むかしむかし、
まだ桜木町駅前の土地がみなとみらいが出来ていなくて更地だったころ、
付き合っていた女にひどい仕打ちをされ、
泣く泣くその女から去った男がいた。
その男は女のみならず横浜自体も嫌いになり、
職場に近い都内に移り住んだ。
女はしばらく横浜に住み続け、
バブルの末期にとある田舎に引っ越した。
何の因果か男と女は30年後に再会し、
更地にドーンと出来たみなとみらいを眺めながら、
これまでのことを語り合った。
大桟橋から見るみなとみらい。
それはいつの間にかそこに生まれた。
まるでそれは男と女の子供でもあるかのように、
男と女の心に訴えかける。
僕らはこんなに立派になったよ。
心配しなくていいよ。
それは男と女のみらいでもあった。