立読ブログ

立読師による一人語りのブログ 今後ともよろしう

読了記録~カラフル~

2013-03-30 12:14:06 | 
カラフル(文春文庫) 森絵都 文藝春秋

みごとにジュブナイル小説でした
思春期の子供に読ませたい
思春期頃って 一度は
「もう死んじゃいたい。あ、でも幽霊か何かになって現世を見物したいな。これがホントの高みの見物。なんつって」
的なことを夢想すると思う
かいつまんで導入を話すとこうだ

現世のしがらみからラインアウトして
前世の記憶をスッコリ忘れた魂 僕 が
カミサマの気まぐれで現世にホームステイすることになる
スティ先の体と環境で人生経験を積み
前世で犯した罪を思い出さなければ
本来の輪廻の流れに戻ることができない
しかしそのスティする体と家族の実態は……

タイトルの「カラフル」の意味が
まさしくこの本の言わんとする肝なので
ここで書くわけにはいかない
ただ 難しい年頃 と言われる大人に変わりかけた
中学生あたりに読んでもらいたい
もちろんアニメで見てもらってもいいが
あれは…ちょっとキャラが面白すぎて
少し雰囲気が違う
小説を読んでピンと来なくても
いつか「カラフル」の意味を
実際の生活でふと 「あ、これって…あのことか」 と
小説のことと共に気がついてくれれば
なんだかメイクドラマな人生じゃないか

ちなみに私はアニメ版を未見なのだが
宣伝で見たインチキ関西弁を操る天使を
ちょっと見てみたくて仕方がない(笑)

読了記録

2013-03-24 16:29:18 | 
ドイツ北方紀行 (気球の本―AROUND THE WORLD LIBRARY) [単行本]  松永美穂 NTT出版

人間は何を食べてきたか―「食」のルーツ5万キロの旅 [単行本] NHK取材班 日本放送出版協会

よつばと! 12 (電撃コミックス)  あずまきよひこ アスキー・メディアワークス


家でコツコツ読んでいたのがこの三冊
まずはドイツ~
紀行文だけあってドイツ北方の歴史や文化を紹介しつつ
観光の名所を訪れる
伝統的な紀行文の手法で書かれた本
なにげに「クヌート大王」とか「ヴァイキング」とか「デンマーク王」
なんて単語にヴィン・サガファンとしては反応してしまう
著者のメッセージは一言
ドイツは南もいいけど北もね(ハート)
ではないかなーと思う


お次は 人間は~
これDVD版が見たかったんだけど
結局買えなくて
お金ができたらいつかかってやるリスト のひとつだったんだけど
まさか書籍版もあるとは知らなくてねー
見つけて即買い(苦笑)
文章は少々拙いものの(お前が言うな)
いい写真と取材となる村の素材がいいので
おーすげー と読めてしまう
タイトルがものものしいので内容が重たいかな
という予想を裏切って 意外とサクサク読める
まぁそこがしょせんテレビ取材の底の浅さかなー
同じ題材でノンフィクションライターに書かせたら
また違った味わいで面白いかもしれない


んでラスト よつばと!
漫画の中で流れる時間を情感たっぷりに描ききってます
ワタクシ不覚にもキャンプの朝のシーンに
涙腺切れました
あーわかるわー そこの空気の冷たさや清々しさや静けさ
いいわーわかるわかる
よつばの目で見る世界だから新鮮で綺麗なんじゃないんですよ
世界はいつでも美しい
どういう目で見るかによって 
毎日はまったく違って見えるんですね
あずまきよひこの切り取る世界は
世界のリアルな美しさに焦点があっているなー
なんとなく よつばと! の方向性がわかってきました

読了記録~女たち~

2013-03-10 14:12:55 | 
編集稼業の女たち 本の雑誌編集部 本の雑誌社

女たちよ!(1968) 伊丹十三 文藝春秋


編集家業~は
これは企画の勝利
カバーも働く女の必需品 可愛いスケジュール手帳のイラスト
これも萌えポイント

編集者ってどんな仕事なんだろう
どういう人がやってるんだろう
女性の編集家業って特別なんだろか?
そう思ってしまったら もうこの本読まずにいられません
本好きにとってちょっとアコガレの職業出版社
そこで女だてらにバリバリと仕事をこなす…と思われる
淑女の皆様による仕事告白リレー
仕事は好きだがどこかだらしなく 奔放で オフでも仕事が頭から離れない
そして仕事がひとつ終わるたびに感じる充足感
やめられないとまらない編集家業の女たちが
生々しく浮き上がってきます
この連載に登場する編集女史のみなさまで
いっぺん女子会を開いて赤裸々に語らって欲しい
それを見学したいと思ってしまう


女たちよ! は一部で「魔窟」と呼ばれる
都内某所の古書店ますく堂で購入した古書
もう手に入らない本かと思ってたんですが
Amazonで見たら新潮文庫になってるんですね
文藝春秋から文庫の版権買ったのかなぁ

この本はいわばディナーのテーブルトークですね
品があってウィットに富み
お行儀の悪さも少々加えてクスリと女を笑わせる
これぞデートにおける紳士の嗜み
こういった話題と話術が望ましいぞ殿方よ!
もちろんそういう話題に無知な茶々を入れない含羞を持ち
無関心さを表に出さず
静かにニコニコ聞いてあげるよう
オンナの側にもそうとう貫禄が必要ですが
しかし少々時代は感じるものの伊丹紳士のテーブルトークは
今読んでもめっぽういか面白い

伊丹十三の滑らかな口調や台詞回しを
一度だけ「大病人」の冒頭だかCFで聞いたことがあるんだけれど
実に流暢にして耳に心地よく残る名調子でした
あの感じを思い出すと
文章もまた脳内で伊丹節で朗読されているような 間 で
読めてしまう
絶妙な間で読みと伊丹節が重なったときの快楽
これがまたたまらないんだなあ
句読点をこれほど意識しながら読んだ本は初めてかもしれない
それくらい 人間の呼吸や間に気を使った文章です
未読の方は是非読まれたし
できれば読む前に「大病人」の冒頭を観ておくこともオススメします