私はヤゴです

水中から地上へそして空中へ飛び立つ人生を

長幼の序

2007-02-26 14:02:14 | weblog
「長幼の序」は、儒教の流れを汲む倫理観念で日本人の伝統的美徳の一つである。この大切さは戦前生まれのものなら幼児の頃から叩き込まれた美風でもある。
この思想の根底には、祖先、両親、目上の人、老人を敬い礼儀を尽す一方、子、孫、弱者、目下・年下の者には平等に慈愛を注ぐ考えが流れている。
日本では年齢が上か下かということが、“人生の先輩”として人間関係を決めるうえで非常に大切な要素となっているが、最近の日本、政治も経済も教育もゆがんだ自由主義、平等主義がはびこり、この「長幼の序」はいまや死語になりつつある。ある公立学校では、先生を「先公」と呼び、昼食時に「頂きます」「ご馳走様」というのは、先祖の霊に呼びかけることになり宗教教育になるとの理由からこのあいさつをやめたという。また、神社には合格祈願はしても、先祖のお陰で今日の自分があることも忘れ仏壇やお墓に手を合わせる若者は少なくなったという。寂しいかぎりだ。
今、社会問題となっている年金、医療、福祉、雇用、いじめのほかあらゆるジャンルで年寄りや弱者にそのしわ寄せが及んでいる。日本人の文化として長年培い伝統を守ってきたこの「長幼の序」は、ここ数年の間に跡形もなく消え失せ、長老を敬い弱者を助けるという社会の本来あるべき姿も消滅しそうだ。
昨日(2月25日)、落語界の大御所である三遊亭円楽師匠(74)が、「ロレツの回らない落語で入場料をとってやるのはお客さんに失礼だ」と惜しまれて現役を引退した。お客にたいする礼儀を守り、自ら「長幼の序」を実践し見事な引き際を演出したきれいな落語家である。

ハート展

2007-02-23 00:48:00 | weblog
第11回「NHKハート展」が、市内デパートで巡回開催されていたので、最終日の2月21日鑑賞してきた。
これは視聴覚障害、肢体不自由、知的障害等をもった人達が、日常生活の中で感じたことを一編の詩につづり、これに各界で活躍中の方がその詩に託された思いを「ハート」をモチーフに表現した展覧会である。さすがに全国から選ばれただけあって、50組の両者の詩と絵が溶け合い新たな輝きを増した見事なコラボレーションが会場に展開されていた。私の知るかぎりでは安田祥子、由紀さおり、林家木久蔵、児玉 清、山田邦子、太田 光それに同じ障害をもつ星野富弘(詩画作家)までもが参加していたのが印象的だ。作品の一部を紹介すると
 「わたしの世界」(点字翻訳)
  車椅子から眺める町並み/吹き抜ける風/青い空/感じる視線と見上げる目線 / たった100センチの世界 /だけどそれこそがわたしのすべて
                         (長崎県 野田 綾香 21歳 肢体不自由)
 「ギョウザ」
  具をのせる前は/満月だよ/  具をつつむと/半月だよ
                         (千葉県 関根 大徳 18歳 知的障害)
いづれもたどたどしい文字でつづられており、彼らの世界から鋭い観察力で物事を見つめている。その表現には決して偽り、飾り、誇張はない。全国を巡回して多くの人達に見てもらい「心のバリアフリー」を進めることが目的のようだが、今の世の中、心の荒廃、人命軽視、モラルハザード、拝金・錬金主義等健常者のほうがよっぽど病んでいる。

弁護活動

2007-02-19 09:15:45 | weblog
オウム真理教の麻原彰晃死刑囚の控訴審で、弁護側が期限までに控訴趣意書を提出しなかったことで、刑事裁判の控訴審が全く開かれないまま裁判が終結し死刑が確定した。裁判史上前代未聞の異常事態だ。
未提出の理由はいろいろ考えられるが、東京高裁はこの2人の担当弁護士の処分を日本弁護士連合会に求めたところ、日弁連は理由も示さず「不処分」の決定を行った。裁判員制度の導入が数年後に控えているというのに、今後も日弁連の説明がないままでは、裁判や弁護士に対する国民の不信を増幅させるだけではないか。
聞くところによると最近、地方の弁護士による弁護活動も質的変化をしてきているようだ。証拠もそろい共犯者も全て自供している明らかな凶悪事件の弁護で、担当する一部の弁護士が被疑者と面接「黙秘しろ」「署名するな」「押印するな」等指示を与えている。こうした弁護活動は、全てを懺悔、被害者に謝罪をし更正を誓っている被疑者に対して行うノーマルな活動だろうか。常識ある国民感情からすれば「正義の味方」であるべき弁護士のこの種態度は「防御権の乱用」「悪の味方」としか映らない。ましてそれが、自分の利益や名声を高めるためとあれば論外だ。   「死刑とは 厳しすぎると 殺人犯」
         「人のため 世のためホントは 我のため」  ー万能川柳ー
弁護士にも当然真実追求の義務があるはずだ。こんな手段まで用いて有を無にする努力よりも真相解明のために、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者が協力して審理を進めていくことの方が、ひいては国民の司法全体に対する信頼を勝ち取る道であることを信じたい。

殉 職

2007-02-14 18:13:31 | weblog
2月13日、15年前警視庁清瀬署の交番で大越晴美警部補が殺害された事件は時効を迎えた。同じ日自殺志願の女性を助けんと列車ににはねられ生死の境をさまよっていた警視庁板橋署の交番勤務宮本邦彦巡査部長(警部に特進)が帰らぬ人となった。一方は犯人も奪われた拳銃も発見されず、その一方は自殺志願の女性は左足骨折の重傷で済んだものの2人の尊い人命が失われ殉職だけが残る皮肉な結末となった。
国民の体感治安が伝えられるなか、交番の地域に果たす役割は限りなく大きい。全国に25万余いる警察官のうち約5万人が交番に配置され、地域住民と接しながら地道な警察活動を続けている。彼らには決して花形の出番はないが、犯罪検挙や防犯の活動拠点として昼夜持ち込まれる事件・事故、相談、諸願い届け、警ら等を黙々と行い「よろず屋」的機能を果たし、これが現場の最先端で治安を支えている。
報道によれば宮本警部は、普段から気さくに住民の中に溶け込み「街の燈台守」として“住民の生命、身体、財産を保護する”というごく当たり前の任務を優しく真面目に遂行し、絶大な信頼を得ていたことが伺える。それだけにこの強い使命感や正義感が逆に作用し、今回身の危険も顧みず英雄的行動に及んでしまい残念でならない。花束、折り紙、手紙、記帳者等彼の死を悼む3,000人に及ぶ住人の列が、生前の彼の人柄、実績、勇気の素晴らしさを如実に物語っている。彼の“勇気ある行動”は全国警察官の鏡でありこれからも語り継がれていくことであろう。
明日の葬儀を前に心から彼の死を悼みご冥福をお祈りする。   合掌

失 言

2007-02-11 23:23:03 | weblog
自民党衆議院議員の柳沢伯夫厚生労働大臣が「女性は子供を産む機械」であり、「二人以上産むことが健全である」旨の発言をしたことが問題となっている。話の全体の趣旨には触れず、言葉の使い方だけにピンポイントでスポットを当て過剰に反応その言葉尻りを捕まえて“大臣の資格なし即刻辞任すべし”と結論づけるのはあまりにも短絡的な“揚げ足取り”ではないか。
私は柳沢大臣を擁護する積りはないが、この発言も間違ったことは言っていない。男も女も子供をつくる製造機であり、二人以上子供を産む人も健全である。話の過程でその引用があまりにも卑近な例だったために不穏当な失言、時代錯誤の発言として世の集中砲火を浴びることになったものである。こんな言葉狩りをして内閣の支持率を貶め、参院選を有利に持ち込みたいがための政治に利用しようとする野党やメディアの心根が浅ましい。当の大臣が再三再四謝罪を繰り返し、反論ができないと知るや寄ってたかってこれ見よがしに罵声を浴びせかける。政界の陰湿なイジメにほかならない。ほかにまだ審議することはいっぱいあるというのに・・・。
自民党内には、以前にも「子供を産まない女性には年金を支給しない」旨の過激発言をした議員もいたが、女性蔑視のこうした発言こそ追及されてしかるべきだ。
柳沢大臣は与党内でも増税(消費税)再建論者のうえに日本の銀行には公的資金の投入は必要ないと時の竹中大臣と対立、そして今回ホワイトカラー・エクゼンプション法案の提出がからみ、出る杭が打たれた感じだ。大臣には今回の発言(失言)の重さと影響力を自重自戒され、世間の批判を肝に銘じながら与えられた重責を果たしてもらいたい。

氷見魚グルメ旅

2007-02-07 23:32:35 | weblog
2月4日~5日にかけて同期生4人とともに金沢→氷見をまわる魚グルメ北陸の旅を愉しんで来た。節分・立春とはいえ北国の冬は厳しいと冬支度も厳重に臨んだが、両市内には雪は全くなく気温も10℃を超えた旅行日和。拍子抜けだ。
金沢での昼食は蟹飯の後、行き当たりばったりで兼六園、武家屋敷跡、瑞龍寺等を見学するも、当時の前田藩士の権力とスケールの大きさに感嘆するのみ。
氷見の宿は民宿とはいえ4階建てのエレベーター付き、最上階の風呂からの眺めは絶景だ。眼前に広がる富山湾、その背景に雄大な白雪の立山連峰がつらなる。その連峰稜線から昇るご来光、目を転ずれば西空に満月が、湾内に異彩を放つイカ釣り漁船か漁火数隻。娑婆の喧騒から逃れ、こうして湯船に浸かっていると全てを忘れさせてくれストレス解消には最高だ。健康だからこんな体験もできる。極楽極楽。
湯上りに寒ブリ、かに、特産白エビ等を肴に酌み交わすビールのうまかったこと。味付けもよく日本海の魚はどれも本当に美味しく堪能した。酔うほどにお互い弁舌爽やか(?)に病気、年金、孫、畑作業等夜の更けるのも忘れて語るが話題は尽きない。この時期、天候、宿、料理、パートナー全てに恵まれ心身ともに大きな元気をもらいながら所期の目的を達成し帰宅した。
富山県は過去に「日本で最も住みやすい県」トップの世論調査結果があったが、近い将来今建設中の北陸新幹線が延伸全線開通すれば、北陸との距離・時間も大幅に短縮され、より多くの人達の望みが叶えられることになろう。それにつけてもこの工事の進捗は、他県に比べて長野県側が大きく遅れているのが気になる。

公徳心

2007-02-03 18:39:37 | weblog
巷間、街で遭遇したりニュースで知る事案でも頭にきたり不愉快な思いをするケースが多過ぎる。公徳心の欠如だけでは済まされない情けない事態だ。
 ・女性蔑視の発言は許せないと審議拒否をしたと思いきや、国会を抜け出し地 
  方選挙の応援演説をしている野党党首
 ・カネ問題で抵触しなければなんでもありの脱法行為を繰り返す政治家
 ・授業中や式中の最中携帯電話のメールに熱中する若者
 ・給食費、年金掛け金、受信料等を常習的に払わない滞納者 
 ・公園や道路等へ無節操にゴミを捨て、その分別も出来ない不心得者
 ・図書館の蔵書を切り抜きその上本まで窃取する犯罪者
 ・使い儲けとばかりにタクシー替わりに救急車を呼ぶ不適切利用者
 ・美観を損ねいたずらに柱や壁に落書きやビラ張りを繰り返す輩
等々例を挙げたらきりがない。政治家の公徳心、奉仕観念もここまで堕ちたのか。
日本人には限られた共同体の中では行儀よく行動するが、自分の匿名性が確保される状況下では全く別の行動原理が働くそうで、これが高じて大学院の教授までもが破廉恥な行為で逮捕される時代となってしまった。今後情報保護、匿名性の要請が強まれば強まるほど前記のようなケースが多くなることが予想される。
それだけにこれから次代を担う子供達には、「基礎学力の習得」「規範意識の醸成」を二本柱に教育再生を強く推し進めていって欲しいと願っている。
「神は見えざるところにあって 見えざるものを  見ている。」ー 聖書 ー