駅ホームからの転落防止に赤外線センサーのさらなる活用はどうだろうか

2011-04-15 07:15:39 | Weblog



 駅ホームからの転落事故が跡を絶たないようだ。4月12日夜も大阪市営地下鉄御堂筋線の駅で50歳前後の男性のうちの一人がホームから転落して電車にはねられ死亡、一人がホームから線路を覗き込んでいて電車に接触、意識不明の重態となったとマスコミが報じていた。

 意識不明の重体者はその後どうなったのか。二人の男性がホーム端で揉み合っている姿が監視カメラの映像に残っていたというが、警察はその二人かどうか確認中とのこと。

 次ぎの記事は車椅子が転落して死亡した事故について報じている。《車いす女性転落死、安全対策怠った容疑で元駅長書類送検》asahi.com/2011年4月14日13時43分)

 2009年9月13日午後4時半頃、東京都大田区の東急東横線多摩川駅で当時81歳の車椅子の女性がホームから転落死した事故で警視庁は14日、元駅長(52)を業務上過失致死容疑で書類送検したと報じている。

 ホームが内側にカーブしていて、電車が停車するとき内側に当たる乗降口側が傾いて低くなるためにホームの高さと乗降口のステップの高さとの段差をなくす工夫からホーム自体を逆に外側に傾斜をつけてあったという。

 それが標準の3倍近い約2.9%の傾斜があった。女性は2階ホームでエレベーターを降りた後、自然に動き出して車椅子ごと約1.2メートル下の線路に転落し、翌日死亡した。

 「MSN産経」には、〈女性は付き添いの長女とともに散歩をした後で、長女が車いすから手を離したところ、傾斜を下り出して約4・5メートル先の線路に転落した。〉と書いてある。

 まさか不注意を装った殺人ではあるまい。

 このホームでは07年9月にも別の高齢女性が車椅子ごと転落し腕を骨折する事故があったと記事は書いている。元駅長はその当時の駅責任者で、警視庁から傾斜の問題を指摘されていたにも関わらず、注意喚起のための張り紙や部下への指示、柵設置などの対策を取らなかったことが業務上過失致死容疑の書類送検の理由となった。

 元駅長「再発防止策を取らなかったことを深く反省している」

 東急電鉄「捜査に全面的に協力し、今後とも公共交通事業者として、より一層の安全確保に努めます」

 公共交通事業者は電車やバス等の乗り物に乗っている人間の安全を預かるだけではなく、ホーム等の乗り場にいる人間の安全も預かっているはずだが、ともすると乗客中の安全配慮に傾き勝ちなのではないだろうか。

 あるいはバスや電車が乗り場に出入りする際のみの安全喚起に努めるといった傾向にはないだろうか。

 一方に重点を置いた場合、もう片方が疎かになって手落ちが生じる。

 少なくとも手落ちが事故を誘発し、反省を後からついてまわらせる。

 警察が会社側の責任を問わなかったのは07年の事故に関して元駅長の報告が不十分で本社が実態を把握できていなかったため過失は問えないと判断したと書いてあるが、この両者の関係から浮かんでくることは会社側が元駅長の報告のみで済ませていたことと会社側から事故調査を徹底的に行わなかった姿である。

 だから元駅長の報告が不十分であることを許し、結果として会社側は実態を把握することができなかった。実態を把握できていなかったこと自体が問題であるはずだが、そのことは不問に付せられた。

 会社がそんな姿勢だから、「捜査に全面的に協力し」云々と役所的な紋切り型のことしか言うことができない。

 駅ホームは特に視覚障害者にとって危険な箇所となっている。《全盲障害者3分の2が転落経験」 後絶たぬホーム転落》MSN産経/2011.4.14 02:00)

 冒頭、〈車いす利用者や視覚障害者が駅ホームから転落する事故が後を絶たない。障害者団体は転落防止柵や可動式ホームドアの必要性を訴え続けているが、整備が遅れているのが現状だ。〉と記事は書いている。

 昨年度、ホームから転落して列車と接触する事故(自殺は除く)は全国で約60件発生。

 利用者が1日5千人以上の約2800駅に対して可動式ホームドアが設置されているのは約500駅のみ。約18%の僅かな設置率にとどまっている。

 全日本視覚障害者協議会の山城完治氏(54歳)「全盲の障害者約70人のアンケートで、約3分の2がホームから転落した経験があるとの調査結果もある。国は具体的な目標を定めて設置を進めてほしい」」

 最善の防止策だが、コストの関係からだろう、設置率が低い可動式ホームドア以外にどんな転落防止策があるのか「Wikipedia」を覗いてみた。

赤外線検知方式

 プラットホームの柵と光センサーを利用した「ホームセンサー」によって転落防止を図る例がある。また、赤外線を使用した障害物検知装置が設置されている例もある。

これは、プラットホーム上の列車停車位置の先頭と末端および連結部の白線上に赤外線発射装置と受光器を設置し、列車の入線・発車時に白線より外側に出ているものを検知して、自動的に列車にブレーキをかけたり、発車ができないようにするものである。

その他

 上記のほか、プラットホームにおける安全対策としては、以下のようなものがある。
 非常通報ボタンの整備:転落などに気づいた乗客が押し、乗務員や駅員に知らせると共に列車の入線や発車を止める。

 退避スペースの設置:転落した際の退避スペースをプラットホーム下に設ける。

 線路脱出ステップの設置:線路に転落しても昇りやすいよう、プラットホーム側壁に昇降ステップを設けたもの。

 転落検知マットの設置:特に急カーブ上にホームがある場合、プラットホーム下部の線路横に転落感知マットを設けて人が転落したことを知らせるもの。退避スペースがない箇所にあることもある。

 道床の低床化:道床を低くし、レールとの間に空間をあけ、転落者を道床に落として轢断しにくくする。ロンドンの地下鉄などで採用されている。

 転落事故や接触事故を防ぐ目的で大規模駅やカーブによりホームと車両の間に隙間がある駅では、視覚的にわかるように列車が接近する際にホームに設置された発光部やパトライトが光るようになっている場合がある。

 東京地下鉄では、転落事故の防止のためにホームドアが設置されている駅で、電車が到着すると同時に、ホーム先端部の可動ステップがのび、ホームと電車の間の隙間を極力減らすようになっている。〉――

 〈転落事故や接触事故を防ぐ目的で大規模駅やカーブによりホームと車両の間に隙間がある駅では、視覚的にわかるように列車が接近する際にホームに設置された発光部やパトライトが光るようになっている場合がある。〉は全盲といった視覚障害者に殆んど役に立たない。

 プラットホームへの電車の出入りの際にはマイクを使って音声で注意を促すが、それ以外は音で注意、もしくは警告を発する方法はないようである。

 また、〈プラットホーム上の列車停車位置の先頭と末端および連結部の白線上に赤外線発射装置と受光器を設置し、列車の入線・発車時に白線より外側に出ているものを検知して、自動的に列車にブレーキをかけたり、発車ができないようにするもの〉としている赤外線検知センサーは、説明からのみ解釈すると、電車の入車・発車の際のみの作動となっているようである。

 赤外線検知センサーのさらなる活用として二種類の目的を持たせた赤外線検知センサーを設置したらどうだろうか。一つはプラットホーム上の白線の外側、線路側の端までの間のどの場所にも人間が立った場合、電車が停車中を除いて常に感知できるように設置する。

 もう一種類は線路に転落した物体を検知できるように設置する。

 二種類とも検知と同時に検知音が出るように連動させる。映画やテレビドラマで宝石店や銀行に侵入した強盗が赤外線センサーに触れると火災報知機が発するような音を出すようにである。

 検知音は銀行や宝石店の検知音が警察やセキュリティー会社に通じているように駅員の控え室に通じさせておく。

 白線の外側に設置した赤外線検知センサーの場合、電車が停車中以外はそこに立つと警告音を発することになるから、電車がホームにいない間は常にそこに立ち入ることができなくなる。停車中以外は立ち入り禁止とするということである。視覚障害者にしても、警告音によって自分が白線の外側に立っていることを知ることができるはずである。

 聴覚障害者の場合は、警告音が聞こえないことから普通の顔をしていつまで立っていることになるから、誰かが手でここにいてはダメだと合図して、白線の内側に誘導することができることになる。

 最初の記事が伝えているように何かいさいかいがあって揉み合ううちに白線の外に出ても、本人たちが白線の外側に立ち入ったことを気づくか、例えホームから転落することがあっても、白線の外側に立ち入った時点で警告音で以て他の乗客や駅員にも知らせているから、早いうちに救助等に取り掛かることができることになる。 

 次にホームから転落した場合に検知する赤外線検知センサーはタバコの吸殻を投げ捨てても検知し、検知音を鳴らす程に精密に設置したなら、吸殻のポイ捨てはなくなるかもしれない。

 尤駅舎内が禁煙となっていたなら、吸殻を検知することはないかもしれない。

 線路内転落防止の検知センサーの検知音はホームと駅員控え室だけではなく、ホームに入車してくる電車にも、音を感知してからブレーキをかけてホーム手前で停止できる距離よりも長く取った距離から知らせることができるように運転席と車掌室、さらに客車のすべてに設置する。

 運転手は直ちに急ブレーキをかけることになる。この警告音が鳴ったなら、ホームから何かが転落したことを知らせる警告音だと周知徹底、学習させていたなら、乗客は警告音がなると同時に電車がブレーキをかけることを察知することになるから、無防備な状態で将棋倒しになることを僅かながらでも防止し、身構える時間を与え、客の安全につながる可能性も生じる。

 走行中の電車で前以て、これは訓練ですと警告音を鳴らすのも学習効果を上げる方法となり得る。

 ホームからの転落に対して、運転手がホーム手前で目視で確認するよりも、転落と同時に赤外線センサーで検知、警告音で運転席に知らされたなら、より早くブレーキ動作に入ることができる。

 但し転落が電車がホームに入る間近の出来事であるなら、その限りではないことになる。

 コストの関係から、可動式ホームドアの設置が遅れている。可動式ホームドアの設置までの暫定措置として、それ程コストがかからないはずの警告音と連動させた二種類の赤外線検知センサーの設置を進めたらどうだろうか。

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