マンガで分かる心療内科6 ゆうきゆう(原作), ソウ(作画)YOUNGKINGCMICS 少年画報社
より
今回取り上げたい話は「心理学的に大人と子供の差は何か?」
という話
漫画では ハインツのジレンマ から
年齢とは関係なくモラルがどれだけ成熟しているかを
判断する指標を紹介しています
これが他の内面的成長過程の指標にも応用できそうで面白い
ハインツのジレンマ というのは
ハインツという男には病気の妻がいて、病気は重くこのままだと死んでしまう。唯一の治療法である薬は街の薬局にしかない。しかし薬は1000万もして、ハインツは必死にお金をかき集めたけどどうしても足りない。少し安くしてくれないか?もしくは後払いにしてもらえないか?と頼むが店主は首を横に降るばかり。妻は体が弱り残された時間がない。ハインツは薬局に忍び込みその薬を盗んでしまう。
さて、ここであなたはハインツの行動をどう思うか?
理由と共に答えよう。
という問題
解説すると「妻の命を助けたい…しかし薬を買えない…というじれんまから盗みを行なったハインツをどう考えるか?
そこであなたの「モラルのレベル」がわかるというテスト
ここでいうモラルとは=道徳心のことで
年齢とは関係なくモラルが子供っぽい人もいれば成熟した人もいる
という考えが前提です
ざっくり分けると3つのモラルに分けられます
もっとも子供っぽいモラルこそがレベル1
「個人の損得しか考えない」
すなわち
「盗むなんてバカだなぁ。警察に捕まったら困るじゃん」とか
「まぁ、バレなきゃいいんじゃないの?」
というように個人の損得だけで答えを出した人は、最も幼いモラルにあたります
自分が気持ちよければいいよね! とか バレなきゃいいよね!! みたいな(苦笑)
次に一つ上、青年レベルのモラルこそが
「法律や社会を重視する」という考え方
「気持ちはわかるけど、法的に盗みはダメだよ。社会秩序がなくなるでしょ」とか
「あんな事情なのにお金をまけない薬屋がサイテー! そんな店からなら、盗んでもみんなが許してくれるよ」
というように、法律などのルールや社会全体などによって判断するというモラル。
ただし、これは「正論」で間違った考えではないが、多数決のように一部の意見を封じ込める危険性もあり、また、「正論」どうしでは永遠に決着が付きません。
つまり、「周囲や社会の意見」なんてものは切り出し方によって何とでもなる。「正論」というのは実は曖昧で内容が薄いこともある。
ではよりベストなモラルとは?
レベル3「自分の信念」
個人の損得や社会のルール…これらをすべて理解した上で
「自分自身の信念や良心」によって何かを判断できる。
「確かに盗みは悪いことだ。しかし僕が同じ立場で、愛する人間を見殺しにしたら、一生後悔するだろう。だから僕は、今回の盗みには賛成する。」とか
「愛する気持ちはすごく分かる。でも、盗みを行なったことが妻にバレてしまったら、ハインツが自分のために犯罪者になったことで、彼女が何より苦しんでしまうと思う。だから私は、反対する。」
というように「いろいろな考えを知った上で、自分なりの信念や良心、そして人生観を確立し、それによって善悪を判断する」というモラル。
しかし、信念や両親に従えばなにをしてもいいか?といえば問題もあり得ます。
んで、この三つよりさらに優れたモラルとして「ケアの理論」があります。
それは「みんながみんな幸せになる方法を探ること」です
ハインツのジレンマにたいして「いい」「わるい」という思考を超えて
「妻の病気が治ったあとで、必死に働いてお金を稼いで、薬の代金以上のお金を返しに行くのは…?」とか
「とりあえず盗んだものは返し、薬を使わせてもらうかわりに、薬をたくさん売ってくると取引を持ちかけるというのは…?」
というように、ハインツと妻はもちろん薬屋もふくめて
つまり利害が衝突する関係間において
みんなが幸せになれる方法を探ろうとする…こういう思考こそが、さきほどの「信念」よりずっと優れたモラルである。ということです。
ああ長い…とはいえここ抜粋しないと話が展開できないんで すいません
さて これを読んで立読師 ピィン! と思いつきました
これ 会社における人間関係のモラルの成熟度でもつくれるんじゃね?
まずレベル1 「直感的・感覚的な好き嫌いで付き合う」
なんとなく馬が合う とか 生理的にダメ とか
格好つけてはいますが 結局は本能的な嗜好で人間関係を構築する
子供のお友達レベルだったらいいですが会社ではそうもいきませんよね
次のレベルが 個人の損得で付き合いを決める
自分の得になるからいやいやでも付き合う
というのが最たるものです
高校生くらいのアルバイト期といったらいいでしょうか
次のレベルが「社会的・文化的背景から他人を評価し、付き合いを決める」
いいことを言う人だから とか えらい人だから とか 学歴や資格をもっているから…とか
周りの評価や道徳観に沿っているから正解という判断で
お付き合いを決めます
成人レベルのお付き合いですが
しかしこれは突き詰めると「理想の友人」を他人に強いることにもなりますし
ハインツ~でもありましたが「正論」は時に薄っぺらいものです
さて 次が組織としてもう少し成熟したモラル
「個人の特性を受け入れ どうすれば皆が円滑に関係を築けるかを考える」
組織の中堅どこな思考ですね
だれでもいいことをしながらミスもするのがあたりまえなんですから
そこをどう引き出したりフォローするか考えるわけです
そしてさらに上のレベル 壮年期 とでもいいましょうか
「個人の特性をどうやって集団で気持ちよく引き出して生かすことで会社が気持ちよく機能するか考える」
もうこれ社長です(笑)
ほぼ日の糸井さんとかが考えていそうだ…
…なんてぇことを思いつきまして
そうやって会社の人間を観察してみると
いい年をしてモラルが子供っぽい人もいれば
バカ社長とか影で言っていても やっぱり社長は考えるとこは考えてるな
とか見直したりもするわけです
こうした 成熟度 で俯瞰的に組織を見直せた点でいい話を読んだなぁ と
万年パートですが内面だけはえらく(苦笑)なりたいものです
これ 会社組織の…だけでなく 農家における…とか
応用のしようはいくらでもありそうなので
それぞれの職種に合わせて考えてみるのも面白そうです