立読ブログ

立読師による一人語りのブログ 今後ともよろしう

読了記録~QED~

2013-05-12 11:21:23 | 
QED 神器封殺(講談社文庫) 高田崇史 講談社

さて ワタクシ困ったことにこのシリーズを
端からは読んでいない
この一冊だけ 酔っ払った旦那から「課題図書」として
えらい前にもらったまま積ん読だったのだ
たまたま読む本が切れてなかったら
まだ読んでいなかったに違いない
不思議なもので読書傾向は人それぞれ
私の場合ミステリにはあまり食指が動かないようだ
子供の頃もドイル・乱歩・ルパンはスルーだったなぁ

それはさて置き
本書はファンも多いであろうQEDシリーズの第11作目である
ミステリの体裁はとっているが
実質は神話伝説の裏の真理を解き明かす方が肝
殺人事件は添え物といっていい
レギュラーキャラの設定や背景もわかりやすくとっつきやすい
魅力のひとつはなんといってもおとぎ話のような伝説が
裏の意味にひっくり返されて解釈される快感ではあるが
言い方を変えると これは別解の快感である

算数の文章題なんかで
クラスに一人かふたりはいたと思うのだが
みんなとは違うやり方で違う解答を導き出す
天才 はいなかっただろうか?
いや 誤答を出したのび太くんではない
別解 と言ってそれはそれで答えとして成り立つ正解
だけど教科書通りの正解とは違う
そういうものを導き出してしまう子がいたのだ
みんながカブトムシを獲っているのに
一人だけミヤマオオクワガタを捕まえているような
そういう子を驚きと賞賛と羨望の眼差しで見ていたことがある

QEDの祟はそういう別解の子である
言葉を弄んでこじつけていると言えばそれまでだが
着地するゴールが祟のプリンシプルにある以上
その こじつけ に至るまでの柔軟な思考の過程
これがちょっと面白い
神話伝説解釈の豊穣な別解の一端に触発されて
好奇心が満たされる快感がある
もちろんこれが新説や真説とは言えないだろう
神話伝説は数学ではないから厳密には別解ではない
しかし物の見方の新しい視座は
世界をまた面白く見せてくれる


余談だが
これを読み終えて旦那に「読んだよ」と話したところ
「できれば第一巻から読んで欲しかったなあ」と
自分が これだけでもいいから読んで! と渡した時のことを
すっこり忘れているのには苦笑した
たしか行きつけの漫喫に漫画版があったはずだから
そっちを読んで勘弁してもらおうかな と思っている