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顕正会最大の急所 日蓮は天皇を折伏していない

2005-07-30 01:19:12 | 教義学
神奈川県警は28日、20歳の大学生を横浜市内の民家に監禁して入信を迫ったとして、宗教法人顕正会の会員2名を監禁容疑で逮捕、組織的犯行の疑いもあると見て、顕正会横浜会館を家宅捜索しました。

普通なら、こんな小さな団体の事件を取り上げはしません(宗教部門の課税法人所得は、創価学会・伊勢神宮に続いて顕正会がナンバー3とされていますから、財力では決して小さな団体ではありませんが)が、「ある事情」から取り上げてみたいと思います。



顕正会は、日蓮正宗の一派を自認(正宗は破門を主張)している宗教団体です。
日本国民全員を入信させ、天皇の勅撰と国会の議決を以て、国立戒壇を建立することを目標としています。
要するに、田中智学が唱えた日蓮主義のリバイバルのようなものです。
公称会員数は100万人を超えていますが、実質活動家は1割以下といわれています。

この事件以前にも、平成10年1月にはやはり横浜市で、顕正会員4人が、会社員男性に対して入会を強要し、拉致・監禁・暴行の容疑で逮捕されています。
この男性は、顔面などに全治一ヶ月の重傷を負っています。

顕正会員による同様の事件は、全国で多発しています。少なくとも、これまでに全国で50件以上の被害届が寄せられているとされています。

特に、未成年への勧誘に力を入れているため、全国各地の教育委員会が警戒に当たっています。



実は、僕の知人も何人か、顕正会に勧誘されています。
そこで、僕も顕正会について調べてみたのですが、いくつか腑に落ちない点がありました。



まず第一に、浅井昭衛会長の予言が、片っ端から外れていること。

もともと浅井会長は、

「広宣流布(顕正会を国教化すること)できなければ、ソ連が日本に攻めてくる」

そう主張して、勧誘をあおっていたのですが、ご存じの通り、ソ連はなくなってしまいました。

すると、北朝鮮が攻めてくることになり、今は中国だそうです。


平成10年の小田原大地震を予言して、見事に外れたことは、有名な話です。


それでも懲りずに、「国民が1人残らず日蓮に帰依しなければ日本は滅びる」そう主張し続けています。



もうひとつの疑問は、日蓮正宗の一派を自称していながら、会員が根本教典に当たる『御書(日蓮書簡全集)』を持っておらず、読んだこともない点です。

顕正会で『御書』について自由に解釈・講義できるのは、浅井会長だけです。
会員が知っている『御書』とは、浅井会長が選んだ切り文の部分だけなのです。

これは、キリスト教団体が信徒に『新約聖書』を読ませず、教祖だけが聖書を解説するようなものです。それはすでにキリスト教ではありません。
あるいは、共産党が党員に『共産党宣言』を学ばせていないようなものです。それはすでに共産党とはいえません。

日蓮を宗祖と仰ぐ団体が、教学の基本であるはずの日蓮の遺文を、会員に学ばせていない。
これでは、マインド・コントロールの意図があると解釈されても、おかしくありません。

『御書』を単なる参考文献に位置づけ、会長の著書を事実上の根本経典とする。
つまり、顕正会は教義上は「浅井宗」として位置づけられる宗教団体だと考えられます。

。。。それならそれで、何も日蓮正宗の名を語る必要はないと思うのですが。
堂々と浅井宗を名乗ればいいのです。



ともあれ、僕の知人で顕正会にハマる人は、1人もいませんでした。

。。。ところが、話はそれで終わらず、僕自身が勧誘されるハメになったのです!



仕事で付き合いがあるものの、たいして親しくもない女性から呼び出され、断りきれずにファミレスへいってみたら、やがて別の女性も現れました(2人以上で勧誘するのが、顕正会のセオリーだそうです)。
おそらく上級幹部なのでしょうが、自己紹介もしなければ注文もせずに一方的にしゃべり続け、「なんて常識のない人だろう」という印象を受けました。

仕事とは関係ない話のようなので、僕は30分くらいで席を立ちました。

「入信しないと罰が当たる」などと騒ぎ続けていましたが、「僕がこうして断って、あなたの言う罰が出るか試してみましょう」というと、絶句していました。
それからまもなくして、収入が倍くらいになりましたけど。

ちなみに、監禁とか、そこまでのことはありませんでした。



最後に、顕正会員の皆様に、『小蒙古御書』をお送りします。


 小蒙古の人・大日本国に寄せ来るの事、我が門弟並びに檀那等の中に若し他人に向い将又自ら言語に及ぶ可からず、若し此の旨に違背せば門弟を離すべき等の由・存知せる所なり、此の旨を以て人人に示す可く候なり。


これは、「蒙古が攻めてくるぞ」などと煽って折伏することを禁じる、日蓮直々の通達です。浅井会長のような人間が出てくることを、日蓮はちゃんと分かっていたわけです。

顕正会の「中国が攻めてくる」というやり方の折伏は、まさに破門に当たる行為です。

浅井会長は、『小蒙古御書』について、どのように講義されているのでしょうか。たぶん、永遠に取り上げることはないと思いますけど。

ともかく、御書を自分で読んだことのない人間に、日蓮の信徒を名乗る資格はないと思います。


また浅井会長は、田中智学と同じく、御書にある「国主」を天皇と解釈し、その折伏を教団の一大目標に掲げていますが、日蓮が天皇を折伏したかどうか、調べてみてはいかがでしょう。

日蓮が『立正安国論』を提出したのは、時の天皇ではなく、実質的な権力者である前執権・北条時頼に対してでした。

。。。これって、御書云々以前の、一般常識ですよね。


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顕正会、いや浅井宗の立場からすると、日蓮が天皇を折伏しなかったのは、怠慢ということになりますよね?
浅井会長が御本仏で、日蓮より格上ということになるのでしょうか?



顕正会員はなぜか「教学力がある」と評価されがちですが、僕の目から見ればあれほど無知な集団はいません。
彼らの教学は単に浅井会長の教えを暗記しただけに過ぎません。彼らは御書すら読んだことが無いのです。
それ以前に、基本的な歴史の知識さえあれば、御書そのものを一度も読んでいなくても、浅井会長にだまされることはないはずです。
一般教養のない人間がカルトにだまされるのです。





※本文のコピー・配布を許可します






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