栂森鉄道管理事務所別室

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牧場さんの記事に思う

2015年01月02日 18時36分38秒 | 模型

あけましておめでとうございます。

年末のまとめをしますと言いながら、パラダイム論以外なんのまとめもせずに年が明けてしまいました。
しかも、年末31日まで仕事と家事で忙しく、やっと一息ついた大晦日、蕎麦をたぐりながら久保田さんを二合ほど飲んだだけで翌日はものすごい二日酔い、こんなに弱かったかな、と思いつつ元日を棒に振り、本日やっと人生に復帰いたしました。我ながら新年早々何やッてんだか(笑)

で、昨年からたいへん気になりつつ、しかもどう表現したものやら決心がつかぬまま過ぎてしまっていた、牧場さんのあの記事にコメントしたいと思います。

まず、結論からいえば、何とも心の痛む出来事でありました。

私も軽便モデラーの端くれですからそれなりの見方ができると思いますが、牧場さんの作られる模型は、それこそ敏腕モデラーのみが達することができる最高峰に位置するといっても過言ではないでしょう。

私は幸いにも、牧場さんご本人とも何度かお会いしてお話をさせていただいている仲です。私のような者が「このような方です」とご紹介するのも失礼に当たるかとは思いましたが、場合が場合なので、一寸紹介させていただきます。牧場さんは、とても明るい性格の方で、話題も豊かであり、いらっしゃると座がぱっと明るく広がるような、そんな方です。しかもとてもしっかりした考えをお持ちの方で、物事に関しては「どんとこいよ」的な方です。ですので、お作りになる模型も、細かいところまで気を配って精密ですが、「神経質な」模型ではなく「しっかりして、きちんとした」模型なのです。(このへんのニュアンス、おわかりいただけるとありがたいです。)

で、今回の事件ですが、それがあのような形になってしまった、それがまず重大な事実なわけで、そこから出発すべきだと思うのです。その点からたどっていくと、牧場さんも述べられているように、企業としての対処はあれでよかったのか?、と私も感じます。借り出したのは○○○○さんであるのだから、それがこのような形になってしまったことに対して、お金のこと云々以前に、もっと何かあるべきではないのでしょうか。そこら辺が悲しいし、心が痛む事件である所以です。

話がそれてしまって申し訳ありませんが、「世界で最も高価なものは何か?」というクイズがあります。多くの答えが用意されている中で、多くの人が納得する答えが「値段の付かないもの」です。我々が手作りするものに値段が付けられるのでしょうか? 商業的に作られるものは原価+加工費+人件費+目指す利益=価格としてできるでしょうが、我々の模型はそうではないはずです。どんな拙いものであっても、自分で一生懸命作った、自分だけのものは、それこそ金銭に換えられないものだろうし、ましてや牧場さんの模型です。

そのへんが、この時代にあってはだんだんと間違ってきてしまっているのではないかと、私は思います。昔のTMSを読み返してみると、材料もありあわせ、素晴らしい部品もないし、技術的にも現在の水準から見れば確かに拙いところも多々ある模型が載っています。でも、それらはとてもあたたかく、幸せそうではありませんか。それを金銭に換算することは無理ですし、意味のないことでしょう。そんな、手作りされたものに対する認識が、この現代、ずれてきているのではないかと心が重くなります。

私も某所で仕事をしていますが、私が端くれに所属する業界では、トラブルや失敗に対する方法は「誠意をもってお話しする」しかありません。そして金銭に至ることは末期的症状を意味します。そういう背景もあって・・・とにかく、心が重くなる、心の痛い出来事でした。

手で作られたものに、きちんと敬意を払う。
また、借りたものはきちんと返す、当たり前のことですが・・・。

 

と、いうわけで、考えたことを書いてみました。といいつつ、この件とは全く別に○○○○さんとは今年、とある約束がありますので、そちらの方はきちんと果たしたいと思います。その内容についてはまだお話しできませんが。
で、以上の記事は、牧場さんの記事にコメントとして付けさせていただくことも考えたのですが、自分の責任として書いた文章にしたかったので、自分のブログに掲載することにしました。また、いつもの私の記事内容からすれば、書きすぎの感があるようにも思うのですが、読み返して確認しつつ、このまま載せさせていただきます。
牧場さん、勝手なことばかり書きまして申し訳ありません。お許しいただければ幸いです。

 

さて、話変わって今年の・・・

年末に、エガーじゃなかったミニトレインズの5号機セットを入手した背景には、この記事の存在がありました。

TMS286号、またナローゲージモデリングにも掲載された、三原豊さんの「山麓の軽便鉄道」です。
私にとって、エガーの(また出た)5号機といえばコレなんですよ。

私が最初にTMSを手にしたのはたぶん292号からだったと思われますが、その小学生の頃すでに、「情報から入る」という悪癖のあった私は、少ない小遣いを模型を買うのではなく、TMSのバックナンバーを買いそろえることに費やしたのでした(笑)
アホだなあ、と思いつつも、その頃、心ならずも3ヶ月もの静養を余儀なくされた身でもありましたので、楽しみといえば書物だけだったのです。今だったらゲーム三昧だろうなあ。今じゃなくて良かったです。TMS読んでよくわからないコトバが出てきたら、人に聞いたり辞書引いたり、類推して理解していたり(後々その類推が概ね当たっていたことがわかって、子どもにしてもこのような「大人の文章」を読むことは必要だと確信しました)、いやー、勉強になりましたよ。今の職業に就けたのも実はTMSのおかげ?

って、また暴走しました。二日酔いは完治してない?
とにかく、バックナンバーの中でズーンと心に響いた山麓軽便鉄道、当時シーナリーまで完成していたのは駅周辺だけでしたが、心に響く「模型の軽便」の世界、大人になったらこんなのが作れるんだなあ(また出た。どうも私の人生には、ダックスを初めとしてこの手の話が多くて)・・・子どもの頃に影響を受けた祖師谷軽便にしても、玉軌道にしても、そしてこの山麓軽便にしても、私は「実物の再現として」ではなく、「模型としての軽便」として受け止めていたんだろうな、と思います。そして、今、いろいろと試行錯誤している中にも、やはり「模型としての軽便」を志向しているのだろうなあ、と。

で、いつも心の片隅にあったエガーの(じゃなくてミニトレインズの)5号機を入手しました。例によってこいつの運動場を考えつつ(ムフフのフ)、これからも、「模型としての軽便」を強く志向しつつ、自分の作りたいものを作っていきたいと思います。そんなこんなのエガー(じゃないってば)と、「山麓の軽便鉄道」のお話でした。年始から変ですみません。これに気を悪くせず、引き続いておつきあいをよろしくお願い致します。

 

栂森拝