一平のペンとギター

僕らしい小説を書き、僕らしい歌をうたう、ぞ♪、ペンとギターの一平です。ギター弾き語りと小説書きの二刀流。

お婆ちゃんのハーモニカ―つづき。

2008-05-30 01:42:35 | Weblog

 

   お婆ちゃんの

      ハーモニカ♪

     つづき

 

 お婆ちゃんは、

 僕が歌った、宵待ち草、

   埴生の宿、あざみの歌、

 の時も、ハーモニカを、

 口に当てて、

 吹いていました。

  一生懸命に。

  楽しそうに。

  目をつぶって。

 

 一部が終わり、

 司会の、Yさんが、

 マイクを取って、

 「これで、

  一部を終わります。

  15分ほど休憩して

  2部を始めます。

  2部では、

  なごり雪、涙そうそう

  など、フォークや

  ポップスを歌って

  くださいます」

 と言いました。

 

  ふと、

 客席の、あのお婆ちゃんが、

 目に入りました。

  お婆ちゃんは、

 あのハーモニカを、

 ピンク色の巾着袋に

 しまっている

 ところでした。

 

  僕は、譜面台の譜面を

 2部で歌う曲の譜面に変えて

 席を立とうとした時でした。

 

  あの、お婆ちゃんが、

 中年の女性に腕を支えられて

 僕のところまで、

 杖を突いて、

 やってきたのです。

 「お婆ちゃん、

  一平さんと

  握手、するんでしょ」

 中年の付き添いの女性が

 言いました。

 きっと、娘さん、か

 息子の嫁さんでしょう・・。

 

  お婆ちゃんの手が、

 僕の目の前に出てきました。

 しわくちゃの手。

 僕は、手を出して、

 お婆ちゃんの手を、

 ぎゅっと、握りました。

 しゃがれた、小さな声。

  「一平さん、

   ありがとね」。

 手を握ったまま、僕も。

  「お婆ちゃん、

   こちらこそ

   ありがとう

   ございました」。

 

 お婆ちゃんは帰りました。

 付き添いの女性が、

 「お婆ちゃん、

  疲れちゃうので、

  これで失礼します」

 と言って。

 

  2部は、

  シェフ・なごり雪

  千の風になって・テルーの唄

   涙そうそう

  で終えました。

 

  あと片づけをしていた僕

  のところに、

  ケアプラザの職員の方が、

  やってきて、言いました。

 

  「今日は、本当に、

  ありがとうございました。

   実は、

  あの、お婆ちゃん、

  80才、で

  目が見えないんです。」

       

      おわり

         

                          (3月1日)

  

 

  

 

 

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ギター弾き語り。

2008-05-30 00:17:58 | Weblog

 

  お婆ちゃんの

    ハーモニカ♪

 

 「上菅田地域ケアプラザ」

  ホール。

 ちょうど教室一つ半

 ぐらいの広さ。

 2階まで吹き抜けの

 高い天井。

   

  時は、午後2:00ごろ。

 

 ホールの50席余りの椅子は、

 お爺ちゃん、お婆ちゃんで

 いっぱい。

 その数、およそ40人。 

 顔が、みな同じ。

  なぜか、みな同じ。

  男も女も、みな同じ。

 まるで、同じ人が、ずらり

 並んで坐っているみたいだ。

  えー? 

 なんでだろ。

   

 その中に、ぱらぱら、

 若者、中年男女が

 坐っている。

 20人ぐらいか。

 ひとりひとり、

 顔が違う。

 髪型、顔かたち、表情が、

 ひとりひとり、違う。

 女か男か、すぐわかる。

  なんでやろ。

 

  そういえば、

 赤ちゃんは、顔がみな同じだ。

 どの赤ちゃんも、

 同じ顔してる。

  泣き声も、だ。

  「オギャー、

   オギャー」。

 

 お婆ちゃんやお爺ちゃんの、

  笑い方が、これまた

  同じ。

  「わっはっはは、

   えっへっへへ」。

 

  人は、

 産声を上げた時と、

 息を引きとる時

 が近づくにつれて、

  顔が、

  声が、

 みな、同じになるんだ・・。

  へー、不思議だなあ。

 

 僕は、そんな人たちの前で、

 椅子に座り、マイクの前で、

 ギターを弾きながら、

 歌を歌っている。

 

 「一平の弾き語り、第一部

    童謡・唱歌・

  なつかしのメロデイー」

  の最中。

 

 「月の砂漠」を歌い終え、

 次に、「花嫁人形」を

 歌っている時でした。

  観客席の、

 中央のあたりから、

 ハーモニカの音が

 聞こえるのです。

 僕は、歌いながら、

  あれっ?!なんだ、

 と思いました。

 そのハーモニカの音は、

 たどたどしくも、

 途切れ途切れながらも

 続きました。

  どうも、僕のギターと歌声

 にはあっていないのです。

 どちらかというと、

 不協和音に近いのです!

 ああ、困ったなあー!

 耳を済ませて聞き入ってる

 お爺ちゃんお婆ちゃん

 若者、中年の人の耳と目が

 その音がするほうに、一斉に

 注がれました。

  一瞬、

 会場内の空気が変わりました。

 僕も、その音のするほうへ、

 目を向けました。

  すると、

 客席の、あるお婆ちゃんが、

 口にハーモニカを当てて、

 目をつぶって、

 一生懸命吹いていました。

 一心不乱に吹いているのです。

 

  あら。お婆ちゃんが・・。

 

 その姿を見ていたら、

 困ったなあ!と思った心が

 スーッと消えました。

  花嫁人形、を歌い終えて、

 僕は、そのお婆ちゃんに

 言いました。

 「お婆ちゃん、伴奏、ありがと」

 と。

  その後、僕は、

 「宵待ち草」「埴生の宿」

 「アニーローリー」

 「北上夜曲」「あざみの歌」

  を歌い、

 第一部を終えました。

  

   ーーーーーつづく。

 

   

 

 

  

 

 

 

 

 

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お知らせ♪

一平のギター弾き語り。 日時・場所など。  2015年9月19日(土)2:00-4:00pm ふれあいコンサート・ギター弾き語りライブ・相鉄線星川駅下車徒歩3分。保土ヶ谷区役所前。「クレヨン」2:00-4:00pm ゲスト:アルトサックス奏者:おすぎ君 初秋の人生の歌など♪