
「東洋経済オン・ライン」」2014年6月30日 9:00更新
フジ株主が突きつけた「日枝体制」への疑義 テレビ業界"一人負け"の元凶は経営陣の高齢化?
個人株主が投げかけた経営陣への問題提起は、あっさりと否決された――。
6月27日に東京・台場で開かれたフジ・メディア・ホールディングス(HD)の定時株主総会。2人の個人株主が共同で提出した10項目の提案に大きな注目が集まった。
その中でもポイントとなったのが、取締役と監査役の「75歳定年制」だ。フジ・メディアHDの取締役16人のうち、75歳を超えているのは日枝久会長(76)のほか、産経新聞の清原武彦会長(76)など5人。監査役も5人のうち、4人が75歳を超えている。こうした経営陣の高齢化が昨今の業績低迷につながっているのではないか、というのが個人株主側の理屈だ。
「一人負け」の構造的問題
2013年度のフジ・メディアHDの業績は、売上高こそ前期比1.6%増の6421億円だったものの、本業の儲けを示す営業利益は同16.2%減の315億円、最終利益に至っては同44.8%減の172億円と、大幅な減益となった。ほかの在京キー4局が増収増益となる中、「一人負け」を喫した格好だ。
苦戦の要因は、フジテレビジョンやニッポン放送などが手掛ける放送事業が同28.3%の減益となったこと。「FIFAコンフェデレーションズカップ2013」や「ソチオリンピック2014」といった単発の大型スポーツ番組が健闘したが、レギュラー番組の落ち込みをカバーすることはできなかった。
昨年はフジ・メディアHDとフジテレビの経営分離を行い、プロデューサーとしてフジの黄金時代を築いた亀山千広氏がフジテレビの社長に就任した。が、日枝氏は今も両社で会長職にとどまり続けている。1988年にフジテレビ社長に就任して以来、26年間にわたって経営トップに君臨しているのだ。
経営体制を刷新して50代の亀山氏を社長に据えたが、今のところ、その効果はほとんど見えてこない。その理由について、共同提案した個人株主の1人である松沢弘氏(元・日本工業新聞<現フジサンケイビジネスアイ>記者)はこう指摘する。
「フジのような長老支配では、現場の若手はやりにくくて仕方がないだろう。亀山社長や常務の大多亮氏らは、日枝会長の“にらみ”から解放されれば、のびのびと力を発揮できるのではないか。もちろん、優れた経営手腕があればの話だが」
株主との質疑応答でも、日枝会長に関する質問が出た。日枝会長と安倍晋三首相は食事やゴルフで頻繁に会っていると週刊誌などで数多く報道されているが、権力機関を監視すべきメディアのトップとして問題ではないか、というものだ。
これに対し、フジ・メディアHDの太田英昭社長は「日枝会長は政界の多くの人と情報交換しており、安倍首相もその中の1人」と回答した。株主の指摘のとおり、首相と日枝会長が親しい間柄だとすると、在京キー局の中でアベノミクスによる景気回復の恩恵を享受できないのがフジだけ、というのも皮肉である。
バイキングは「長い目で見て」
ほかには、フジ・メディアHDが三井不動産や鹿島建設などとともにお台場への誘致を進めている、カジノ構想に関する質問もあった。国会に議員立法で提出されたIR(統合型リゾート)法案は委員会審議に入り、秋の臨時国会での継続審議が決まっている。
質問した株主は「業績の悪いフジ・メディアHDでも株価が極端に落ちないのは、お台場カジノ構想への漠然とした期待感ではないか」と指摘した。会社側は「特区準備室」を「特区事業室」に格上げして力を入れていることを認めたが、具体的な動きについては言及しなかった。
また、「笑っていいとも!」の後継番組「バイキング」の視聴率が低迷していることについて質問が出た。フジテレビの亀山社長は「『いいとも』も最初は視聴率2%だったので、新番組も長い目で見てほしい」と答えるにとどめた。
会場に来ていた株主からの質問は全部で16問。総会は12時40分に終了し、退場者もなく、大きな波乱もなかった。
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以上東洋経済オン・ラインからの引用終わり。
フジの一人負けは知らなかった。昼間家にいないこともあって「バイキング」という番組はまだ一度も見たことがない。「いいとも」だって終盤はずっとご無沙汰だった。フジのドラマでよく見ていたのは例の医局物のシリーズだが、あれも知らないうちに終わってしまったようだ。というか、ネットに忙しくて?テレビそのものを最近の私はあまり見ていないのである。
いずれにせよ、今はもう昭和30年代のような、猫も杓子もテレビに齧り付いている時代ではなくなったということだけは確かだ。
フジ株主が突きつけた「日枝体制」への疑義 テレビ業界"一人負け"の元凶は経営陣の高齢化?
個人株主が投げかけた経営陣への問題提起は、あっさりと否決された――。
6月27日に東京・台場で開かれたフジ・メディア・ホールディングス(HD)の定時株主総会。2人の個人株主が共同で提出した10項目の提案に大きな注目が集まった。
その中でもポイントとなったのが、取締役と監査役の「75歳定年制」だ。フジ・メディアHDの取締役16人のうち、75歳を超えているのは日枝久会長(76)のほか、産経新聞の清原武彦会長(76)など5人。監査役も5人のうち、4人が75歳を超えている。こうした経営陣の高齢化が昨今の業績低迷につながっているのではないか、というのが個人株主側の理屈だ。
「一人負け」の構造的問題
2013年度のフジ・メディアHDの業績は、売上高こそ前期比1.6%増の6421億円だったものの、本業の儲けを示す営業利益は同16.2%減の315億円、最終利益に至っては同44.8%減の172億円と、大幅な減益となった。ほかの在京キー4局が増収増益となる中、「一人負け」を喫した格好だ。
苦戦の要因は、フジテレビジョンやニッポン放送などが手掛ける放送事業が同28.3%の減益となったこと。「FIFAコンフェデレーションズカップ2013」や「ソチオリンピック2014」といった単発の大型スポーツ番組が健闘したが、レギュラー番組の落ち込みをカバーすることはできなかった。
昨年はフジ・メディアHDとフジテレビの経営分離を行い、プロデューサーとしてフジの黄金時代を築いた亀山千広氏がフジテレビの社長に就任した。が、日枝氏は今も両社で会長職にとどまり続けている。1988年にフジテレビ社長に就任して以来、26年間にわたって経営トップに君臨しているのだ。
経営体制を刷新して50代の亀山氏を社長に据えたが、今のところ、その効果はほとんど見えてこない。その理由について、共同提案した個人株主の1人である松沢弘氏(元・日本工業新聞<現フジサンケイビジネスアイ>記者)はこう指摘する。
「フジのような長老支配では、現場の若手はやりにくくて仕方がないだろう。亀山社長や常務の大多亮氏らは、日枝会長の“にらみ”から解放されれば、のびのびと力を発揮できるのではないか。もちろん、優れた経営手腕があればの話だが」
株主との質疑応答でも、日枝会長に関する質問が出た。日枝会長と安倍晋三首相は食事やゴルフで頻繁に会っていると週刊誌などで数多く報道されているが、権力機関を監視すべきメディアのトップとして問題ではないか、というものだ。
これに対し、フジ・メディアHDの太田英昭社長は「日枝会長は政界の多くの人と情報交換しており、安倍首相もその中の1人」と回答した。株主の指摘のとおり、首相と日枝会長が親しい間柄だとすると、在京キー局の中でアベノミクスによる景気回復の恩恵を享受できないのがフジだけ、というのも皮肉である。
バイキングは「長い目で見て」
ほかには、フジ・メディアHDが三井不動産や鹿島建設などとともにお台場への誘致を進めている、カジノ構想に関する質問もあった。国会に議員立法で提出されたIR(統合型リゾート)法案は委員会審議に入り、秋の臨時国会での継続審議が決まっている。
質問した株主は「業績の悪いフジ・メディアHDでも株価が極端に落ちないのは、お台場カジノ構想への漠然とした期待感ではないか」と指摘した。会社側は「特区準備室」を「特区事業室」に格上げして力を入れていることを認めたが、具体的な動きについては言及しなかった。
また、「笑っていいとも!」の後継番組「バイキング」の視聴率が低迷していることについて質問が出た。フジテレビの亀山社長は「『いいとも』も最初は視聴率2%だったので、新番組も長い目で見てほしい」と答えるにとどめた。
会場に来ていた株主からの質問は全部で16問。総会は12時40分に終了し、退場者もなく、大きな波乱もなかった。
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以上東洋経済オン・ラインからの引用終わり。
フジの一人負けは知らなかった。昼間家にいないこともあって「バイキング」という番組はまだ一度も見たことがない。「いいとも」だって終盤はずっとご無沙汰だった。フジのドラマでよく見ていたのは例の医局物のシリーズだが、あれも知らないうちに終わってしまったようだ。というか、ネットに忙しくて?テレビそのものを最近の私はあまり見ていないのである。
いずれにせよ、今はもう昭和30年代のような、猫も杓子もテレビに齧り付いている時代ではなくなったということだけは確かだ。