立読ブログ

立読師による一人語りのブログ 今後ともよろしう

読了記録~ネコジャラシが弾けたら~

2012-04-14 21:29:31 | 
やーーっと 読了

ネコジャラシのポップコーン―畑と道端の博物誌 [単行本]  盛口満 木魂社


高校生の頃「十年後の私」という作文を
一文字も文句が浮かばなくて困ったことがある
明日自分がやりたいことも正直想像できないのに
十年後は天文学的数字でまったくの 無 であった
多分 ナニナニ屋さんになる とか ナニナニになってる とか 世の為人のためなにかをする とかとか
そういうビジョンができていないと
ダラダラ惰性で妥協の人生を送っちゃうよ と
せっつく意味もある作文だったんだろう
しかし 学生が思いつくことなんて
せいぜい限られた職業に就くことくらいで
あの作文の時間は 思いつく限りの職業の
どれにもむいていない と 凹むのが関の山だったなぁ

今 どんな職業につきたいですか? 
という問いを投げかけられれば
それなりにささやかなる希望職を
具体的にあげてやり過ごすことくらいはできるけど
正直に言うとそんな問いよりもっと答えたい問いがある
 
どんな人になりたいですか?

これにはこう答えたい

いろんな目を持つ人になりたい

画家の目 学者の目 鉱物を見分ける目 生き物屋の目 地質を読み取る目 歴史を読み取る目 構造から機能を分析する目…etc
そういう目で世界の美しさを寿いでいられたら
けっこうごきげんに暮らせるんじゃないか?
そんないろんな目を持つ能力は
悪魔の実シリーズを食べなくても
好奇心 が元気に動くと開かれる

さて読了本である ネコジャラシのポップコーン
博物学は散歩の科学である とはよく言ったもので
道端の雑草を 食べる という活動を通して
植物と作物の境界線が見えてくる本
著者は自身の好奇心と生物の授業のひと工夫として
生徒に 
「ネコジャラシって食えると思う?」 
と問いかけることから 
教科書よりおもしろく記憶に残る授業を展開していく
まさに「つかみはオッケー!!」
好奇心が植物を ただの雑草から
うまいかもしれないオモシロ草に変えてしまう
こうした目で見慣れた景色を見れば
断然面白い世界の風景が変わる
(個人的にはこの目が開いた瞬間が好きだ)

さらに ゲッチョ先生の好奇心は深みにはまり

なぜこれが作物に変わったのだろう
どうやって変えていったのだろう

という問いへ発展して 様々な雑草と作物の間を調べていく
そこには人と植物の歴史が連綿と今に続く
環境 生活風俗 食習慣 といった経時変化が見えてくる
ほら これを読んでいるあなたにも
「子供の頃は普通にあったのに今は見かけなくなった食べ物」
「今の子供は普通に食べてるけど 自分には馴染めない食べ物」
ってやつが一つや二つあるでしょう
歴史は変わるっていうけど
人間と植物の関係もすごい変化し続けているんだねぇ
ゲッチョ先生はそこで感嘆するのだった


植物と人の関わりや植物と作物の境界線については
けっこういろんな人が注目しているテーマらしい
参考文献がかなりの数あがっている
このテーマを追いかけてみるのもいいひまつぶし
…もとい 趣味 になるんじゃないかな
または 目を開いて博物学しに散歩に出かけてみるとかさ

今月読み終わった本

2012-04-01 07:18:49 | 
3月に読み終わったのは以下三冊

稲田小鬼物語 (ヤングキングコミックス) 大石まさる 少年画報社

アオバ自転車店 19巻 (ヤングキングコミックス) 宮尾岳 少年画報社

のはなしに~カニの巻~ (宝島社文庫) 伊集院光 宝島社

今日の早川さん COCO 早川書房


のはなしに~ は会社で読了
いやぁ~コンスタントに面白い
なんつうか イチローのヒットみたいな本です
ホームランはないんだけど
一話一話 「あ また出塁してくれるのね」という
安定感がある
なによりまだ読んでいない人相手に
ネタとして使うと効果テキメンというおいしさオレのいやらしさ
というのはさておいて
個人的に今回グっときたのは
プロポーズの話 ココロの琴線をくすぐるオモロくすぐったい話


さて アオバ~ は
お友達からいただいた本
今どきの正しい自転車の乗り方啓蒙漫画 といえばいいか
無謀運転やノーブレーキ自転車はダメだよ ってことでも
たとえばTVなんかだと
「こういうのは法律で禁止されているのでいけません。」
という切り口でみんなで眉をひそめましょうキャンペーンになってしまうんだけど
こちらだと もう少し具体的に細かく
「なぜいけないか? 法律の何に違反するのか?そして 
ルールを破ってしまうロジックはなにか?」まで
くっきり描いてくれているので
人事に眉をひそめるというより自分の胸に手を当ててしまう
つまり 視点としてルールを破る側を加えることで
ただの人事ではなく あるある な話にぐっと近づく
ワタクシ 少々反省して愛車コーヒー豆号にパッシングライト装着しました


さて 稲田~ は
「アパートのおとなりに住んでいるのが小鬼」
という設定から始まる神話パロディ
ラストに向けて詰め込みすぎか少々読みにくいので なんとなく
昔のアニパロコミックスなんかにありそうな漫画だな 
というのが個人的感想
好きですか?と聞かれれば はい好きです
読みにくいがために読み込みがいがあるというか(苦笑)
あ もやしもん の文字数の多さやページ構成のやいこしさが
逆に好きっていうのに似ている喰いごたえの良さっすね


さて ラスト 今日の~ は
前々から気になっていたんだけれど
縁が無くて本屋さんで出会えてなかったんですが
古書店で発見 というわけで買って早々たこ焼き屋で一気読み(笑)

登場人物のネーミングに思わず「お?」と
心をつかまれる本好きあるある漫画…のはずですが
どちらかというとオタクあるある…かなぁ?
しかしどこかひとつは
「あれ?私もこういうとこある…てことは 私もオタク?」
って思う いや オタクかもしれないけれど
一方で それって誰にでもあることやこだわりとちゃうん?
というネタもある  とおもう
一巻ラストシーン岩波さんのツンデレが萌(笑)