立読ブログ

立読師による一人語りのブログ 今後ともよろしう

読了記録~白州さんと鼓笛隊・・・は 関係ない~

2011-08-16 23:16:50 | 
読了報告


鼓笛隊の襲来 [単行本] 三崎亜紀 光文社

韋駄天夫人 (平凡社ライブラリー) [文庫] 白洲正子 平凡社


鼓笛隊~は家のベランダ読書で読了
いやはや面白い
前にも書いたが この本は
「大きな法螺で小さなメッセージを伝える」本だ

戦後最大級の鼓笛隊 覆面社員 浮遊都市と遠距離恋愛 校庭の真ん中に建つ家…

素っ頓狂な世界の中に織り込まれたメッセージは
下手に要約しようとすると ともすれば非常に陳腐なものだ
しかし 言葉で巧く表現できなくても
直感的に理解できる人の心や社会の構造の大事な部分だったりする
これもまた 下手に伝えようとすると
かえって「はいはい また言ってるよ」的な言葉になってしまうから
この本のメッセージは是非読んでみて直感的にその尊さや愛しさを感じて欲しい

この本は単行本より集英社の文庫版の方が
表紙の絵が私好みなんだが 図書館で借りて読んだので
[単行本]と表記させてもらったよ


韋駄天夫人 は
白洲正子の随筆集
書かれているエピソードは何度か目にしたことのあるものもあるんだが
白洲正子が書いた年齢によって
エピソードに添えられる言葉に 青さや消化や熟成の変遷があって
白洲本を読み比べる面白さにつながっている

おもしろいなーと思うのは
本の世界からかけ離れた場所や意外な人の言葉の中に
白州さんの随筆の言葉が混じっていることで
好きなことをとことん掘り進める人は
ひょっとしたらみな似たような思想を持つものなのかもしれない
他人の言葉に混じる白洲正子や青山次郎臭を嗅ぐのは
けっこう悪くない(笑)

「あんたは背骨はしっかりしているが、思想がない」

私は どうだろう…背骨はしっかりしているだろうか 思想は…ないかなー(苦笑)

本読みのジレンマで
本の言葉を人に使ってエエカッコしいをしたい けど それが借り物で自分の頭で考えたものじゃないのはカッコ悪い
というのが身に沁みているので
なんだか白洲さんたちから

「私たちはあんたの筋肉になるものはあげるわ でも あんたの骨になる思想は自分で考えなThink!」

て言われているような気がするよ厳しいねまったく(苦笑)
でも そういうのが意外と悪くない


んで 今読み始めたのが

ジョーカーゲーム

第二話まで読み進めたんだけど
いやはや めっぽういか面白い(笑)
作者に振り回されて思惑にはめられて
腹を立てたりハラハラしたり
みごとに転がされております

そして 会社本にいよいよ 天と地の守り人 カンパル編 を卸します!
うひゃひゃひゃひゃひゃ楽しみである!

顔色を伺ってる?

2011-08-16 22:42:31 | 人間、ボチボチ主義
えー…久々の「人間ボチボチ主義」です

今日は多分初めてブログに自分の心の話を書きますつまり重いです
なるべくライトに書くつもりですが
重いぞ とお覚悟あそばせ(笑)

ボチボチ主義をずいぶん書かないでいた間の心の話です
まぁ書かなかったのは書けなかった・・・というより書くことがなかったからですが
しかし心の方は沈没したり浸水したり凪だと思ったら一気にナイアガラ級に落ち沈んだりでしたよ
書くことがなかった というのは
つまり書くことで自分が感じていたつらさと向き合うことがつらかったから
なるべく肯定的なことをお気楽に書きたいですからねぇ(苦笑)

んで 本題

その最近までのつらさ というのが
ピーク時は「もう…この場に存在するだけでごめんなさい」レベルで
今までどんなにつらいことがあっても いや あったからこそ
その渦中で「こんなにつらくても 誰一人私の存在を抹消することは不可能だ」「私が存在(居る)ことは誰にも消せない」
という 存在することの絶対感という自信があったんですがー
今回はその存在することすら自分の中で危うかったです はい

これを言ったら・したら またなにか言われるんじゃないか
ケチをつけられまた怒られまた否定されるんじゃないか
何をしてもしなくてもイラつかれるんじゃないか
私が居るだけでも気にさわってイラつくんじゃないか
頭の中は
オマエはダカラダメなんだ オマエなんかオマエなんか…ダメなんだ 消えろ 居るな 邪魔だ 死ね 奴隷 なんてぇ言葉が何度もリフレインしてましてね

それが傍から見るとどう映っていたんでしょう
まだ元気バリバリだった私を知る古い友人は今の私を見て評します

「だからどうしてあんたそんなに卑屈になってるの?」
「なんかビクビクしてるし」

確かに… さすがに自分の根っこを作った時代からの友人はよく見透かしてます
主治医の先生によると

「いままでの話を総合すると、つまり立読師さんは今までずっと人の顔色をうかがって生きてきたんですよ。ご両親に対しても。そうやって36年間しのいで来たから、今抱えているストレスはそうした顔色をうかがう習慣が裏目に出ているんですね。これを今すぐ治す。ということは非常に難しいです。今までずっと蓄積してきた習慣ですから、いきなり顔色を伺うことを改めることは難しいんです。時間が、かかります」

ーーーーーー

人は恐怖や不安を克服する術として「理解する」「名づける」ということが出来ます
得体の知れない見えない存在に「幽霊」と名をつける「物理現象」の説明で理解する とかね

主治医の先生に言われた
「人の顔色を伺って生きてきた」
これは言葉として理性では受け入れがたいものでしたが
時間の経過と共に
あ、あれも これも その言葉で説明が出来る…と
まるで新しい方程式を実験事実で検証して確かめるようにして
自分の心の事実を近似する言葉に定着していきました

過去に傷ついた経験からあまりにも自分が傷つくことを恐れて
見えない他人の心を必死に読もうとして
的外れな答えを導いては誤った行動を起こして
結果 好意的だった人からでさえ
よけいに怒りを買う 嫌われる 誤解される…本人いじめられると怯える
そうして傷つけられることを恐れるあまり
また必死に空気を的外れに読む悪循環
一人で顔色を伺って疲れ果て 一人で疲弊していく生活が
ここ数年続いていたために
周りに理解されない(あたりまえだ)ストレスを抱え込んで苦しかったんだなぁ

今は不安感を覚え始めると
「あ これ…顔色伺ってない?」と
一回自分に問いかけます
そうすることで不安感がまったくなくなるわけではないんですが
少なくとも「コノ不安ハ事実トハ異ナル」という根拠を持ってして
不安の増幅をかなり抑えられるようになりました

不安感が増幅するとパニックを引き起こして行動が空回りしますから
そうすると期待するほど良いことはあまり起こらない
おしっこを極限まで我慢しながらの方が正しい動きが出来る…わけではないですね(苦笑)
ボチボチ良くなっています

7月の読了記録~八月に入っちゃったけどね

2011-08-05 06:00:09 | 
読了報告

天と地の守り人〈第1部〉ロタ王国編 (新潮文庫) 上橋 菜穂子 新潮社

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。 [単行本(ソフトカバー)] K/Kajusky(著), ichiba(イラスト) PHP研究所

水木しげるのラバウル戦記(ちくま文庫) 水木しげる 筑摩書房

読みかけ 
鼓笛隊の襲来(単行本) 三崎亜記 光文社


んで感想

天と地と~は一気に大人買いせず
大人の事情で(笑)月間守り人 として
3ヶ月かけて購入予定 ゆっくり楽しむのだ…っていいつつ
すでに続きが読みたくてうずうずしているぬおお…

ついに動き出した最終章
その第一弾ロタ王国編…
前巻でタルシュから皇国を守る最後の希望を胸に
一人海洋の先ロタへ向かい海へ身を躍らせた皇子チャグムの影を追うバルサ
あの子は生きているのか
無事で…どこに居るのか…どんな青年に…
少年時代を知る彼女が 青年となり国を背負う皇子を
万感の思いで探す今巻は…
どちらかというとこれはドラマや映画の続編版でよくある
「そのころ○○は…」「同じころあの人は…」
という描写にいちいち
おお! そうかバルサは…タンダは…おお… と
感慨深いものがあります
人物や世界観を掘り下げる描写よりそっちに目がいってしまうのは
まぁファンなら無理もない話
久しぶりにバルサの大立ち回り満載でこれもまたたまらん
「姐さん」と書いて「ねえさん!」と呼ぶのがこれほど似合う人もいないでしょう
カンバル編はどうなるのか…
ストーリーの行く末は…気になるー!!


さてお次は漫画

妻が~ は何気なく本屋では見かけていたものの
思わず手に入れた一冊

さて 山田ズーニーさんの「大人の小論文教室(PC版)」に
「最近の若い人たちは「わからない」ことや「ストレス」に対して積極的にアクションを起こさない代わりに「困ったなぁ…」とただただそのストレスの淵で、じっとその闇を見つめ続けていられる。それはまたそれで強い」
みたいなことを書いておられて
読んだときはどういうことなのかピンとこなかったんですが
この本読んで ああ なるほど と

解らない というのは結構ストレスで
解消するために解ろうとしたりなかったことにしようとしたり逆切れして否定したり…
ということはよくあることなんだけど
そうでもない場合もあるんですね

本書は夫が仕事から帰ると玄関で妻が毎日「死んだ振りをしている」から始まる
素っ頓狂な妻の行動を記した面白妻ネタ漫画なんですが
肝はここで「ね?ウチの妻って変でしょう?(笑)」と
突っ込み芸に走らず
淡々と「なんでか…不思議だなぁ」と観察に徹した描写であること
わからないことをわからないままに見つめ続ける姿勢から
妻への愛情が浮かび上がります
積極的に「アイシテル!」と叫ばなくても
まったく理解しきろうとせずとも「不思議だなぁ」と
一緒に過ごす相手 
それもまた夫婦の姿なんだな と思います

理解しようとする行動も愛だけど
理解できなくてもそばで見続けるのも愛だな と(赤面)

さて八月といえば戦争を考える月
と いうことで一冊読みました

ラバウル戦記

戦争本で厳粛な気持ちになろうかと思って読んだけど
いやー…もうちっと血なまぐさくて恐ろ重々しい体験記かと思ったんですが意外とライト
まぁ水木さんですからどっか飄々としてるんです
でも 戦争末期に借り出された市井の人が
兵隊さん としてなにを体験したか
今の自分たちがもし戦争に放り込まれたらどうなるかを
かなりリアルに想像させてくれますよこれ
ほんの半年早く入隊したというだけで威張り
年かさの新兵を殴る殴るいじめ古兵
その古兵の顔色を伺って そして先の展望への不安から
ビクビク萎縮してノイローゼになっていく者
そうした者が大勢を占める中で
なぜか楽観的にいられた水木さんも
「そういう心持で居られたのはひとえにまだ若かったからだ」と
回想しています
根拠もなく未来に楽天的でいられる若者だったからこそだ と
ここで「では私だったらどうなってしまうんだろう…」と思わずに入られません
戦争という環境におかれたとき
心の弱さも性根の悪さも楽天主義も 
だれもがどう発揮されるのか 
それは時代を超えても「オレならどうなる?」と想像させられます

そして最後はどうしてもラバウルの現地住民との交流から
「この場所この人々こそ人間のあるべき姿だ」となっていく水木さん
この辺 海外に行くと「この国の子供たちの目は輝いている!」的に
海外マンセーになっちゃう海外あるあると通じるものがありますが
水木さんにとっては日本の戦争という
理不尽に死ななきゃならない 理不尽に死ぬよりつらい日常
のすぐとなりにあった現地の人々ののんびりとした生活が
うらやましくてしかたがなかったんだろうなあ


さて 読みかけなんだけど面白いのが

鼓笛隊の~

短編集なんですけど
表題作を読んで あっ と驚きました
これはつまりぎりぎりSFチックですが純文学だな と
「戦後最大級の鼓笛隊が襲来!」
(て どう見ても台風のことなんだけど ディティールはやっぱり鼓笛隊)
などという大法螺を吹いて
しかし読んでみるとその裏には
天災と人との本来の付き合いの姿 とか
世代に引き継がれるもの とか
家族の本来の姿って…なんてことに思いを馳せさせられます
大きな法螺で興味をつかんで本当に気づかせたいものを滑り込ませる
こういう手法が小説にはあったんだ!と
目から薄皮がはがれる思いがしました
今年の集英社のナツイチ!に文庫版が入っていますので
未読の方はぜひぜひ 



あ 忘れていた

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら (アニメコミック) プロダクションI.G(著)、飯塚裕之(iSCreative)(著)、岩崎夏海(原著)小学館

もしドラのアニメ版のフィルムコミック
なんというか又聞きの又聞きのような流行の追っかけだ(笑)
もしドラ自体には思うところが少しあるんだけれど
それは多くの人が語っているところと大差ないので
まぁここでまた一つ似たような話を増やすのもあれかな と
一言だけ言わせてもらうと
「ドラッカーのマネジメントは読んだ人の数だけ解釈がある」
だね
もしドラを読んで それで…君はどうする?
読んで理解できたらそれで終わりにする?
読んで話のネタに一回使えるまで記憶しておいてそれで終わりにする?
レポート課題をクリアするために無理矢理使って後は忘れる?
ねえ?一生 覚えて使いこなしたくはない?
なんてねー(笑)