安倍晋三は参院選遊説で「アベノミクスは失敗していない、道半ば」と繰返すが、“アベノミクスは失敗半ば”

2016-07-10 06:26:22 | Weblog

 安倍晋三は今回の参院選挙活動で、「アベノミクスは失敗していない、だが、道半ばだ」と何度も訴え続けたようだ。その幾つかをマスコミ記事から取り上げてみる。

 安倍晋三(7月3日、千葉市内街頭演説)「アベノミクスは失敗していない。しかし、道半ばだ。やめてしまえば逆戻り。前に進もう。雇用を増やした。千葉県の有効求人倍率は1・13倍ある。給料も上がっている。

 (民進党は)批判だけでは何も生み出せない。今回の選挙では、理念も政策もまったく違う共産党と協力している。『野合』だ」(東京新聞)  

 安倍晋三(7月5日、新潟県十日町市街頭演説)「アベノミクスは決して失敗はしていないが、まだ道半ば。やるべきことは、この道をしっかり前へ力強く進めることだ。ギアを2段も3段も引き上げる」(asahi.com) 

 選挙活動最終日の7月8日東京都中野区街頭演説。

 安倍晋三「国民を豊かにするために経済を成長させていく経済政策に全面的に取り組んできた。アベノミクスは決して失敗はしていない。でも道半ばだ。私たちの政策がまだ不十分であることは率直に認めなければいけない。しかし、だからといって、この政策をやめてしまえば、あの暗い時代に逆戻りだ。 

 やるべきことは何か、やるべきことはこの道をしっかりと前に力強く進んでいくことだ。ギヤを2段も3段も上げていこうではないか。この選挙、大変、厳しい戦いだ。われわれ与党対民進党、共産党の戦いだ。民進党はすべての選挙区で1人に候補者を絞って、政策も理念も一致しないのに、あまりにも無責任な野合だ。こんな無責任な民進党、共産党に、子どもたちの未来を託すわけにはいかない」(NHK NEWS WEB) 

 一頃までは「アベノミクスの恩恵を全国津々浦々にまでお届けする」と張り切っていた。それがいつの間にか「アベノミクスは失敗していない、だが、道半ばだ」に変わった。

 前者は前進方向の積極的意思の披露となっているが、後者はその意思に釈明を紛れ込ませている。「どこが失敗だと言うのだろう」といった強い意思表示を窺うことはできない。

 やはり日銀の異次元の金融緩和がもたらした円安・株高のアベノミクスの第一の矢だけで持ってきた日本の景気回復が、と言っても大企業や富裕層により貢献することになった景気回復だが、ここにきて英国のEU離脱問題や中国経済を含めた新興国経済の停滞といった外的要因の影響を受けて円高・株安方向に逆回転しかけ、回復に陰りが出てきたことから必要に迫られた釈明に違いない。  

 日銀の第一の矢だけではなく、安倍晋三自身の政策遂行能力によって第2の矢「機動的な財政政策」と第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」を十分に機能させて、その両方を以って日本経済の確固たるエンジンとすることができていたなら、例え「アベノミクスが道半ば」だとしても、そう安々と円高や株安に振れることはないはずだ。

 一定程度の給与が上がったのも第1の矢がもたらした円安・株高、有効求人倍率が上がったのも同じ、雇用が増えたのも同じ要因。

 何事もそうだが、腰が定まっていないと、あるいは土台がしっかりしていないと、横からちょっと突かれただけでふらついてしまう。

 「アベノミクスは道半ばだ」と言えば聞こえはいいが、アベノミクスを日本経済の確かなエンジンに作り変えることができていないからこその最近の為替や株の動向であるはずだ。

 そしてその影響を大企業程もろに受けることになる。

 当然、第2の矢と第3の矢を機能させることができていないアベノミクスの「ギヤを2段も3段も上げ」ようと、確かなエンジンとは言えないのだから、ノッキングを起こすだけで、満足に走ることもできないだろう。

 「アベノミクスは道半ば」どころか、“失敗半ば”なのである。

 もし成功に向けて「アベノミクスは道半ば」だと言うなら、その「道半ば」とはスタートからどの辺りを言い、ゴール到着はいつ頃のことか明らかにすべきだが、決して明らかにできないだろう。

 なぜなら、アベノミクスが嵐(=外的要因)に耐えることができるだけの頑丈な建物(=内的要因)を構築し得ていないからだ。
 
 経団連の7月6日発表の2016年春闘の賃金回答最終集計は定期昇給やベースアップを含む大手企業の賃上げが前年より0.25ポイント低い2.27%、妥結額は7497円で738円下回り、その原因は中国景気の鈍化など世界経済の先行きに不透明感が増していることだと「NHK NEWS WEB」記事が伝えていたが、外的要因の変動に内的要因が何ら反発できていない姿しか見えてこない。

 いわばアベノミクスは外的要因次第の経済政策となっている。

 このことからもアベノミクスが第1の矢のみでこれまで持ってきたことに反して第2の矢、第3の矢が何ら機能していない状況が浮かんでくる。

 上記「NHK NEWS WEB」記事は来春の労使交渉は英国の欧州連合(EU)離脱問題も加わって、賃上げに更に慎重姿勢になるのではないかと予想している。

 「仏の顔も三度まで」と言うが、国民は安倍晋三に「アベノミクスは失敗していない、だが、道半ばだ」という言葉を何度言わせたなら、いい加減にしろという思いになるのだろうか。


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