安倍晋三の「子どもの貧困対策会議」は政治が子どもの貧困を作っておいて政治が手当する構図と認識せず

2014-05-29 07:25:14 | Weblog




      生活の党PR

       《5月26日(月) 小沢一郎生活の党代表 定例記者会見要旨 》

      『集団的自衛権の世論調査、きちんと説明して設問しなければメディアの信頼性を落としてしまう』

      ・野党各党の動きについて
      ・沖縄県知事選挙候補者擁立について  
      ・集団的自衛権に関する世論調査結果について
      ・予算委員会集中審議について              

 昨年の2013年6月26日、いわば安倍政権下で「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行された。4月20日(2014年)付け記事が政府は新たに設けた有識者らでつくる検討会で教育支援や保護者への就労支援などの議論を進めて、今年7月をメドに政府の大綱を取り纏める方向だと伝えていた。

 「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の「目的」を調べてみた。

〈目的

第一条  この法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的とする。〉――

 「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」と言っていることの意味は、未然の(=まだそうなっていない)状態にあるとの認識を示していることになるはずだ。

 だが、現実には未然の状態ではなく、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右される」状況が既に深刻な様相を帯びてきている。親世代の経済格差(=所得格差)が子世代の教育格差を生んでいる状況を象徴的例として挙げることができる。

 そして教育格差はほぼそのままに所得格差へと発展して、さらにその子世代に受け継がれていく親世代から子世代への世代間の負の循環・負の連鎖を生む。

 平成21年度文部科学白書の「第1章 家計負担の現状と教育投資の水準」には既に「両親の収入が高いほど4年制大学への進学率が高くなる」と書かれている。同白書には大学卒業までにかかる平均的な教育費は国公立で約1千万円、私学だと約2千3百万円に上るとしているのだから、親世代から子世代への世代間の負の循環・負の連鎖は当然の傾向と言うこともできる。

 記事が対策会議を4月開いていると書いていたから、首相官邸HPを調べてみた。「子どもの貧困対策会議」のことで、4月4日、首相官邸で第1回の会議を開催している。

 「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の施行が2013年6月26日。「子どもの貧困対策会議」第1回開催が2014年4月4日。法律施行から9カ月後のスピードである。まさか5月5日のこどもの日が近づいてきたから、思い出した第1回会議開催というわけではあるまい。

 首相官邸HPには、「子どもの貧困対策を総合的に推進するための大綱の案の作成方針」についての議論が行われたと書いてある。そして安倍晋三の挨拶。 

 安倍晋三「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備、教育の機会均等を図る子どもの貧困対策は極めて重要です。

 政府においては、今年度から高校生等を対象とする返済不要の奨学のための給付金制度を導入しています。

 また、一人親家庭・生活困窮家庭への相談支援や就労支援、子どもへの学習支援などの取組を進めています。今後、このような施策をさらに強化していく必要があります。

 年央の大綱取りまとめに向けて、関係閣僚各位におかれては、全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現に向けて、子どもの貧困対策について一丸となって取り組んでいただきたいと思います」――

 安倍晋三も法律の条文と同じく、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」、あるいは「貧困が世代を超えて連鎖することのないよう」と、未然の状態として認識している。「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右される深刻な状況にある」と、現状そのままには決して言っていない。列車が既にスタートして、猛烈な勢いでスピードを上げつつあるとの厳しい認識には決して立ってはいない危機感の提示となっている。

 親世代の経済格差は小泉政権下の2003年に労働者派遣法が改正され、製造業への派遣解禁、原則最長1年とされていた期間制限が最長3年の緩和を受けて低賃金の非正規社員が年々増加していくと共に拡大・広範囲化へと向かっていった。

 そして2013年には正規雇用が前年比46万人減の3294万人、非正規前年比93万人増の1906万人、過去最高水準の36.7%に達している。

 非正規雇用は特に15~24歳の若年層で、1990年代半ばから2000年代初めにかけて大きく上昇していると文科省のHPが記述している。

 この若年層の状況は親世代が子世代と同じ非正規雇用の形を取らなくても、親世代の経済的に収縮した状況と重なる形で子世代が受け継いだ低収入の非正規雇用と多分に言えるはずだから、でなければ、格差の世代間連鎖という社会的状況は生まれないから、親から子への流れの一つと見なければならない。
 
 2010年(平成22年)の日本の世帯数は5195万0504世帯。同年年間所得200万以下世帯が18.5%の約961万世帯。年間平均所得594万6千円以下世帯が日本の世帯数の半数を超える61.4%の約3189万世帯。

 ユニセフ・イノチェンティ研究所が2012年5月に発行した『Report Card 10-先進国の子どもの貧困』には日本の「子どもの相対的貧困率」は14.9%であり、日本国内約2047万人の子どものうち、およそ305万人の子どもが貧困家庭で暮らしていることが明らかになったと伝えている。

 但し『Report Card 10』の「10」が2010年調査を意味する「10」なのか、10番目の報告書という意味での「10」なのか、調べたが分からなかった。

 この14.9%はOECD35か国中、9番目に高い貧困率であり、一人当たりのGDPが比較的に高い先進諸国20カ国中では、上から4番目の好成績の貧困率だそうだ。

 こういった貧困の諸相、格差の諸相は政治が解決できなかった無力を含めて、政治が積み上げてきた実績でもあるはずである。

 そしてその治療手当を政治が行う。
  
 安倍晋三の「子どもの貧困対策会議」にしても、政治が子どもの貧困をつくっておいて政治が手当する同じ構図を取っているということである。

 この認識がないからこそ、安倍晋三が既に深刻な状況にあるにも関わらず、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう」などと、未然の(=まだそうなっていない)状態にあるかのような危機感のない認識を示すことができるのだろう。


 政治の責任はサラサラ感じていない安倍晋三なのです。

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