立読ブログ

立読師による一人語りのブログ 今後ともよろしう

読了記録~会社で読んで家で読んで~

2012-11-23 20:10:04 | 
一冊は会社で もう一冊は部屋で
久しぶりに安定して会社と家でコツコツ読む生活が続きました


東の海神 西の滄海 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート) 小野不由美(著), 山田章博(イラスト) 講談社

ツチヤ教授の哲学講義 土屋賢二 岩波書店


さて十二国記
今回はシリーズ通じての名アシスト役
延国延王と延麒の話
シリーズの位置づけとしては外伝なのではあるまいか
今までのお話を通じて この二人が名コンビとして
延国を500年と治めてきていることを踏まえているので
まぁ ハッピーエンドは約束されたようなもの
今回はその二人の出会いのエピソード
延麒には延麒の 尚隆には尚隆の苦悩や覚悟があったわけだが
それでもどこか安定した目線で見ていられる余裕が
読み手にはありますな


お次 土屋センセ
こちらは実を言うと何年か前に読みかけて
わからん…orz と一回挫折した本
がー、今回時を経て読んでみると
けっこうわかるんだよねぇ 不思議不思議
するする読めてなるほどねぇ と納得
とりあえず一通りの有名哲学者について
触りを抑えることができる

哲学書というと
つい理解できた文節に執着して
これで世界の謎が解けた! とか錯覚しちゃいがちなんだけど
そういうふうに読んでいると
本の1/10も理解できないんだなぁ
なんとなく漠然と感じていた疑問や悩みに対して

この人はこう言っていたけどここが変だ
この人はだからそこをこう言ったんだ

過去の人たちはどういう答えをだしていたのか
それを知ることで自分の問題を深めることができる
それが哲学書の効用なんだ
そういうふうに見ていくと
悩みの外観や要点がまとまっていくね
同時に この手の悩みは答えの出ない類の問題じゃないか
じゃぁ 悩んで答えをみつけようとしなくてもいいじゃないか
世の中すべてのことに因果や解答があるわけじゃない
そんなふうに 少し息を楽にできる効用もある

この本は大学1・2年生を対象にした
哲学入門の講義が元になった本なので
一日一章=1コマのつもりで読むと
大変頭の消化に良かったっす
読後スッキリ(*´Д`)


会社本はこのまま連続して十二国記をコンプする予定です 未完だけどコンプリート(笑)
家本はテキスト系の未読が溜まっているので
こちらをうりうりと読み進める予定
ナメクジのように這い進む先には
伊丹十三の女たちよ!や本の雑誌社の編集家業の女たちが待っているのだ

ファンタジー・トラブルシュート・コケ…三題噺、にならんか。

2012-11-04 15:34:31 | 
風の海 迷宮の岸〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート) 小野不由美(著), 山田章博(イラスト)
風の海 迷宮の岸〈下〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート) 小野不由美(著), 山田章博(イラスト)

PRIDE(プライド) 池袋ウエストゲートパークX (文春文庫) 石田衣良 文藝春秋

コケの手帳 (のぎへんのほん) [単行本]  秋山弘之 上野健 福田恵 本郷純子 伊村智 山田富美男 畦浩二 西村直樹 南佳典 研成社

やぁーっと続編に手をつけ始めました十二国記(笑)
第一弾の月の影~の泥の海から這い上がる成長譚と比べ
今回の主人公はセレブ
だって麒麟だもん
普通の一般家庭 つまり十二国記世界とは異世界にあたる
私たちの世界に間違って生まれてしまった泰麒が
本来の世界である十二国記世界に連れ戻されて
戸惑いながらも麒麟として目覚めていく成長譚
もう連れ戻された時から特別に大事に優しく見守られて
ああ~ あの陽子の苦労とは大違いだぞこのやろう
しかし自分がなにものであるかわからないまま
周りから期待され 何もできない自分の
消え入りたいほどのいたたまれない辛さは
どんなに蝶よ花よと大事にされても辛いものだよなぁ
いつか分かる時がくるとしても
その辛さを味わった時間は消すことができないもので
今なにか辛さを感じている人には
「It is time!」までのもどかしいほどのあがきが
共感できるツボかもしれない


さてお次IWGPシリーズ第十弾PRIDE
ゴルゴ13や美味しんぼとまではいかなくても
新刊が出たら買うと決めている人気連載
しかし自宅の本棚事情にハタと目を向けたとき
「いつまでこれは続くんだろう…」
そう不安に襲われたことはないだろうか
そういう意味ではIWGPシリーズ
第十作目である本作でとりあえず第一部完になってよかった(苦笑)
今回のマコトが関わるトラブルの渦中の人たちは
ひどい目や恵まれない状況であっても
前へ進もうとする人たちだ
そこに すねたりひがんだりなにかのせいにして
立ち止まって下を向いている暇があったら
先ず前を向こう 一歩踏み出そう
手を伸ばせば必ずその手を握り返してくれる人はいるんだ
そう石田衣良が言っているように思う
現代のスタイリッシュな応援歌として完成したんじゃないかと思うよ


んでラスト コケの手帳
いやぁ ちゃんと最後まで読んで正解!
実に面白いコケ入門書でした
コケ好きによるコケ好きのためのうんちく集であるのだけど
最後の章であるこれからコケ観察をしたい人に向けた章は
素人がつまずきやすい落とし穴を実に的確に言い当てていて
独学の絶壁に垂らされた理解と言う名のロープなんだけど
「ああ わかってくれるんですね」と喜んで
掴んで登り始めたところで
「で どうしたらいいでしょう」と問うと

そこはあまり気にしないでください(笑)
これは慣れるしかないね(笑)

ええーーー……(ひゅるるるるるるるる……)

解決の光を見ぬまま再び絶壁を突き落とされる
しかし ま
そういうのもまたゆるくていいんだけどね
もう笑っちゃったよこの突き落としには(笑)

三崎亜記は面白かった(*゜▽゜*)

2012-11-04 15:33:13 | 
鼓笛隊の襲来・廃墟建築士と読んで
あんまり面白いから
図書館にあった三崎亜記の本を全部読みあさりました
いやぁー面白い

続けて読んだおかげで見えてきたのは2点
三崎亜記の構築する世界は一つの異次元空間として閉じているということ
特に連作短編である 刻まれない明日 に顕著なんだけど
どこかで以前見た地名や見覚えのある人 人名 
共通の土地と時間軸の中で
物語が多重に進行していると思わせる仕掛けに満ちている
ちょっと 昔のシティーボーイズのライブ…
三木聡が演出をしていた頃のライブに似ていると思う

不思議なことが普通に起きるひとつの町で
それぞれに紡がれた人物たちの物語は
生きていくために必要な術を
読むという作業で作中人物たちと共に
不思議さのズレを受け入れ糧にして前に進む形で
私たちの世界にもそれはおんなじことだよ と伝えてくれているように思う
物語を一つ読みきった経験で一つ強くなれる
少し呼吸が楽になる力を持った作品群だ

記録のために以下書名を

バスジャック 集英社

海に沈んだ町 朝日新聞出版

となり町戦争 集英社

コロヨシ!! 角川書店

決起!コロヨシ!!2 角川書店

刻まれない明日 集英社


誰か三崎亜記ワールドのマップと時間軸をまとめてくれないかなぁ
居留地・双龍の男・動物園・図書館・異邦郭…



あ そうそう 個人的には 日野原さん がとても好きです
彼女は幸せになって欲しいなぁ