失を恐れる。
景気浮揚に繋がるかどうかを案ずるよりも一日も早くスピード感をもって実施し、受け取った国民が消費にまわすか貯蓄にするのかは自由に選択すればよい。反対であれば受け取らない選択肢もあるし、民間団体(NPO、NGO)等に寄付することも自由だ。私はこの定額給付金には賛成であって一日も早い給付を待っており、既にその使い道も決めている。

63 危機意識

2009-02-18 16:04:17 | weblog
2月18日米オバマ新政権のファーストレディークリントン国務長官が來日した。就任後、初の外国訪問が日本となるわけで政府や国会要人と会談、分刻みの日程の中で明治神宮に参拝したり拉致被害者家族会や大学生とも面談、2月24日の日米首脳会談を土産に残し慌しく東南アジアに向った。
折角「麻生首相を外国人首脳として初めてホワイトハウスに招待する」というのに、この日腹心の部下である中川昭一財務相の失態辞任劇があり帳消しとなってしまった。中川財務相のG7財務相・銀行総裁会議後の記者会見失態は、その醜態を世界に配信し日本の信用を失墜せしめた点において決して小さなミスでは済まされまい。報道によれば腰痛持ちの同氏は時々強い鎮痛剤を服用したり、今回も風邪薬や解熱剤を大量摂取したことに起因するらしい。しかし、体調不良といえばそれまでだが、これは刑法にいうところの″原因において自由な行為″であって、結果においてそのような状態になることが予想できる場合は薬の大量服用は慎むべきで飲酒するなどは言語道断だ。同氏がこれから合理的な説明責任を果さない限り、あの映像を見た世界中の人達は酩酊状態と信じこんでいる。
今回は薬であれ酒であれそれが問題ではない。正常な状態でなければ会見に臨むべきではなく辞退すべきだし、側近のブレーンもそれを進言して欲しかった。また、辞任のタイミングもワンタッチ遅れ潔さや顰蹙をかっているが、日本経済の現状を見たときこの程度の対応では、総理及び大臣としての危機意識・危機管理は弱いと言わざるを得ない。麻生総理にとっては光と陰が同時に訪れた一日だったが、国民に対する任命責任が棚上げになっており正念場は未だ続く。

62 不毛な国会論議

2009-02-15 04:34:02 | weblog
国会での質問には院外での責任が問われないことは当然である。だからと言って何をどのように表現しようと勝手だとばかりに個人攻撃や知恵だめしのような質問に終始したのでは品格などあったものではない。
先日も質問のテレビ中継を見ていると野党議員から総理に対し「詐欺呼ばり」「おっさん呼ばり」挙句の果ては「税金泥棒」扱いだ。また総理の現出をとるため「漢字読み取りテスト」や生活費・ラーメン代等の「知恵だめし」を言葉巧みに問いかけているが肝心の政策は二の次だ。大切な時間帯に公共の電波を使ってクイズ番組並みの質問はやめてもらいたい。
総理や大臣に対して罵詈雑言の限りを尽くし、冷静さを失わせて怒らせ解散総選挙のきっかけとなる失言を引き出そうとその魂胆は見え見えで、その姑息な手段に怒りさえ感じる。一国の総理たるもの国の歩むべき道や方向、舵取りを誤らなければ多少の漢字読み取りを間違えても大勢には影響ない。そんなことよりも公務員制度改革や郵政民営化それに定額給付金問題での発言の真意が伝わらずブレと受け止められることの方が信頼や支持率に大きく影響する。
オバマ新政権が日本に電話挨拶をしてきたのは、中東諸国やロシア、ドイツよりも遅い10番目以降と言われ、初会見でも「日本でも1990年代に大胆で迅速な行動をとらなかったばかりに《失われた10年》があった」と紹介したが褒められたものではない。そんな日本がネジレ現象や分裂現象でいつまでも不毛な論議を繰り返しているようでは、当分「政治は世界の三流」から抜け出せそうもない。

61 大 麻

2009-02-12 08:48:08 | weblog
大麻が今日本列島を蝕んでいると言ったら言い過ぎだろうか。芸能界から大学キャンバスへそしてスポーツ界(とりわけ相撲界、ラグビー界)へと飛び火しそれぞれ自らの人生を台無しにするなど話題に事欠かない。
大麻とは何ぞや。大麻はマリファナとも呼ばれ麻の花、茎、葉を乾燥させて切り刻み、燃やすなどして発生した煙を吸引して使用する薬理作用のある植物であり、嗜好品や医療薬として用いられスペイン語で「安い煙草」を意味する。大麻はもともとメキシコの野草として自生していたものが、繁殖力が強く、安価に手に入ることから世界に広まった。日本でも第二次大戦以前から旧日本軍が軍需品生産を目的として生産を推奨したことから北海道、長野の奥地には未だ自生しているものも多いという。大麻はそうした歴史の遺物だけにその毒性は少なく、依存性、禁断症状、沈静作用、多幸感・陶酔感、副作用等は、覚せい剤や向精神剤とは比較にならないほど低くタバコと同様嗜好品としての性格が強い。それだけに容易に好奇心から手を出し易い代物でもある。
この大麻、外国においてはEUをはじめとするヨーロッパ諸国は、吸引行為は罪とならず少量の所持も犯罪や刑罰の対象とはしていない。アメリカの一部の州でも28g以下の所持を合法化するなど世界の主流は少量の所持行為は非犯罪化の立場だ。
それに引き換え日本は昭和27~29年にかけて大麻取締法の廃止が検討されたが見送られ、少量所持であっても最低刑を懲役刑と定めたのはG8中日本だけである。大麻を所持しマスコミの餌食になった者を擁護する積りは毛頭ないが、世界の趨勢とマッチしないこの大麻取締法も「悪法もまた法」である。若者よ大麻の所持で社会的非難を受けることのないよう軽率な行為は謹んで欲しい。

60 安全と体感治安

2009-02-08 04:51:27 | weblog
食の安全、医療の安全にはじまり治安にまで陰りがみえた昨年の安全。日本もかつての安全神話は崩壊し″水と安全はタダ″の時代は過去のものとなりつつある。丑年も年はじめから世界同時不況の波がどっと押し寄せ、下方修正、倒産、契約解除といったニュースばかりが目立ち社会に閉塞感が充満している。
世界に冠たる治安の良さを誇っていた日本も、バブル崩壊後あたりから治安は極度に悪化し、一時は戦後最悪の状態にまでなった。この度の不況も100年に一度全治までに3年かかるといわれ、不況に原因する自殺者も増えつつある。
昨年1年間の刑法犯の認知件数は、前年比4.7%減の182万件と減少こそしたが、検挙件数も減っている。その反面不況を色濃く投影した凶悪な通り魔殺人事件、タクシー強盗(致死)事件、振り込め詐欺や高齢者犯罪の増加をみるとき、数字の上の「指数治安」は保てても住民が肌で感ずる「体感治安」は悪化の一途をたどっている。真昼間大学キャンパス内で教授が刺殺される時代だ。
「地域の発展は、健全な治安と財政から」の格言がある。社会が健全に機能していく為には、安全な治安基盤の上に経済基盤があり、平和・治安が何ものにも優先されなければその発展は期待できないことを戒めている。アフガンやパレスチナが雄弁に物語っている。
「人口の増加とルール・マナーの低下は反比例する」説も免許人口や外国人人口の例からもうなづける。不良外国人や暴走老人、モンスター老人、精神異常・性的異常者の増加とともに増える犯罪やきみの悪さが「体感治安」を弱める。数字にとらわれず住民の安心感を担保するためにも有効な犯罪・事故防止対策が急がれている。


59 かんぽの宿 

2009-02-04 08:36:05 | weblog
郵政民営化論議の中で示されていた「かんぽの宿」70施設については、日本郵政が譲渡先の公募・選定作業を進め入札の結果、昨年12月オリックスの子会社(オリックス不動産)に従業員3200人の雇用も含め109億円で一括譲渡する契約を締結していた。そしてこの4月1日には契約が完了するはこびとなっていた。ところが郵政事業を所管する鳩山総務大臣が、この契約に″待った″をかけた。
譲渡経緯や譲渡金額を問題視し「国民の納得が得られない」と疑義を唱え「出来レースを認めるわけにはいかない」とクレームをつけたことから契約完了は絶望的となり、遂に1月29日西川社長が撤回を表明した。
確かに調べてみると、この70施設の土地代、建設費は総額2,400億円(税金)かかっており、譲渡価格も民営化の際公社から引き継がれた簿価(123億円)よりも安く、加えてオリックスグループの宮内義彦最高経営責任者(CEO)が総合規制改革会議議長を務めるなど国の政策決定にかかわってきたことなどを考えあわせると疑念を抱かざるを得ない。大臣の怒りは国民の怒りでもある。
「瓜田に履を納れず 李下に冠を正さず」民間業者といえども日本郵政(株)たるもの国民注視のもとで行われる取引き、入札、契約等は透明性をもった国民の納得を得られるものでなければならない。かんぽの宿は、年に40~50億円の赤字を計上する不良資産であるだけにその処理には「迅速」が求められるが、その手続きは「適正」を疎かにしてはならない。

58 携帯電話

2009-02-01 21:17:39 | weblog
文部科学省は、1月30日小中学校への携帯電話の持込みを原則禁止することを各都道府県教育委員会に通知した。高校は行動範囲の広がりなどを考慮し、校内や授業中の使用を禁止するという。既に全国90%以上の学校が携帯持込み禁止を実施していたものを文科省が追認した形となった。
以前から問題となっていた出会い系サイトなどの有害情報やネットいじめといった携帯電話に潜む危険から子供たちを守るための文科省通知は一歩前進したが、より潜在化する校外での使用に効果はなくこれで安心できる対策ではない。
もともと携帯電話所持と学力低下には相関関係があり、反比例すると言われその実態調査結果も公表されている。中学生3,000人の追跡調査では、3年間携帯電話を持たなかった生徒の平均偏差値は、所持している生徒のそれを大きく上回り、また2年生から持つと1年の時より偏差値が下がり(1.2ポイント)3年生になって持っても同様下がる(1.7ポイント)男女とも同じデーターが出ている。これは明らかに携帯電話への依存度や関心が大きくなり、勉学への集中力が欠ける証左であろう。
私達の育った小中高時代には携帯電話などという文明の利器はなく、その必要性も感じなかった。勉学を本分とする子供に対して携帯電話の持ち込み禁止はしごく当然で常識的な措置として早い段階から実施することには大賛成だ。すでに携帯電話の所持を黙認、容認し″携帯依存″の環境をつくりあげてしまってから規制をしようとしても、その反発が大きいだけである。私は今の「携帯電話」「コンビニ」「少年法」のあり方が、子供たちを駄目にする三悪環境だと思っている。