本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

チクる。

2015-03-01 22:19:56 | 世界
 私は自慢ではないが、小学生の頃はチクることが好きで得意な嫌な子供だった。当時私の周囲に《チクる》という言葉が一般的に流通していたかどうかは記憶にないが、私は自分のクラスの担任教師を殆ど崇拝していたと言っていいくらいの言わば《優等生》だった。夏休み、冬休みとなれば身の回りで起こる様々な出来事を逐一日記に書いて先生に報告したい子供だったのである。だから《チクる》などという意識は皆無のまま私は日々チクっていた訳である。

 殺された彼も田舎では一級の優等生だったのだと、私は思う。離島から出て行くときは七十人もの盛大な見送りを受け、バスケットをするんだと喜び勇んで川崎にやって来たのだ。
 しかし都会にはいい人間も大勢いれば悪い奴も大勢いる。天真爛漫で誰とでもすぐ友達になれる彼が不良グループに目をつけられるのも時間の問題だったのかも知れない。
 不良たちは《悪》に対する免疫のない彼に様々な遊びを教えたのだろう。アーケードゲームを教え、夜遊びの楽しさを教えた。彼の友人たちは《なんであんな人たちと付き合うんだろう?》と不審に思ったそうだが、彼にはそういった《偏見》はまだ形成されていなかったのだ。

 やがて、遂に《万引き》の指示である。真面目で清廉潔白な彼はこれを峻拒した。彼がその辺によくいる《テキトー》な人間だったら、《じゃあ一つやってみるか?w》となって彼はグループに仲間入りし、殺されることも無かっただろうが、彼にとってはコンビニの万引きなど絶対してはならないことだったし、したく無かった。何度リンチされても《学校へ行くな!行ったら殺すぞ!》と脅されても、万引きは拒否し続けた。そして彼も彼の友人たちもこの件を《チクる》ことはしなかった。彼ら内部の内規的道義的?躊躇いがあったのか、それともそもそも大人と大人社会への根本的不信があったのか、彼らはチクることはしなかったのである。もしチクっていたなら、鈍感な大人たちもようやく動いて、結果彼は殺されずに済んだかも知れない。

 しかしなぜ若者の一部がこうまでも凶悪化するのか。自分たちの諸々の悪事が露見することを恐れただけで、なぜ一気に《生かして於いたら危ない。生意気だ、やっちまえ!》となるのか。不良たちは個々人では実は何も出来ない場合が多いのだが、集団になると何でもやる。。《個》では弱いが、《群れる》と強くなり凶暴にさえなる。まるで先の大戦時大陸半島に渡って蛮行を繰り返した旧日本兵のようだ。

 不良たち凶悪化の一因には、例えば今話題の《東電の垂れ流し》がある。
 関東経済界のボス的存在の東電が、ああだこうだと見苦しく聞き苦しい言い訳に明け暮れして四年もの間放射能汚染水を垂れ流し続けているではないか。メルトダウンした炉心を幾つも抱えて、放射能は外海に流すしか為す術がないにもかかわらず、上辺だけを取り繕う《能書き》だけは一丁前だ。このような《醜悪》極まりない大人たちに、子供らを指導し教育する資格や能力があるのかどうかは甚だ疑問だ。そもそも現《大人社会》は子供たちに信頼されていないのではないか。

 世界は今イスラム国へ行きたがる若者たちが後を絶たない。彼らは伊達や酔狂で行きたがるわけではない。周りの社会に希望が持てないから行きたくなるのだ。

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 ⇧⇧ 以上は容疑者3名が逮捕される直前2/26に書いた私論だが、その後の報道に拠れば彼は学校側や親に《チクる》ことはしなかったが、友人の兄には自分が殴られた事実は伝わったのである。兄はリーダーの家まで言ってそのことを強く非難した。これが容疑者たちには気に食わなかったと言うのである。それが原因で殺されたのか、全く身勝手な奴らである。

 報道は容疑者の性格が凶暴と善良の《二面性》を持っていることを繰り返し報じていたが、そんなことだったら誰にでもある普通の話だから、それで彼の罪状が些かたりとも《減免》されることなどはあり得ない。各社一斉に一列に並んで報道した意味・根拠が私には不明である。


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