安倍晋三が谷垣入院に一度も見舞いに行かなかった 幹事長の能力だけを買ったドライ人事であることの暴露

2016-07-31 11:22:12 | 政治

 マスコミが7月16日午前、自民党幹事長谷垣禎一が東京都内で趣味のサイクリングをしていたところ転倒し、入院したとの自民党幹事長室の発表を伝えた。同時に、「軽傷だが、大事を取って入院した」との発表も伝えていた。

 ところが3日経過した7月19日になっても退院しない。マスコミは政府関係者の話を色々と伝えた。「軽症ではなく、重症だ」とか、「最初の病院では手術不能で、手術できる病院に移った」とか。

 谷垣の転倒・入院から10日経った7月26日、幹事長代行の細田博之が自民党の役員会で谷垣の入院の経過を報告したと7月26日付「NHK NEWS WEB」が伝えている。  

 細田博之「頚髄を損傷し手術を受けた。その後、テレビで相撲を観戦するなど意識ははっきりしている。合併症はなく経過は良好だが、今後の正確な見通しは申し上げることはできない。

 医学的にもどのように回復するか個人差があり、経過を見守っていきたい。党の役員人事への影響は、議論もしていないし承知していない。来月の臨時国会に戻れるかどうかも分からない」――

 手術が必要な程の頚髄損傷であった。当然、直ちに手術可能な病院に転院、その病院の手術を早期に受けたことになる。7月16日午前中に転倒し、すぐさま病院に搬送、転院ということなら、午後の間に手術を受けたはずだ。

 脊髄損傷の程度に応じて手術時間が異なるだろうし、谷垣幹事長の脊髄損傷がどの手術方法に当たるのか不明だが、ネットを調べてみると、大体3時間~4時間程度のようである。

 手術が成功して術後の経過が良ければ、全身麻酔から覚めるのは個人差はあるが、30分程度だというから、少なくとも手術終了後1時間もかからない間に意識は回復していることになる。 

 脊髄損傷した場合、それぞれに程度はあるが、手術によって痛みは取れるが、運動麻痺と知覚麻痺が残るそうだ。その回復のために早期にリハビリテーションが行われる。

 ロシアの通信社、7月27日付の「Sputnik」は7月26日午前の党役員会での細田博之の発言を次のように伝えている。  

 細田博之「谷垣氏は頸髄(けいずい)を損傷し、手術を受けた。テレビで相撲を観戦するなど意識ははっきりしており、経過は順調だ。手術後病院で、リハビリを受けている」――

 二つの記事から分かることは7月16日午前入院、7月16日午後の手術が成功したこと、術後の経過が良く、意識をしっかりと保っていること、細田が報告した7月26日から遡った何日前からかリハビリを開始していること等である。

 自民党幹事長職は同党総務会長、同党政務調査会長、同党選挙対策委員長と伴に党四役として同党総裁安倍晋三を補佐し、党最高責任者である総裁が首相である場合は党務全般を幹事長が握る事実上の党ナンバー2だと「Wikipedia」に紹介されている。

 要するに安倍晋三から見ると、自身は内閣運営に専念し、自民党に関わる運営については党幹事長に任せ、党幹事長の立場からすると、首相でもある党総裁から党運営を任されていることになる。

 この任せ・任せられる関係は断るまでもなくお互いに相手の人間を信じて頼り合う相互信頼性に基づいているはずである。

 このようにも相手の人間を信じて党幹事長に任命し、党務に関して万全の信頼を置いている(万全の信頼を置かずに党幹事長を任せたというのは逆説過ぎる)谷垣禎一が自身の不注意かもしれないが、サイクリング中に転倒して脊髄損傷の重症を負い、手術まで受けた。

 当然、安倍晋三は党務にどのくらいの影響が出るかを考える以前にお互いに信頼し合った関係にある間柄として少なくとも手術後から何日かして体の心配をする見舞いに行かなければ、信頼関係にあることの意味を失う。

 党の誰かが見舞いに行って、見聞きした情報を聞けばいいという問題でも、秘書官の誰かを代わりに見舞いに行かせて、自身の目・耳の代わりをさせたから、それで済む問題でもない。

 ところが安倍晋三本人自身は相互信頼性に基づいて構築しているはずの谷垣との関係に反して一度も見舞いに行かなかった。

 安倍晋三が見舞いではなく、面会の意向を示したとマスコミが伝えたのは谷垣が入院した7月16日から11日後の7月27日である。

 見舞いという形式ではなく、面会という形式を取ったのは当たり前の見舞いでは遅過ぎるし、目的そのものは8月3日頃に予定している内閣改造・党役員人事での谷垣の処遇を最終判断するための人事上の問題だからだろう。

 対して谷垣は安倍晋三の面会の意向を体調を理由に固辞したという。

 安倍晋三本人自身は谷垣の身体を心配する当たり前の見舞いに一度も行かずに、面会にしても誰でもいいから代理を病院に行かせて、主治医と本人から党幹事長を続けることができるまでに身体が回復し、退院できるのはいつになるのかを尋ねさせれば片付くものを、本人が面会を望んで自らが確かめようとしたということは、党幹事長続投は身体の回復が条件になるにしても、誰を党幹事長に就けるか自身の都合を最優先していたことになる。

 この安倍晋三の自己都合に反発した谷垣の固辞なのだろうか。

 いずれであったとしても、安倍晋三が谷垣の入院に対して一度も当たり前の見舞いに行かなかったということはお互いに相手の人間を信じて頼り合う相互信頼性に基づいた安倍晋三の谷垣幹事長という人事ではなく、そんなものは抜きに幹事長の能力だけを買った、極めてドライな人事であったことを暴露することになる。

 安倍晋三のこの性向は国民の生命が危機に瀕する大規模災害が起きたとき、自身はゴルフをしていても、首相官邸危機管理センターに情報連絡室等を設置し、それぞれの関係閣僚が安倍晋三の携帯電話を通した指示や情報共有の下お互いの役目を十分に果たしているから、例え内閣の長が官邸を不在にしていても対応に間違いはないとする国民の生命に対する配慮にも現れているドライさと同じ性質のものであろう。

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