安倍晋三は自身を絶対者に位置づけているのか、国民の命よりも優先の山梨県鳴沢村の別荘休暇とゴルフ

2016-07-19 09:28:33 | Weblog

 安倍晋三が7月17日午後から夏季休暇入りした。17日夕方に山梨県鳴沢村の別荘に到着し、今月24日までの1周間だそうだ。

 マスコミは来月3日予定の内閣改造と党役員人事の構想を練りながら英気を養うと予想しているが、勿論、英気を養う最大の道具はゴルフに違いない。

 安倍晋三の鳴沢村別荘でのゴルフ付きの休暇と言うと、別荘滞在中に発生する自然災害をついつい連想してしまう。

 今回の別荘滞在中に大きな自然祭が起きないことを願うばかりである。

 東北地方は2011年から2013年にかけて3年続きの大雪に見舞われた。2013年は2012年12月から2013年2月にかけて大雪が降り続き、以後の雪降ろしその他で総務省消防庁は3月4日午前7時の時点で89人が亡くなったと発表している。

 自然の猛威はこれだけで終わらなかった。翌月の2013年3月2日から3月3日にかけて急速に発達した低気圧の影響によって北海道は広範囲に亘って激しい暴風雪に見舞われた。

 積もった雪と吹雪で自動車が相次いで立ち往生し、車内に閉じ込められたりして一酸化炭素中毒にかかるか、あるいは車外に逃れたものの、吹雪で方向を見失い、前へ進むこともできずにその場に倒れて低体温症等で9名が犠牲となった。

 このとき安倍晋三は山梨県鳴沢村の別荘で休暇を過ごしていた。

 「首相動静(2013年3月2日) - 首相動静watcher」と、「首相動静(2013年3月2日) - 首相動静watcher」から関連する個所を見てみる。  

 2013年3月2日

 時事通信
 午後4時47分、山梨県鳴沢村の別荘着。
 午後6時58分、別荘発。同7時8分、同県富士河口湖町の中国料理店「湖宮」着。昭恵夫人らと夕食。
 午後9時8分、同所発。同18分、別荘着。
 3日午前0時現在、別荘。来客なし。(了)

 2013年3月3日

 時事通信
 午前7時52分、山梨県鳴沢村の別荘発。同8時28分、静岡県小山町の東富士カントリークラブ着。昭恵夫人らとゴルフ。
 午後3時27分、同所発。同31分、同町の冨士霊園着。祖父岸信介元首相、父安倍晋太郎元外相の墓参り。同45分から同47分まで、報道各社のインタビュー。「週末を別荘で過ごした感想は」に「久々にリフレッシュした。あすから厳しい国会がスタートするので一生懸命頑張りたい」。同48分、同所発。

 午後6時5分、東京・富ヶ谷の私邸着。(以上)

 北海道のこのときの暴風雪で3月2日午後、53歳の父親と小学3年9歳の娘が軽貨物車で自宅を出たまま行方不明となり、警察が捜索、翌日3月3日午前7時過ぎ、町内の牧場で父親が娘に覆いかぶさった体勢で雪に埋もれていた2人を救助、病院に搬送したが、父親は死亡、幸いにも娘は一命を取り留めることができた。

 安倍晋三は3月3日の午前、別荘から豪雪対策を古屋防災担当相に電話で被害状況の確認、除雪の徹底、ライフライン確保と交通網の復旧への尽力等を指示している。

 翌日の3月4日朝、帰京した安倍晋三は関係閣僚会議を開催、古屋防災担当相に指示したのと同じ内容の指示を行なっている。

 安倍首相「大雪により大きな被害が生じており、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます」(NHK NEWS WEB

 何しろゴルフで「久々にリフレッシュ」できたからだろう、スラスラと悔やみの言葉が口を突いて出たに違いない。

 同じ2013年の7月28日、島根県と山口県の県境で局地的豪雨が襲い、2人の死者と2人の行方不明者を出した。山口県では特に山口市と萩市に被害が集中、安倍晋三は1週間後の8月4日午前、島根県の被災地を、8月4日午後に山口県の被災地を訪れ、被害状況を視察している。

 山口県が選挙区という事情もあるに違いない。

 そして6日後の8月10日から夏休みに入り、8月10日夏休みの初日に山梨県鳴沢村の別荘近くのゴルフ場でゴルフに打ち興じた。

 もし山口と島根を視察せずに別荘近くのゴルフ場で夏休みのゴルフに打ち興じたなら批判が集中するだろうから、視察はゴルフを愉しむための通過儀礼だったのかもしれない。

 この2013年も豪雨被害は7月28日の山口と島根だけで終わらなかった。「平成25年8月秋田・岩手豪雨・土砂災害緊急調査報告(速報)」東北大学災害科学国際研究所 緊急災害調査団)から見てみる。 

 〈 8月9日,日本海から湿った空気が流入し大気が不安定となり,秋田・岩手県各地で観測史上最大の雨量を記録した.この豪雨に伴い,洪水氾濫,斜面崩壊,土砂災害などによる被害が秋田・岩手県の各地で生じた.秋田県仙北市では,大規模な斜面崩壊とそれに伴う土砂流動が発生し,6名の方が亡くなった.また,岩手県雫石町では,豪雨による土砂崩れで道路が寸断され,多数の孤立集落が発生した.秋田県大館市,鹿角市や岩手県花巻市などでも土砂災害や洪水により多くの被害が生じた.〉――

 秋田・岩手を襲った豪雨はこの日1日だけ、東北北部は翌日の8 月10 日に梅雨明けしている。例え雨が上がったとしても、斜面崩壊や土石流等の土砂災害は降った雨が集中する個所であとまで尾を引く。

 だが、6名の死者が出ていながら、安倍晋三は夏休み入りの8月10日翌日のは8月11日と8月12日と続けて、富士河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」でゴルフに打ち興じている。

 首相のゴルフというのは国民の命よりも優先されると考えているようだ。

 この優先の筆頭は何と言っても、ブログで何度か取り上げているが、2014年8月20日の広島土砂災害時のゴルフであろう。

 2014年7月30日から8月26日にかけて台風12号、台風11号及び前線と暖湿流により北海道、秋田県、石川県、岐阜県、三重県、京都府、兵庫県、広島県、徳島県、高知県等、日本各地に広範囲に亘って豪雨に見舞われ、特に2014年7月31日夜から8月20日未明にかけて広島県広島市北部の安佐北区や安佐南区等の地域を局地的豪雨が襲い、大規模な土砂災害を発生させ、これらの地域だけで74名の死者、3名の関連死者を出している。

 当の安倍晋三は広島土砂災害が発生の8月20日当日、未明から朝にかけて土砂災害に遭い、行方不明となったという119番通報が刻々と伝えられ、被害が深刻化していく中で朝方5時過ぎにはほぼ死亡を意味する心肺停止状態の子ども一人の発見が報じられて、そういった悲報が続くことは誰もが避け得ない状況にありながら、夏休み中の山梨県鳴沢村の別荘を午前7時22分に出立、8時26分に富士河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」に到着、それからゴルフを楽しんでいる。

 政府が8月20日4時0分に首相官邸危機管理センターに情報連絡室を設置し、情報収集に当たり、別荘の安倍晋三と連絡を取っていたのだから、死者の数を含めて被害の拡大を予想しなければならない立場よりもゴルフを優先させた。

 安倍晋三が官邸からの催促を受けてゴルフを中止したのは約1時間後の午前9時19分である。

 かくも国民の命よりもゴルフを優先させている。

 国家のトップリーダーというのはこれが当たり前の姿なのだろうか。それとも安倍晋三は特別な存在、自らを絶対者に位置づけているのだろうか。 

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安倍晋三のダッカ邦人等人質殺害テロ未検証のままの事後対策・万全な遺族支援はテロを不可抗力とするもの

2016-07-18 09:46:53 | Weblog

 7月14日夜、現在のところ80人死亡とされているフランス・ニースのフランス革命記念祝日の雑踏に大型トラックが突っ込んで意図的に大量殺人を狙ったテロ事件発生時の翌日、安倍晋三はアジア・ヨーロッパ首脳会議(ASEM)出席のためにモンゴルを訪れていた。

 その席上、次のように発言している。

 安倍晋三「フランスのニースにおける残虐な攻撃により亡くなられた方々に哀悼の誠をささげ、負傷された方々に心からお見舞いを申し上げる。日本はフランス国民と共にある。この事件が、テロによるものだとすれば決して許されない」(7月15日付NHK NEWS WEB記事)

 「テロは決して許されない」、あるいは「テロは決して許さない」

 テロが発生するたびに発信するお決まりの言葉となっている。

 勿論、日常普段からテロ対策に万全を期しているだろう。

 このテロ対策には海外在住の日本人がテロに巻き込まれないための対策も含んでいるはずである。

 だが、テロが起きてから、あるいは海外でのテロに在住日本人が巻き込まれ、犠牲になってから、「テロは決して許されない」、あるいは「テロは決して許さない」と決まり文句となっている懲罰意志を繰返す。

 但し決まり文句として繰返すこの「許されない」、「許さない」は起きてしまったテロに対するよりも今後起こすかもしれないテロによりウエイトを置いた懲罰意志でなければならない。

 なぜなら、テロは犯行主体と実際にテロを起こす実行者は異なり、その多くが犯行主体の遠隔操作的な何らかの意思・示唆を受けて実行者が入れ替わる形で起こす集団殺戮だから、実行者に対して許さないという形で懲罰意志を示し、実際に懲罰を与えることに成功したとしても、テロはそれで終わりとならないから、ある意味甲斐のないことになる。

 犯行主体に対しても、その組織の一つを壊滅させたとしても、生き残った誰かが、あるいは今まで部外者であった誰かがその意思を受け継ぐ形で新たなテロ集団を立ち上げない保証はない。

 一切の格差をなくし、誰もが等しく自由を享受できる新しい時代を迎えない限り、テロは永遠の命を持ち続ける可能性すらある。

 また「許されない」、「許さない」が今後起こすかもしれないテロによりウエイトを置いた懲罰意志の提示であったとしても、起きてしまったテロを起きてしまったことだと不可抗力扱いせずに何故起こさせてしまったのか、原因の徹底解明を試みなければ、次のテロを防ぐ参考材料とすることもできないし、再びテロが発生した場合、あるいは在留日本人が巻き込まれて犠牲者を出した場合、懲罰意志は無効となり、「許されない」、「許さない」の決まり文句を再び繰返すことになる。

 当然、起きてしまったテロ事件を不可抗力としないためには特にダッカのテロ事件に日本人が巻き込まれたことがなぜ防げなかったのかの検証が必要となる。

 安倍晋三はASEMの席上、日本人7人が殺害されたバングラデシュでの人質事件にも触れたそうだ。

 安倍晋三「国際協力の最前線で尽力されていた方々が残虐非道なテロにより命を奪われたことは痛恨の極みで、いかなる理由であれ決して許されるものではなく、断固非難する。

 過激派組織IS=イスラミックステートが直ちに『犯行声明』を出し、自身の犯行であると誇示していること自体が、アジアに活動の場を拡大しようとする危険な兆候だ。アジアでテロ集団が跋扈することを決して許してはならず、アジア諸国は団結し、欧州とも互いの知識と経験を共有し協力してテロと対峙していくという明確なメッセージを出すことが重要だ」(同NHK NEWS WEB記事)

 既に起きてしまったダッカテロ事件を「決して許されるものではなく、断固非難する」と強い懲罰意志を示すと同時に「アジアでテロ集団が跋扈することを決して許してはならず」と今後起こすかもしれないテロに対しても強い懲罰意志を示している。

 問題は後者を成立させるためには前者との中間になぜ在住日本人が巻き込まれてしまったのか、巻き込ませてしまったのかの検証を介在させなければならない。

 安倍晋三はASEM出席滞在中のモンゴルでバングラデシュのハシナ首相と会談している。

 安倍晋三「過激派組織IS=イスラミックステートなどのテロ集団がアジアに手を伸ばそうとしている。過激主義の浸透を許さないためにも事件の徹底した真相究明と情報提供、犯人に対する厳正な処罰を求めたい。また、再発防止に向けたバングラデシュ政府の全面的な協力を得たい。

 バングラデシュへの援助を縮小することはテロに屈するに等しいので、わが国としては今回、犠牲となった方々の志を受け継ぎ、ODAを今後も積極的に続けていく」

 ハシナ首相「亡くなったのはバングラデシュの開発発展に尽くしてくれた方々で、大きな悲しみだ。テロリストには国境も宗教も存在せず、ASEMで彼らの行為を絶対に許さないという力強いメッセージを発信すべきだ。今後も日本と連携し、協力していきたい」(7月15日付NHK NEWS WEB

 安倍晋三は「事件の徹底した真相究明」をバングラデシュ政府に丸投げしている。

 日本政府がしたことは政府専用機に遺族や関係者を乗せてダッカに運び、遺体と共に日本に戻ったことと、省庁横断でテロ関連情報の収集・分析に当たる「国際テロ情報ユニット」の人員拡充と外務省と国際協力機構(JICA)のメンバーを中心とした「国際協力事業安全対策会議」の新設の計画、ODA安全対策の抜本的見直し程度といったところである。

 日本人犠牲者7人は国際協力機構(JICA)が業務を委託した国内のコンサルタント会社の社員だそうだ。

 北岡JICA理事長「普通に考えれば安全な場所だっただけに、こういう事態になって残念だ。

 今年6月がIS(過激派組織『イスラム国』)設立2周年に当たり、さらにラマダン(断食月)明けは危険ということもあって、注意喚起はしていた」(7月3日付毎日新聞記事)

 事件現場を「普通に考えれば安全な場所だった」と見ていた。

 その一方でラマダン(断食月)明けのテロの危険性について「注意喚起はしていた」

 ラマダン(断食月)明けを祝うために人が大勢集まる場所の危険性――ソフトターゲットとなりやすい危険性を考えなかったのだろうか。

 少なくとも前者の見込み違いと後者の無効性に関わる情報処理能力の未熟性は検証の対象としなければならない。

 このことがODA安全対策の抜本的見直しに入るのかどうか、例え入れるにしても、上記検証とその報告を経ない見直しは中途半端に終わるに違いない。

 2週間程前に当ブログに取り上げたが、2016年5月30日の日付で外務省は「海外安全ホームページ」に在外邦人にラマダン期間中のテロ警戒の要請を行っている。

 《イスラム過激派組織によるラマダン期間中のテロを呼びかける声明の発出に伴う注意喚起》    

1 5月21日,イスラム過激派組織ISILは,ラマダン期間中のテロを広く呼びかける声明をインターネット上に公開しました。同声明では,特に欧米諸国におけるテロの実行を呼びかけており,民間人を対象としたいわゆる一匹狼(ローンウルフ)型のテロの発生も懸念されます。本年については,6月6日頃から7月5日頃までが,ラマダン月(イスラム教徒が同月に当たる約1か月の間,日の出から日没まで断食する)に当たります。また,ラマダン終了後には,イードと呼ばれるラマダン明けの祭りが行われます。

2 ISILは,昨2015年のラマダン月(6月18日頃~7月17日頃)においても,同様の声明を発出しています。同声明との関係は明らかではありませんが,昨年のラマダン期間中には,チュニジア沿岸部スースのリゾートホテル及び隣接するビーチが武装集団に襲撃され,外国人観光客38人が殺害されるテロ事件(6月26日)のほか,以下のテロ事件が発生しています。犯行主体は,ISIL関連組織に限られませんので,様々なイスラム過激派によるテロに警戒が必要です。

・フランス:東部リヨンにおけるテロ事件(6月26日)
・クウェート:シーア派モスクにおける自爆テロ事件(6月26日)
・エジプト:カイロ郊外における検事総長殺害テロ事件(6月29日)
・マリ:北部における国連車列襲撃テロ事件(7月2日)
・ナイジェリア:北部及び中部での連続爆弾テロ事件(7月5日~7日)
・エジプト:カイロ市内のイタリア総領事館前での爆弾テロ事件(7月11日)

 なお,上記事件のうち,複数の国で大規模なテロが発生した6月26日は金曜日に当たります。イスラム教では,金曜日が集団礼拝の日であり,その際,モスク等宗教施設やデモ等を狙ったテロや襲撃が行われることもあります。なお,本年のラマダン月については,6月10日,17日,24日,7月1日が金曜日に当たります。

3 ついては,特にラマダン(特に金曜日)及びイード期間中やその前後に海外に渡航・滞在される方は,従来以上に安全に注意する必要があることを認識し,外務省が発出する海外安全情報及び報道等により,最新の治安情勢等,渡航・滞在先について最新の関連情報の入手に努めるとともに,改めて危機管理意識を持つよう努めてください。テロ,誘拐等の不測の事態に巻き込まれることのないよう,特にテロの標的となりやすい場所(モスク等宗教関連施設,政府・軍・警察関係施設,欧米関連施設,公共交通機関,観光施設,デパートや市場等不特定多数が集まる場所等)を訪れる際には,周囲の状況に注意を払い,不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等,安全確保に十分注意を払ってください。

4 なお,本年のラマダン期間中(6月6日頃から7月5日頃)には,仏において,サッカーの欧州選手権(6月10日~,同日はラマダン月最初の金曜日),自転車のツール・ド・フランス(7月4日~)が予定されています。そのような世界的に注目を集めるイベントについても,テロの標的となる可能性があります。(以下略)

 外務省がラマダン期間中のテロの危険性を呼びかけていながら、イスラム教徒が89.7%を占め、尚且つ2015年に日本人男性が射殺され、「イスラム国」が犯行声明を出しているバングラデシュを警戒対象になぜ入れなかったのか、あるいは入れずとも、在バングラデシュ日本大使館に注意喚起し、大使館が在留日本人一人ひとりにその注意をなぜ伝えなかったのか、それらが各自の危機管理に関わる想像性の問題である以上、それを検証しなければ、事後の対策に進むことはできないはずだ。

 検証しないままに「国際テロ情報ユニット」の人員拡充だ、「国際協力事業安全対策会議」の新設だ、ODA安全対策の抜本的見直しだと動いたとしても、各自の危機管理に関わる想像性の問題を置き去りにすることになって、結局のところ、再び日本人がテロに巻き込まれて犠牲となった場合、「許されない」、「許さない」と尤もらしい懲罰意志を繰返すことになる。

 そしてこの繰返しは結果的には起きてしまったテロを、あるいは在外日本人のテロに巻き込まれた犠牲を何ら手を打って防ぐことができなかったゆえに、また遺族対策が如何ように万全であろうと、気づいていようがいまいが不可抗力としてしまうことになる。

 政府のテロ対策の検証、特にテロ対策に関わっている関係者各自の危機管理に関わる想像性を検証しないままの安倍政権の事後の動きを見ていると、どうしてもそう見える。

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安倍晋三のトルコクーデターを非難、エルドアンの強権政治を「民主的体制は尊重されるべきだ」は滑稽な矛盾

2016-07-17 06:49:12 | 政治

 トルコで7月16日、国軍の一部がクーデターを試み、、国営放送局等を占拠したが、やがて鎮圧された。安倍晋三はアジア欧州会議(ASEM)出席のためにモンゴルを訪れていたが、「民主的体制は尊重されるべきだ。できるだけ速やかに事態が正常化し、秩序と平穏が回復されることを強く期待する」とのコメントを発表、トルコ政府を支持した。

 様々な記事から現トルコ大統領エルドアンの政治家像を描くとすると、次のようになる。

 2003年3月16日首相に就任、軍部の政治介入阻止等の改革を進めるが、2007年の爆弾テロ未遂事件発生をクーデター計画と見做し、軍関係者ばかりか、ジャーナリストまで100人以上を投獄。西欧諸国から報道弾圧の批判を受ける。

 この批判をエルドアンは「中傷に過ぎない」とはねつけるが、報道弾圧・言論弾圧の気質は元々自らの血に根付かせていたようだ。

 2013年12月に明るみに出た与党の大規模汚職事件ではエルドアンが息子に資産隠しを指示した会話とみられる音声データがネット上に流出すると、自身を狙った外国勢力による陰謀だと主張、音声データも、その一例に過ぎないと親子の無実を訴えるが、2014年に入ってエルドアン自身が汚職に関与しているとの投稿がネット上に広がると、オンライン検閲の手を使ってネット規制を強めた。

 その規制にも関わらず汚職関与の投稿が続くと、2014年3月にツイッターを遮断する強攻策に出た。

 3月20日の演説。

 エルドアン「ツイッターを根絶やしにする。国際社会が何と言おうが構わない」(NHK NEWS WEB
 
 この遮断にアメリカ等が批判するが、「国際社会が何と言おうが構わない」と言った通りを有言実行、ツイッターに続いて動画投稿サイト「ユーチューブ」を遮断した。

 但し憲法裁判所が4月初旬にツイッター遮断は憲法違反との判断を示したことから、遮断は解除されることになった。

 そして6月、再び憲法裁判所が「ユーチューブ」遮断を憲法違反だと判断。「ユーチューブ」遮断も解除されることになった。

 エルドアンの手による言論の自由・報道の自由の侵害に対してノーを突きつけたのは憲法裁判所であって、エルドアン自身のその体質を解除したわけではない。

 エルドアンはトルコで初めての直接選挙で大統領に選ばれることとなった2014年の大統領選挙に立候補、8月10日第1回投票で過半数の票を獲得し当選。8月28日、大統領に就任している。

 但しトルコにあっては大統領は儀礼的存在でしかない。後任の首相はエルドアンが指名、儀礼的存在でありながら、実権はエルドアンが握った。

 なぜこういう面倒な手続きを踏んだかというと、新憲法の制定によって現行の議院内閣制から自身に行政権を含めた権限を集中する新たな大統領制への移行を狙っていたからだそうだ。

 2015年10月、政府に批判的なメディア数社を接収し、国の管理下に置いた。2016年2月には同じく政府に批判的なテレビ局が放送中止に追いやられた。

 2016年3月4日にはトルコ政府は新聞社ザマンを接収、国の管理下に置いた。

 2015年11月にスパイ容疑などで逮捕され、投獄されたジャーナリスト2人に対して憲法裁判所が「表現の自由」や「報道の自由」が侵害されていると認定、釈放命令を出して2016年2月26日に釈放されたとき、憲法裁判所の決定は最終のものであり、その決定は如何なる方法であれ修正することができない規定であるにも関わらず、エルドアンはその決定に従わない姿勢を露わにした。

 このように報道弾圧・言論弾圧の気質を自らの血に根付かせているエルドアンは民主的な選挙で大統領に選出されたと言うものの、憲法改正を狙って自身に権力を集中させようとしている。

 その権力が特に何に向かうかは目に見えている。自身の保身と更なる権力の強化。そのための反対勢力の封じ込め、そのための報道弾圧、あるいは言論弾圧。

 民主的な立場からの離反を意味する。

 ヒトラーも民主的な方法で首相となりながら、最悪の独裁者と化した。

 もし全てに亘って民主的な手法で政治を行っている民主的な政権に対し民主的な選挙によらずに武力を用いてその民主的体制を倒そうとするクーデーターは非難されるべきであろう。

 だが、民主的な方法によらずに国民の民主的な活動を封じている国家権力に対してその政権を倒そうとするとき、民主的な方法は封じられているのだから、一体何を以て倒したらいいのだろうか。

 クーデターや国内テロが悪なのは民主的な方法で政権選択が可能な民主的体制を保障されていながら、その方法によらずに武力を以って政権転覆を謀る場合であって、その目的の多くは民主体制の破壊ということになるが、国民が報道の弾圧や言論の弾圧に曝され、あるいは集会の自由を侵害されていて、民主的な方法では政権選択が不可能な、民主的体制が保障されていない状況下で、それ以外の方法では政権を転覆させて報道の自由や言論の自由、集会の自由を獲得できない場合は、そのような場合のクーデターは悪とは決して断定できないはずだ。

 もし北朝鮮で自由を獲得するために軍の一部がクーデターを起こして金正恩独裁体制を倒した場合、そのようなクーデターを悪と看做すだろうか。

 このような論法を当てはまると、共産党一党独裁で、時に言論の自由を認めず、政府批判の文化人やジャーナリストを一方的な裁判で刑務所に収容する中国での新疆ウイグルやチベットの独立を目的とした武力闘争は中国政府はテロとしているが、必ずしもテロとは断定できないことになる。

 エルドアンの報道弾圧、あるいは言論弾圧等の強権的政治手法と、憲法を改正してその傾向を強める意思が見て取れることを考えると、安倍晋三のようにトルコのクーデターを一方的に非難して「民主的体制は尊重されるべきだ」と言うのは単細胞に過ぎるように見える。

 大体がエルドアンの強権政治を「民主的体制」と価値づけ、尊重の意思を示すこと自体、滑稽な矛盾を孕む。

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安倍晋三は天皇の生前退位の意向を情報隠蔽し、対して天皇側の誰かが情報漏洩で対抗したのか

2016-07-16 09:41:20 | 政治

 7月13日19時00分付「NHK NEWS WEB」記事が、天皇が自身の位を生前に皇太子に譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示していたと伝えた。  

 この報道を受けて、他のマスコミも当初は「NHKが伝えた」という形で追随記事を書いた。

 記事はその理由を様々な病歴を抱えた82歳という高齢に反して多忙な国事行為を強いられていることを挙げ、〈「憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」と考え、今後、年を重ねていくなかで、大きく公務を減らしたり代役を立てたりして天皇の位にとどまることは望まれていない〉、〈こうした意向は、皇后さまをはじめ皇太子さまや秋篠宮さまも受け入れられているということ〉だと解説している。

 記事は皇室制度を定めた「皇室典範」には天皇の退位の規定がないために生前退位は皇室典範の改正が必要になると書いている。

 問題はここからである。7月13日21時50分付の「asahi.com」記事が山本信一郎宮内庁次長の全面否定の発言を伝えている。

 山本信一郎「報道されたような事実は一切ない。

 (宮内庁としての生前退位の検討について)その大前提となる(天皇陛下の)お気持ちがないわけだから、検討していません。

 (天皇陛下は)制度的なことについては憲法上のお立場からお話をこれまで差し控えてこられた」

 風岡典之宮内庁長官「次長が言ったことがすべて」

 山本信一郎宮内庁次長が「制度的なことについては憲法上のお立場からお話をこれまで差し控えてこられた」と言っていることは日本国憲法が天皇は「国政に関する権能を有しない」と規定していることに関してだろう。

 要するに天皇は皇室制度に関して発言する権限を与えられていないから、本人がどう思っているのか、その気持を周囲が察して、その意向に添う動きをしなければ、事は始まらないことになる。

 だとすると、生前退位の「大前提となる(天皇陛下の)お気持ちがないわけだから、検討していません」の発言は、千里眼の持ち主であるかのように天皇はそのような気持は持っていないと断定していることになる。

 気持は周囲が察することによって理解できる場合もあるが、常にそうであると決まっているわけではなく、気持を言葉に表現して初めて周囲に伝わるケースの方が多いはずで、それが自然な流れであろう。

 それを「お気持ちがないわけだから」と、天皇にそのような意向はないと簡単に否定してしまうことは自然な流れに矛盾する感じを受けないわけにはいかない。

 上記NHK記事は、「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示していると伝えている。天皇に皇室制度に関する発言権がいくらなくても、「体力の限界を感じているし、代行、代行では象徴としての務めを十分に果たすことはできない。生前退位できる制度への変更に国民の理解を得ることはできないだろうか」ぐらいは言葉にして周囲に伝達しない限り、結果はどうであれ、天皇が望む方向への議論すら始まらないことになる。

 皇室制度の変更はあくまでも国民の理解を必要条件とすべきで、安倍晋三のような天皇を絶対的存在として祭り上げたい天皇主義者の理解を必要条件とすべきではない。

 どうも宮内庁幹部に天皇の意向が伝えられていながら、それを否定しているように見えて仕方がない。

 ところが7月15日15 01:49付「共同47NEWS」記事は風岡典之宮内庁長官と山本信一郎宮内庁次長の全面否定を否定する内容の記事となっている。 

 〈天皇陛下が皇太子さまに皇位を譲る生前退位の意向を周囲に示されたことから、宮内庁の風岡典之長官ら幹部数人は今春以降、水面下で皇室典範改正の是非について本格的に検討していたことが14日、政府関係者への取材で分かった。議論の進捗状況は官邸と共有し、両陛下にも報告されていたという。宮内庁関係者によると、同庁は近く、陛下に自ら気持ちを公表してもらう方向で検討している。〉・・・・・・・

 記事冒頭はこのように解説している。

 検討の発端は、〈両陛下が1月末のフィリピン訪問を終えた後の2月以降、今後の公務負担軽減策を話し合う過程で研究が進んだとしている。〉と書いているが、記事冒頭で伝えているようにあくまでも天皇自身が〈生前退位の意向を周囲に示〉したことが事の始まりであるはずである。

 意向が議論を呼ぶ、極く極く自然な流れと言うことができる。

 別の「NHK NEWS WEB」記事は、天皇が「生前退位」の意向を示したのは今から5年程前だと書いているが、家族といった内輪への意向伝達ではないだろうか。

 そうでなければ、この5年間、国民に知らせることなく秘密に伏していたことになる。

 〈議論の進捗状況は官邸と共有〉としている点についても、皇室制度に関係することだから、当然の極く自然な流れである。

 7月14日付の「asahi.com」記事がこの件に関する安倍晋三の7月14日の発言を伝えている。 
 
 安倍晋三「様々な報道があることは承知をしている。そうした報道に対し、事柄の性格上、コメントすることは差し控えさせて頂きたい」

 報道は承知しているが、事柄の性格上、報道に関してコメントはしない。

 要するに報道が伝えている事実についてそれが現実に存在する事実なのかどうかは肯定も否定もしない。あくまでも不明の状態に置いておくということでなければならない。

 この事実とは断るまでもなく、天皇自身の「生前退位」についての意向を指す。その意向が示されたのか示されなかったのか、その事実を国民に知らせないというのは、皇室制度の変更は政権の理解を前提とするのではなく、国民の理解を大前提とする以上、国民に対する情報隠蔽に他ならない。

 いわば〈両陛下が1月末のフィリピン訪問を終えた後の2月以降〉、今日まで国民に知らされないままの状況が続いた。政府内でも皇族の減少にどう対応するかについての動きはあるが、「生前退位」についての議論の動きはない。

 このままでは秘密に付されたままの状況が続くのではないかと疑い、天皇の「生前退位」の意向に理解を示す宮内庁関係者の誰かが業を煮やして報道機関であるNHKに対してリーク(情報漏洩)したということは考えられないだろうか。

 国家権力がある事柄について国民に対する説明責任を回避し、その事柄を秘密に伏していた場合、その事柄についてのリーク(情報漏洩)は一種の内部告発の力を持ち、国家権力が責任を回避していた国民に対する説明(=情報伝達)となると同時に国民への情報伝達がある種の強制力を持って国家権力が説明責任を回避し、秘密に伏していた事柄についての解決を促す誘因ともなり得る。

 安倍晋三は極度の天皇主義者という立場から天皇に絶対的存在者であることを求める余り、死の瞬間まで絶対的存在を全うして欲しいと願って「生前退位」の意向を無視、その結果、天皇の意向が国民に知らされない状況が長く続いた。

 その状況を打ち破るべく、天皇の「生前退位」の意向に理解を示す宮内庁関係者の誰かがリーク(情報漏洩)という手を使って、天皇の意向を強制的に国民に知らしめた。

 どうもそういった経緯を取っているマスコミの報道と報道に対する安倍晋三を筆頭とした政府の態度に思える。

 マスコミが報道したことによって安倍政権としては否が応でも天皇の意向を検討せざるを得なくなるはずだ。天皇の意向が実現するか否かは偏に国民の理解に関係してくる。

 安倍晋三みたいな戦前日本国家を理想の国家像とする国家主義者・天皇主義者の理解に任せてはならない。

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安倍晋三は「女性の活躍」をあれ程吹聴しながら、なぜ小池百合子を都知事選で自民党推薦としないのか

2016-07-15 10:45:47 | Weblog

 自民党と公明党が2度続けて擁立した猪瀬直樹が黒いカネの問題(徳洲会から現金5000万円を受け取っていたとの疑惑)、舛添要一が政治資金の私的流用疑惑(「政治資金とカネの問題」)で途中辞任した不祥事を踏まえて、舛添要一の辞職に伴う東京都知事選(7月31日投開票)の立候補者として自民党都連は当初、人気アイドルグループの「嵐」のメンバーの桜井翔の父親であることから、簡単に知名度を獲得できると狙ったのだろう、総務省前事務次官の桜井俊の担ぎ出しを策したのに対して本人からその気がないことを伝えられても何度か要請を続けた。

 勿論、この自民党都連の桜井俊に対する立候補要請は自民党本部及び安倍晋三の承認を得た連携プレーと見なければならない。いわば最終的には安倍晋三の承認を背景として都連を窓口とした交渉ということであろう。

 桜井翔パパ、桜井俊が固辞している間に立候補の意向を周囲に伝えていた、環境相や防衛相を務めたことがある自民党の小池百合子が6月29日午前、国会内で記者会見して正式に立候補を表明した。

 知名度十分であり、しかも安倍晋三が盛んに「女性の活躍」を吹き込んでいる。安倍自民党がもし当選させることができたなら、「安倍政権下で初の女性都知事誕生」と、自身の政策のアピールにもなる。

 だが、自民党東京都連も自民党本部も芳しい反応を見せなかった。

 と言うことは、安倍晋三自身が快く思っていないことの証左ともなる。

 いわば小池百合子の立候補を「女性の活躍」のうちに入れていないことを意味する。

 いくら「女性の活躍」を吹聴しようとも、政治の場では相手を選ぶと言うことなのだろう。

 小池百合子のこの立候補表明記者会見に対する自民党東京都連に所属する安倍晋三太鼓持ち官房副長官萩生田光一の6月29日同じ午前の記者会見での反応。

 萩生田光一「東京都連執行部に何ら相談なく意思を表明することは違和感がある。(都知事選候補者の)選定や出し方を含めて都連執行部に一任されている。

 (出馬の)意思を伝えるとすれば、記者会見ではなくて執行部に伝えるのが本来の対応ではないか。正直驚いている」(産経ニュース/2016.6.29 12:25)

 手続きを踏めと言っている。

 先ず東京都連執行部に立候補したい旨を伝えて、執行部が自民党本部と、自民党本部は安倍内閣の面々と協議し、許可できるかどうか裁定する。許可できれば推薦という形を取り、許可できなければ立候補を思いとどまらせる。

 いわば安倍晋三の意向次第ということになる。

 なぜ手続きを踏むことを求めるのか。

 手続きは許可という過程を必要とする。

 特に政治の世界では許可を受ける者は許可を与える者の意向に従う絶対儀式となっている。

 言葉換えて言うと、許可を与える者は許可を受ける者に対して“許可”という行為を通して許可を与える者の支配下、あるいは影響下に置こうとする。

 簡単に言うと、許可者の意向に従うことを求められる。

 ところが小池百合子をそもそもからして自民党東京都連に立候補の許可を求めるという手続きを踏まなかった。東京都連の、ひいては自民党本部や安倍執行部の意向に従わない危険性を嗅ぎ取ったのだろう。

 特に7月5日、小池百合子が東京都連会長・経済再生担当相の石原伸晃と会談、推薦を要請したが、石原伸晃の参議院選後に方針決定の返事に見込がないと踏んだのだろう、翌7月6日に再度国会内で記者会見して、推薦なしの、いわば更に手続き無視の立候補の決意を示した。

 小池百合子「改めて立候補を表明する。政策を論じる時間が無くなることなどを総合的に判断し、このままでは推薦を得られないので、不本意ながらパラシュート無しの立候補となる。

 リスクは山ほどあるが、都民目線のさまざまな問題解決のために、覚悟を持って臨みたい。むしろ、しがらみの無い都民の目線で戦える。

 自民党は家族的で、素晴らしい政党だが、東京都連は改革が必要だ。どこで誰が何を決めているのか、不透明なところが多い。当選したら、都議会を冒頭で解散したい。分裂選挙と言われるが、都議会と都民の分裂ではないか。民心が離れては、暖かい政策は実現できず、都民の声を聞きたい。

 参議院選挙のまっただ中であり、自民党員として、最後まで一生懸命、党の候補者を応援する。あくまでも私は自民党員だ」(NHK NEWS WEB

 都連の推薦を受けない立候補表明となった。

 当選した場合、「都議会を冒頭で解散」という意思表明は自民党都連ばかりか、自民党本部、安倍内閣の意向に対する反旗そのものの象徴であって、この発言によって急遽危険人物に昇格したに違いない。

 このことは「スポーツ報知」が伝える都連最高顧問の深谷隆司元通産相(80)と萩生田光一の発言が証明してくれる。 

 深谷隆司「小池さんは、都議会を解散させるという。都知事にそんな権限ないのに。また、都連を改革するともいう。何を改革するのか分からない。小池さんは都連でずっと活動してきたが、今までそんなこと聞いたことない。

 全く子供騙しの言い方。知事選の費用は50億円以上かかる。さらに都議選をやるなど、税金を何だと考えているのか。お出になるなら政策を語るべき。許し難い発言だ」

 確かに知事が任意に議会を解散する権利はないようだが、舛添要一の政治資金の私的流用疑惑で長年務めてボス化した自民党都議の存在も明らかとなったことから、少なくとも改革の名を借りて既得権を壊されることは警戒しているはずだ。

 萩生田光一「石原会長がいない時にきた。『直接会長に手渡してほしい』と言ったが、紙1枚置いて退席された。候補者を都連執行部に一任すると決まったにも関わらず無視した。

 参院選の最中にこれだけ世間を騒がせ、党に迷惑をかけておきながら、紙1枚で推薦願を取り下げるのは、あまりに党を侮辱した姿勢で憤りを感じる。党が分裂している印象を与える。きちっと対応してほしい」

 味噌もクソもないけなしようである。

 小池百合子の逆を行ったのが自民党東京都連が桜井俊の次に担ぎ出しを考えた元岩手県知事・元総務相の増田寛也であろう。

 都連から立候補要請を受けると、立候補の意思を表明、自民党と公明党に推薦が受けられるように依頼した。

 自民党や公明党の方から都連が立候補要請したのだから、推薦を出すと意思表明したわけではない。あくまでも推薦という許可を願い出る立場を守っている。

 政策面であなた方の意向に従いますと、その支配下、あるいは影響下に入る絶対儀式を演じた。

 増田寛也は区長会や市長会等の要請を受けて立候補の意思を固めたという手続きまで踏んでいる。

 皆さんに従いますという一種の恭順を都連ばかりか、都連以下の自民党に関係する組織や自民党本部、公明党本部に対して全方面的に示した。

 だからと言って、都知事に当選後も安倍内閣や自民党、あるいは自民党都連の意向に永遠に従わなければならないわけではない。それなりの実績を上げ、都民の高い支持を得た場合、それなりの政策面の自由度を得ることができる。 

 若いタレントが所属する芸能事務所と芸能界の上下関係に縛られて上の意向を無視できない活動を強いられたとしても、一定以上の人気を獲得し、一定以上の年齢を重ねると、自身が上下関係の上に位置することになって、活動の自由度が広がり、芸能事務所から独立することも番組の企画に口を挟むことができるようになるのと同じ経緯を踏む。

 だが、小池百合子が政界で長年かかって築き上げた活動の自由度は都知事選立候補に関しては何ら効き目を発揮しなかった。

 逆にこういった場合の絶対儀式としている意向に従う手続きを踏まなかったために関係する組織の支配、あるいは影響を受けつけない、何を仕出かすかも分からない危険人物と見做された。

 「毎日新聞」が伝えている、7月11日に自民党東京都連が配布した都連会長の石原伸晃や都議会ボスの都連幹事長内田茂らの連名で出した「都知事選における党紀の保持について」と題した文書がこのことを物語っている。   

 ▽党公認・推薦候補者以外の者を応援してはならない
 ▽各級議員(親族含む)が非推薦の候補を応援した場合は除名等処分の対象となる

 ――等々。

 こうまでして小池百合子を排斥しなければならない。

 日本の組織に於いて上下関係に従わない人間程、あるいは上下関係に従うための手続きを踏まない人間程、危険人物視される。

 大本に控えているのは安倍晋三だから、その意向が働いた上下関係の強要と言うことである筈だ。

 政界だけではないだろうが、特に政界ではそのように見えるが、「女性の活躍」にしても上下関係への従属が条件となっていることが明らかとなった今回の小池百合子の都知事選立候補騒動ということであるはずだ。

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安倍晋三が人間は何を最大利害としているのか、それを利用し、功を奏した参院選勝利を証明する共同世論調査

2016-07-14 06:25:43 | 政治


「有権者、改憲は票に結び付かず 経済を重視、共同通信世論調査」共同通信47NEWS/2016/7/11 18:05)

 共同通信社は、参院選での有権者動向を探るため、計3回にわたり全国電話世論調査を実施した。憲法改正については反対派が多かったものの、投票する際の判断基準とする人は少なかった。野党は争点化を狙ったが、投票行動にはあまりつながらなかったことがうかがえる。安倍晋三首相が主要テーマにした経済政策への関心は一貫して高かった。

 調査は6月初旬、中旬、7月上旬にそれぞれ実施。安倍首相の下での改憲について聞くと「反対」との意見は、第1回と投開票直前の3回目ではいずれも50%を上回り、2回目も48.2%だった。「賛成」はいずれの回も30%台にとどまった。

 2014年12月の総選挙前の世論調査でも、憲法解釈による集団的自衛権行使容認には賛成を反対が上回っていた。

 例えば毎日新聞が2014年12月9日、10日の世論調査を見てみる。

 「集団的自衛権の行使」

 「賛成」35%
 「反対」51%

 2014年12月11日施行特定秘密保護法

 「賛成」30%
 「反対」49%

 「衆院選で最も重視する争点」(いわば投票の判断基準とする重視する政策)

 「年金・医療・介護・子育て」33%
 「景気対策」26%
 「原発・エネルギー政策」9%
 「外交・安全保障」4%

 記事は解説している。

 〈特定秘密保護法や集団的自衛権への懸念は残るが、有権者は生活に身近な課題に重きを置いており、選挙戦には大きく影響していないことがうかがえる。一方、安倍政権が目玉政策とする「地方再生」は2%で、争点になりきれていない。〉――

 この理由は7月9日の当「ブログ」記事に書いたように人間は生活の生きもので、生活を最大利害としているからに他ならない。    

 このことを今回の共同通信の世論調査が数値で証明した。

 国民の多くは憲法解釈による集団的自衛権の行使容認には反対していたが、安倍晋三は2014年総選挙ではその反対を巧みに利用、人間にとってので最大利害ある生活を人質に取る形で2015年10月の消費税率8%から10%への再引き上げの2017年4月への先送りを決定した上でアベノミクスの経済政策の是非を争点の前面に立て、その背後に集団的自衛権問題を置く争点隠しを行って自民党単独で絶対安定多数の266を超える291議席を獲得し、自公与党で議席の3分の2を維持した。

 「議席を獲得すれば、こっちのもんだ」と思ったに違いない。
 
 開票翌日の2014年12月15日に自民党本部で記者会見して、冒頭でいきなり次のように述べている。

 安倍晋三「今回の総選挙は、アベノミクスを成功させるため、来年の消費税2%さらなる引き上げを1年半延期するという税制上の大きな変更について国民に信を問う解散でありました。いわば『アベノミクス解散』であったと思います」

 そう、「アベノミクス」解散であり、アベノミクスを争点に国民に信を問う総選挙であった。冒頭発言中、集団的自衛権についても憲法改正についても一言も触れていない。

 だが、冒頭発言後の記者との質疑で安保法制について問われたために触れている。 

 記者「今回の選挙ではアベノミクスのほか、集団的自衛権の行使容認や憲法改正、原発再稼働も争点になりました。選挙結果を受け、来年の通常国会に提出する安全保障法制整備の関連法案はどのように審議を進める考えですか。憲法改正にどう取り組むか、原発再稼働についてのお考えは」

 安倍晋三「「先ず安全保障法制についてですが、今回の選挙はアベノミクス解散でもありましたが、7月1日の閣議決定を踏まえた選挙でもありました。そのことも我々、しっかりと公約に明記しています。

 また街頭演説においても、あるいは数多くのテレビの討論会でもその必要性、日本の国土、そして領空、領海を守っていく、国民の命と安全な国民の幸せな暮らしを守っていくための法整備の必要性、閣議決定をもとにした法整備の必要性ですね、集団的自衛権の一部容認を含めた閣議決定に基づく法整備、これを来年の通常国会で行っていく、これを訴えて来たわけです。

 このことにおいてもご支持を頂いた。当然、約束したことを実行していく。これは当然、政党、政権としての使命だと思う。来年の通常国会のしかるべき時に法案を提出していきたい。そして成立を果たしていきたいと考えています」――

 「アベノミクス解散」だと、人間の最大の利害である生活を問う選挙を行いながら、世論調査で国民の多くが集団的自衛権行使に反対していることを無視、閣議決定もしたし、選挙戦中、時折は触れているのだから、「ご支持を頂いた」

 要するにアベノミクスだけではなく、憲法解釈による集団的自衛権の行使容認等を含めた安倍安保法制も国民の信任を得たとし、数の力で翌年の2015年年9月19日に成立させ、9月30日に公布させている。

 これが「当然、約束したことを実行していく」と言っていることに相当する。

 今回の参院選挙でも憲法改正を表立った争点とはせずに選挙前に消費税増税を再延期することで人間が生活を最大の利害としていることを巧みに刺激しつつ、税率8%据え置きの経済状況を以てして個人消費等が伸びてアベノミクスを是非成功させて欲しいという思いを掻き立てて大きな勝利を得た。

 当然、安倍晋三の2014年総選挙後の行動を見習うなら、「憲法改正においてもご支持を頂いた。当然、約束したことを実行していく」という可能性は決して否定できない。

 共同世論調査が人間が生活を最大の利害としているゆえに選挙の投票規準に自身の生活を置いていることを明らかにしたが、国民が生活という足元の利害だけに目を奪われている間に軍事的影響力でも日本を世界の中心に置きたいと強く希求している、軍事色に染まった安倍晋三的日本国家の確立に知らず知らずうちの手を貸し、気づいたときには、戦前経験しているようにそういった日本から引き返すことができなくなったといったようなことが起きないように気をつけなければならない。

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安倍晋三の消費税増税再延期は参院選対策であり、 2014年12月総選挙同様延期を勝利の方程式とした

2016-07-12 09:58:19 | Weblog


 何日か前に同じテーマでブログ記事を書いたが、自民党参院選勝利を受けて、焼き直しとなるような記事を書くことにした。 

 安倍晋三は2013年年10月1日記者会見を開き、予定通りに消費税を増税することを発表した。

 安倍晋三「本日、私は、消費税率を法律で定められたとおり、現行の5%から8%に3%引き上げる決断をいたしました。社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するために、財源の確保は待ったなしです。だからこそ昨年、消費税を引き上げる法律に私たち自由民主党、公明党は賛成をいたしました。

 ただし、直近のデータによれば、民間給与はわずかに上昇傾向に転じましたが、景気回復の実感はいまだ全国津々浦々までには波及してはいません。この中で増税を行えば、消費は落ち込み、日本経済はデフレと景気低迷の深い谷へと逆戻りしてしまうのではないか。結局、財政規律も社会保障の安定も悪い方向へと行きはしまいか。

 最後の最後まで考え抜きました。足元の日本経済はどうか。次元の違う三本の矢の効果で回復の兆しを見せています。2期連続で3%以上のプラス成長、有効求人倍率も0.95まで回復しました。生産も消費も、そしてようやく設備投資も持ち直してきています。15年間にわたるデフレマインドによってもたらされた日本経済の縮みマインドは変化しつつある。であれば、大胆な経済対策を果断に実行し、この景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での私の結論です」――

 アベノミクスの経済政策を以ってすれば、8%に増税しても乗り切れると自信の程を見せた。

 いわばアベノミクスを力に「経済再生と財政健全化は両立し得る」と増税に立ち向かう姿勢を打ち出した。

 安倍晋三は2014年11月18日、首相官邸で記者会見を開いて2015年10月に予定していた消費税の8%から10%への引き上げを2017年4月に延期することを伝えた。

 理由を次のように述べている。

 安倍晋三「このように、国民生活にとって、そして、国民経済にとって(消費税増税延期という)重い重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきである。そう決心いたしました。

 今週21日に衆議院を解散いたします。消費税の引き上げを18カ月延期すべきであるということ、そして平成29年4月には確実に10%へ消費税を引き上げるということについて、そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて、国民の皆様の判断を仰ぎたいと思います」

 安倍晋三は消費税増税延期とアベノミクスの是非に関して国民の信を問うとするこの解散宣言の前段で延期の利点に言及している。文飾は当方。

 安倍晋三「9月から政労使会議を再開しました。昨年この会議を初めて開催し、政府が成長戦略を力強く実施する中にあって、経済界も賃上げへと踏み込んでくれました。

 ものづくりを復活させ、中小企業を元気にし、女性が働きやすい環境をつくる、成長戦略をさらに力強く実施することで、来年の春、再来年の春、そして、そのまた翌年の春、所得が着実に上がっていく状況をつくり上げてまいります。

 国民全体の所得をしっかりと押し上げ、地方経済にも景気回復の効果を十分に波及させていく、そうすれば消費税率引き上げに向けた環境を整えることができると考えます。

 そのためにも、個人消費のてこ入れと、地方経済を底上げする力強い経済対策を実施します。次期通常国会に必要となる補正予算を提出してまいります」

  かなりの数の国民や経済に関する識者の多くが実質的にはアベノミクスが機能していないと見ていて、更に延期されるのではないのかとの懸念があることについては次のように発言している。

 安倍晋三「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。

 平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています」

 この結果、安倍自民党は2014年12月の衆議院選挙で大きな勝利を収めた。

 そして2016年6月1日、通常国会閉幕に合わせて開いた首相官邸記者会見。

 安倍晋三「1年半前の総選挙で、私は来年4月からの消費税率引上げに向けて必要な経済状況を創り上げるとお約束しました。そして、アベノミクスを強力に推し進めてまいりました」

 強力な推進のお陰で有効求人倍率が24年ぶりに高い水準となった、正規雇用は昨年、8年ぶりに増加に転じた等々のアベノミクスの成果を掲げているから、転ばぬ先に杖なのだろう、新たなリスク要因を掲げて、「再び延期することはない」と断言していた2017年4月予定の消費税8%から10%への増税の2019年10月までの再延期を打ち出した。

 安倍晋三「 しかし世界経済は、この1年余りの間に想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増しています。

 最大の懸念は、中国など新興国経済に『陰り』が見えることです。リーマンショックの時に匹敵するレベルで原油などの商品価格が下落し、さらに、投資が落ち込んだことで、新興国や途上国の経済が大きく傷ついています。

 これは、世界経済が『成長のエンジン』を失いかねないということであり、世界的な需要の低迷、成長の減速が懸念されます。

 世界の経済の専門家が今、警鐘を鳴らしているのは、正にこの点であります」

 そして2016年7月の今回の参議院選挙で安倍自民党は比例代表で前回2013年の参院選の1846万票を遥かに上回る2011万票を獲得する大きな勝利を収めた。

 安倍晋三は参院選勝利を受けて昨日、2016年7月11日自民党本部で自民党総裁として記者会見を行った。

 安倍晋三「今回の参議院選挙、私は国民の信を問いたいと申し上げました。そして自民党、公明党の連立与党で改選議席の過半数61議席を目指すという目標を掲げました。

 暑い真夏の選挙戦となりましたが、多くの皆さんが投票所に足を運んでくださり、連立与党で70議席、過半数を大きく上回る議席を頂きました。アベノミクスを一層加速せよ、と国民の皆さんから力強い信任を頂いたことに心から御(おん)礼を申し上げます」

 アベノミクスが信任を得た参議院選挙の勝利だとしている。

 そしてアベノミクスの経済政策を以って世界経済の不透明感に対抗する強い意志を披露している。

 安倍晋三「イギリスのEU離脱の関する国民投票、陰りが見える新興国経済、世界経済は今様々なリスクに直面しております。中小企業を始め日本経済にマイナスの影響を及ぼすことがないよう、万全をの対策を講じてまいります。

 しっかりと内需を下支えすることができる総合的、かつ大胆な経済対策を実施したいと思います。

 世界経済の不透明感が増す中にあって、世界経済の成長と市場の安定のためには国際協調を強めていく必要があります。戦犯の伊勢志摩サミットではG7が強い危機感を共有し、世界経済のリスクに立ち向かうため、あらゆる政策を総動員していくことで合意を致しました。

 この経済成長への決意をさらにアジア・ヨーロッパの国々とも共有したいと思います」

 さらにバングラデシュのテロを取り上げ、テロとの戦いに決意を見せた。

 安倍晋三「来るべきASEM(アジア-ヨーロッパ首脳会議)に於いてもアジアとヨーロッパの国々が一致してテロの根絶に向けて緊密に連携する、その明確なメッセージを世界に向けて発信したいと考えています。

 世界経済とテロとの戦いという二つの大きなテーマに対してこれまで培ってきた各国首脳との深い信頼関係の上に日本としてもリーダーシップを発揮してまいります」――

 言っていることは要するに参議院選挙の勝利は「アベノミクスを一層加速せよ」と、そのことを欲する国民の強い思い・強い要請がアベノミクスの信任の形を取ったもので、そのアベノミクスを武器に様々なリスクに直面している世界経済が「中小企業を始め日本経済にマイナスの影響を及ぼすことがないよう、万全をの対策を講じ」、なおその上に「この経済成長への決意をさらにアジア・ヨーロッパの国々とも共有」することで世界経済まで引き受ける強い自信と決意を提示したということでなければならない。

 その強い自信と決意が言わしめた「世界経済とテロとの戦いという二つの大きなテーマに対してこれまで培ってきた各国首脳との深い信頼関係の上に日本としてもリーダーシップを発揮してまいります」という発言であるはずだ。

 記者会見のこのよう自信と決意からは消費税の8%から10%への引き上げを最初の予定通りに2015年10月に行ったとしてもマイナスの影響を左程受けるとは考えていない節が見える。

 もし消費税増税延期と再延期に助けられた自信と決意だとしたら、更には世界に向けて発揮する日本のリーダーシップだとしたら、ある種の子どもが親の見ているところでなければ他人に対して取ることができない強い態度と同じく、その自信と決意は割り引いて見なければならない。

 実際にも消費税増税の延期と再延期を背景とした国民の「アベノミクスを一層加速せよ」の要請であり、参院選挙でのアベノミクスの信任――参院選の勝利が実態であるはずだ。

 実はここに狙いがあったのではないだろうか。

 狙いがあったから、増税延期に助けられたアベノミクスの推進といった弱気を見せることができずに逆に強い自信と決意を見せなければならなかった。

 消費税増税を延期することで2014年12月の総選挙に大勝し、今回2016年7月の参院選挙でも消費税増税再延期を打ち出して大きく勝利することができた。

 いわば消費税増税延期を選挙勝利の方程式とした。

 安倍晋三は多くの経済専門家が「アベノミクスは失敗した」と言っている中で、「アベノミクスは失敗していない。道半ばだ」と、揺るぎない自信を見せている。

 安倍晋三は立場上、アベノミクスの失敗は認めることはできないのだろう。逆に「道半ばだ」とすることによってアベノミクスを自らが信任し続けることができる。

 アベノミクスを信任しているのは国民以上に本人自身であるはずだ。

 アベノミクスを信任していながら、堂々と増税に立ち向かうのではなく、増税の延期を以って衆院選と参院選の勝利の方程式とした。

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自民党の子どもの柔軟な思考能力否定、国民蔑視の「学校教育における政治的中立性についての実態調査」

2016-07-11 09:01:10 | 政治

 各マスコミが自民党が「学校教育における政治的中立性についての実態調査」を始めたことを7月9日午後に一斉に取り上げた。

 要するに国家権力側に立つ自民党が政治的中立性を逸脱した教師を炙り出す姿勢を打ち出すことで教師側に監視の目や密告の目を意識させて、自主沈黙(=言論の自己統制)に持っていこうという魂胆なのは目に見えている。

 勿論、この手の魂胆は意識していようがいまいが言論統制の意図を内部に芽吹かせている。

 2014年12月14日投開票の総選挙前11月20日に「自由民主党 筆頭副幹事長 萩生田光一/報道局長 福井 照」の差出し人名で在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに、《選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い》と題する文書を送付し、こうして欲しいという指示を事細かに出して選挙報道の公正中立求めたが、この文書が自由な言論への暗黙の統制圧力となったことと同工異曲を成す。

 実際の文章を知ろうとして自民党のサイトにアクセスしてみたが、アクセスできなかった。問題視を受けて削除されたことがマスコミの記事によって知ることができた。

 今朝(7月11日朝)になってアクセスできたが、削除前とどう違うのか、「Litera」(2016.07.09)記事から見てみる。  

【消される前の文章】
《教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。》
【新たな文章】
《教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「安保関連法は廃止にすべき」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。》

 自民党サイトは次のような調査理由を掲げていたから、さらに文章を改めたことになる。

「学校教育における政治的中立性についての実態調査」    

党文部科学部会では学校教育における政治的中立性の徹底的な確保等を求める提言を取りまとめ、不偏不党の教育を求めているところですが、教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。

学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れがあり、高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております。

そこで、この度、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施することといたしました。皆さまのご協力をお願いいたします。

 政治的中立性を尤もらしく掲げているが、ここで言う「政治的中立性」とは国家権力側から見た「政治的中立性」に他ならない。

 当然、国家権力の主張に反する言論はすべて「政治的中立性」を逸脱していることになる。逸脱していると烙印を押すことになる。

 「特定のイデオロギーに染まった結論」にしても、国家権力のイデオロギーに反していることを以って「特定」としていることになる。

 だから、「子供たちを戦場に送るな」、あるいは「安保関連法は廃止にすべき」という国家権力のイデオロギーに反する教えは「特定」だという位置づけを受けることになる。

 いわば国家権力のイデオロギーに反する考え・主張は全て「特定のイデオロギー」と価値づけて排除し、それが成功すれば国家のイデオロギーだけが残ることになって、その成功のもとに国家のイデオロギーに言いなりになること――全面従属を暗黙的な欲求としている。

 戦前の教育も同じであった。

 戦前の教育は「教育勅語」や「国体の本義」を通して天皇の絶対性・日本国家の絶対性を謳い上げる「特定のイデオロギー」で国民を洗脳し、全面従属を求めた。

 教育現場に於いては殆どの教師が、あるいは親までもが国家権力のイデオロギーを自らのイデオロギーとしていたためにそれを生徒に植えつけていく大人から子どもへ、子どもから大人への循環を可能とした。

 当然、自民党のこの調査は天皇と国家への全面的な奉仕を国民に求めた、戦前の日本国家が持っていた意思と通底していることになる。

 戦前の日本国家を国家の理想像とし、天皇主義者でもある国家主義者の安倍晋三が支配する自民党だから、当然の自由な言論に対する統制意思なのだろう。

 自民党のこの調査を取り上げたマスコミの中には「密告社会の到来」とか、「市民を監視させ合うという戦時体制そのままのもの」、いわば戦前の密告社会・監視社会の再来といった警告を発しているが、もう一つの大きな問題点がある。

 戦前と違って現代日本は情報社会だと言うことである。

 例え教師が教育現場で国家権力側の主張に反する教えを、いわば「政治的中立性」を逸脱した特定のイデオロギーに染まった教えを如何に吹き込もうと、戦前のように教師が生徒に対して絶対的位置に立っているわけでもないし、あるいは戦前のように社会人として成長していく過程で得る情報が教師の教えに限られているわけではない。
 
 このことは子どもに対する親についても同じことが言える。今の子どもが蓄積していく情報の発信源が戦前のように直接的に接触する教師や親(あるいは大人)に限られているわけではない。

 現在では学校や親の教え以外に幼い頃から、絵本やマンガに始まって成長に応じて年齢相応の漫画や雑誌、あるいは小説、テレビ、ラジオ、インターネットと様々な情報源が発信する大量の情報から取捨選択して自身の情報、あるいは自身のイデオロギーを形成していく。

 子どもの側から言うと、自身の見解や主張を形成していく情報、あるいはイデオロギーは何も教師や親(大人)の教えが戦前のように全てではないと言うことである。 

 全てであったなら、こんなにも大量にお笑い芸人など出てこなかったろう。

 勿論、戦前もお笑い芸人は存在した。だが、すべての男子が兵隊さんになって国に尽くすことが国家への最大の奉仕だという教師や親から教えられて自分のものとすることになった考えに取り憑かれていたなら、芸人は出てこない。

 教師や親(大人)の教えを全てとしない子どももそれなりに存在したということであろう。

 絵本や漫画から始まって、ラジオ、テレビ、雑誌、小説、インターネット等々のマスメディアや個人が発信する洪水のように氾濫する大量の情報から自身の情報、あるいは自身のイデオロギーを形成していく取捨選択は考える作用を必然的に伴う思考過程となる。

 当然、思考過程を経ることになる情報の取捨選択は、一般的には教師や親が発信する情報に対しても、個人差はあっても、一定の年齢以降、適用対象とされる。

 それを自民党の面々は教師が発する情報――国家権力側から見て政治的中立性を逸脱したとしている特定のイデオロギーが子どもの思考を一生支配するかのように危惧し、そのような教師を炙り出そうと調査に乗り出した。

 いわば子どもたちが成長していく過程で教師や親が発信する、あるいはマスメディアや個人が発信する大量の情報を取捨選択の思考作用を経て自身の考え、主張、イデオロギーへと形成していく柔軟に考える力を否定、子どもの頃から硬直した思考能力の持ち主であるかの如くに扱い、そのような硬直した思考能力に一生支配されるかのように看做している。

 この子どものそれなりに考える力を信用していない状況は国民蔑視以外の何ものでもない。

 と言うことは自民党政治がその殆どを確立した日本の教育制度すら信用していないことになる。

 教育現場から国家のイデオロギーに反する「特定のイデオロギー」を排除したいという欲求は国家のイデオロギーへの全面従属を暗黙的な欲求としていると書いたが、戦前の多くの子どもや大人を国家権力が発信した特定のイデオロギーで支配することに成功した、その体験を今以て生きづかせていて、再現させたいと欲求していることを示す。

 非常に危険な国民蔑視であり、非常に危険な自民党の政治状況となっている。

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安倍晋三は参院選遊説で「アベノミクスは失敗していない、道半ば」と繰返すが、“アベノミクスは失敗半ば”

2016-07-10 06:26:22 | Weblog

 安倍晋三は今回の参院選挙活動で、「アベノミクスは失敗していない、だが、道半ばだ」と何度も訴え続けたようだ。その幾つかをマスコミ記事から取り上げてみる。

 安倍晋三(7月3日、千葉市内街頭演説)「アベノミクスは失敗していない。しかし、道半ばだ。やめてしまえば逆戻り。前に進もう。雇用を増やした。千葉県の有効求人倍率は1・13倍ある。給料も上がっている。

 (民進党は)批判だけでは何も生み出せない。今回の選挙では、理念も政策もまったく違う共産党と協力している。『野合』だ」(東京新聞)  

 安倍晋三(7月5日、新潟県十日町市街頭演説)「アベノミクスは決して失敗はしていないが、まだ道半ば。やるべきことは、この道をしっかり前へ力強く進めることだ。ギアを2段も3段も引き上げる」(asahi.com) 

 選挙活動最終日の7月8日東京都中野区街頭演説。

 安倍晋三「国民を豊かにするために経済を成長させていく経済政策に全面的に取り組んできた。アベノミクスは決して失敗はしていない。でも道半ばだ。私たちの政策がまだ不十分であることは率直に認めなければいけない。しかし、だからといって、この政策をやめてしまえば、あの暗い時代に逆戻りだ。 

 やるべきことは何か、やるべきことはこの道をしっかりと前に力強く進んでいくことだ。ギヤを2段も3段も上げていこうではないか。この選挙、大変、厳しい戦いだ。われわれ与党対民進党、共産党の戦いだ。民進党はすべての選挙区で1人に候補者を絞って、政策も理念も一致しないのに、あまりにも無責任な野合だ。こんな無責任な民進党、共産党に、子どもたちの未来を託すわけにはいかない」(NHK NEWS WEB) 

 一頃までは「アベノミクスの恩恵を全国津々浦々にまでお届けする」と張り切っていた。それがいつの間にか「アベノミクスは失敗していない、だが、道半ばだ」に変わった。

 前者は前進方向の積極的意思の披露となっているが、後者はその意思に釈明を紛れ込ませている。「どこが失敗だと言うのだろう」といった強い意思表示を窺うことはできない。

 やはり日銀の異次元の金融緩和がもたらした円安・株高のアベノミクスの第一の矢だけで持ってきた日本の景気回復が、と言っても大企業や富裕層により貢献することになった景気回復だが、ここにきて英国のEU離脱問題や中国経済を含めた新興国経済の停滞といった外的要因の影響を受けて円高・株安方向に逆回転しかけ、回復に陰りが出てきたことから必要に迫られた釈明に違いない。  

 日銀の第一の矢だけではなく、安倍晋三自身の政策遂行能力によって第2の矢「機動的な財政政策」と第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」を十分に機能させて、その両方を以って日本経済の確固たるエンジンとすることができていたなら、例え「アベノミクスが道半ば」だとしても、そう安々と円高や株安に振れることはないはずだ。

 一定程度の給与が上がったのも第1の矢がもたらした円安・株高、有効求人倍率が上がったのも同じ、雇用が増えたのも同じ要因。

 何事もそうだが、腰が定まっていないと、あるいは土台がしっかりしていないと、横からちょっと突かれただけでふらついてしまう。

 「アベノミクスは道半ばだ」と言えば聞こえはいいが、アベノミクスを日本経済の確かなエンジンに作り変えることができていないからこその最近の為替や株の動向であるはずだ。

 そしてその影響を大企業程もろに受けることになる。

 当然、第2の矢と第3の矢を機能させることができていないアベノミクスの「ギヤを2段も3段も上げ」ようと、確かなエンジンとは言えないのだから、ノッキングを起こすだけで、満足に走ることもできないだろう。

 「アベノミクスは道半ば」どころか、“失敗半ば”なのである。

 もし成功に向けて「アベノミクスは道半ば」だと言うなら、その「道半ば」とはスタートからどの辺りを言い、ゴール到着はいつ頃のことか明らかにすべきだが、決して明らかにできないだろう。

 なぜなら、アベノミクスが嵐(=外的要因)に耐えることができるだけの頑丈な建物(=内的要因)を構築し得ていないからだ。
 
 経団連の7月6日発表の2016年春闘の賃金回答最終集計は定期昇給やベースアップを含む大手企業の賃上げが前年より0.25ポイント低い2.27%、妥結額は7497円で738円下回り、その原因は中国景気の鈍化など世界経済の先行きに不透明感が増していることだと「NHK NEWS WEB」記事が伝えていたが、外的要因の変動に内的要因が何ら反発できていない姿しか見えてこない。

 いわばアベノミクスは外的要因次第の経済政策となっている。

 このことからもアベノミクスが第1の矢のみでこれまで持ってきたことに反して第2の矢、第3の矢が何ら機能していない状況が浮かんでくる。

 上記「NHK NEWS WEB」記事は来春の労使交渉は英国の欧州連合(EU)離脱問題も加わって、賃上げに更に慎重姿勢になるのではないかと予想している。

 「仏の顔も三度まで」と言うが、国民は安倍晋三に「アベノミクスは失敗していない、だが、道半ばだ」という言葉を何度言わせたなら、いい加減にしろという思いになるのだろうか。

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安倍晋三の選挙絶対勝利の構図:消費税増税延期とアベノミクス最前面争点2点セットが今回も功を奏す参院選

2016-07-09 08:17:07 | 政治

 どのマスコミ記事を見ても、参院選終盤情勢調査は安倍自民党が前回18議席獲得した比例区で20議席超獲得の勢い、改選数50議席に対して選挙区と合わせた議席は50議席台半ばになる見込みだと予想し、自民、公明、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の改憲4党併せて3分の2に迫る勢いだと伝えている。

 2014年12月14日投開票の衆議院選挙と同様、今回の参議院選挙も消費税増税延期とアベノミクス前面争点の2点セット、安倍晋三流選挙絶対勝利の構図が功を奏しそうだ。

 2014年12月14日投開票の衆院選は自民党が政権交代を果たした2012年12月16日投開票の衆院選で294議席を獲得、選挙前議席は1議席増えて295議席だったが、291議席を獲得、4議席減らしたものの、選挙前の予想はアベノミクスが成果を挙げない中、2012年12月総選挙で議席を取り過ぎた反動として、270議席前後になるという見立ても少なからず流布していた。

 それが4議席のみの減、291議席を獲得したのだから、大勝利そのものである。

 勝因は勿論、消費税増税延期とアベノミクス最前面争点の2点セットである。安倍晋三は2015年10月の消費税率5%から8%への増税の2017年4月への先送りを決定、そこにアベノミクスが成功するかしないかの成否を置き、「景気回復、この道しかない。」のキャッチフレーズでアベノミクスを選挙争点の最前面に掲げて、集団的自衛権の憲法解釈による行使容認の安保法制にかかる争点は巧妙に背後に隠して選挙を戦った。

 それが功を奏した。そのときの選挙絶対勝利の構図を柳の下の2匹目のドジョウよろしく再び打ち出した。どうも2匹目も釣り上げそうな勢いとなっている。

 安倍晋三はなぜ消費税増税延期とアベノミクス最前面争点の2点セットを選挙絶対勝利の構図とばかりに今回の参院選でも利用しようと飛びついたのか。

 それは人間は生活の生きもので、生活を最大利害としていることを知っているからである。生活をエサに票を釣り上げることを狙った。

 消費税増税延期も人間という生きものが生活に置いている最大の利害に深く関係するし、アベノミクスの成否も同じく生活に影響していくことになる。

 いわば人間にとって生活という最大の利害を消費税増税延期とアベノミクスで擽(くすぐ)ったのである。擽られて悪い気がしなかった多くの国民がアベノミクスに1票を投じ、2014年衆院選で安倍自民を大勝利に導いた。

 アベノミクスが既に内外の識者によって失敗だと指摘されているが、やはり人間の情として、やれ求人倍率が全都道府県で1を超えた、雇用を3年で110万人増やした、正社員は26万人増えたと成果を誇示されると、内実は非正規雇用が大勢を占めた、それゆえに格差拡大を内部構造とした成果に過ぎないのだが、人間にとって最大の利害となっている生活が良くなる期待を膨らますことになって、つい1票となるのだろう。

 安倍晋三は今回の参院選挙活動でも、改憲勢力で3分の2を獲得したならと狙っている憲法改正は争点として前面に打ち出さずにアベノミクスの争点の背後に置いた巧妙な争点隠しの戦術に出ている。

 あくまでも人間にとっての最大の利害である生活に訴える選挙絶対勝利の構図に忠実であろうとしている。

 尤も人間が生活を最大の利害としている以上、憲法改正を少しぐらい争点化しても、消費税増税再延期を受けたアベノミクスの成否を最大争点としていさえすれば、最大利害の生活を優先させて投票規準をアベノミクスに置くはずだ。

 その証拠に安倍晋三が通常国会閉幕に合わせて、2017年4月に予定していた消費税8%から10%への増税の2019年10月までの再延期を伝えた2016年6月1日の記者会見で、「社会保障については給付と負担のバランスを考えれば、10%への引上げを(延期)する以上、その間、引き上げた場合と同じことを全て行うことはできないということは御理解をいただきたいと思います」と、増税再延期によって財源を失うことになる社会保障の不完全履行を明らかにしていながら、以後のマスコミの世論調査では増税延期評価が評価しないを10ポイントから20ポイント引き放して過半数前後を占め、内閣支持率に至っては2~3ポイント増えたことは将来の不安よりも人間にとって最大の利害となっている目先の生活の安心を優先させたということでなければならない。

 今回の参院選挙でも、消費税増税延期とアベノミクス最前面争点の2点セットをフル利用した選挙絶対勝利の構図が2014年12月の総選挙同様に物の見事に現実化する、その予想が各マスコミの終盤情勢調査となって既に現れているということなのだろう。

 いわば柳の下から2匹目のドジョウを釣り上げることに成功間違いなしの状況となっている。

 安倍晋三は腹の中で人間にとっての最大の利害となっている生活に関わる国民の思いを刺激することに成功すれば、選挙なんてチョロイもんだとほくそ笑んでいるに違いない。

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