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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

立民の「対等で建設的な日米関係」とは?

2021年09月25日 | 野党

 立民の選挙公約第5弾「外交・安全保障政策4項目」が発表された。

 1 現実的な日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策
 2 地球規模の課題への積極的な取り組み、
 3 対等で建設的な日米関係
 4 経済安全保障・食の安全保障の確立 としている(立民HPから)。
 素人が読んで理解できないのは、「日米同盟」と「日米関係」の二つの概念である。常識的には「日米関係」と云う大きな概念の一部に「日米同盟」が存在すると観るべきであると考える。現在日米同盟と呼べるのは日米安保条約だけであろうが、それを基軸とした外交政策とは一体何で・どの国との外交に当てはめれば良いのだろうか。もし通商を含む対米諸協約の全てを「同盟」としているのであれば、「日米関係」とは具体的に何を指して・何を対等としたいのだろうか、日米安保を対等(双務性)にしたいのであれば、日本はアメリカの戦争に対しても参戦義務を負うことになる。自分には「判じ物」で理解できないところであるが、それはさておいて、記者会見で詳述された普天間基地の顛末を考えてみたい。
 会見では、普天間基地の建設は国内問題であるために中止し、普天間周辺住民の危険除去についてはアメリカと交渉するとし、危険除去の手段・方法は、アメリカの海兵隊戦略が絡んでいるとともに、交渉に「○○ありき」の先入観を持つのは不毛であるとして明言を避けているが、「最低でも県外移転」とした鳩山政権誕生時と同工異曲に過ぎないと思える。
 確かにアメリカは海兵隊の存在・戦術の変更を模索しており、従来の「3軍に先駆けて海兵隊が強襲着上陸して橋頭堡を維持する」思想から、他の3軍と協調するための「遠征先進基地」のみ海兵隊が確保する作戦を試用しているのも確かであるが、近い将来に海兵隊策源基地としての普天間を放棄することは考えられない。
 更に、枝野氏は在日米軍基地存在の根拠である日米地位協定の改定まで踏み込んでおり、安保条約自体を危殆に曝す危険性が読み取れるものである。
 米軍の本格的な支援・反攻までの1週間、最大でも10日間持ちこたえることを目標に自衛力が整備されている現状を考えれば、米軍支援の時期を遅らせた最高指揮官(枝野総理)の下で戦うことを強いられる自衛官の無念と損耗は計り知れないように思う。
 また、立民は既に海上保安庁の警備行動を自衛隊が補完する趣旨の法案を提出している。前にも書いたことであるが、海上保安庁の執行する国内司法権と自衛艦(軍艦)の持つ国際法上の権利は全くの別物であり、もし不法船舶を砲撃した場合、巡視船と自衛艦では外国の対応は全く違ってくる。そのために海警部を人民解放軍の部局とした中国は別にして、各国は戦時には沿岸警備隊等(海保)を海軍が統括する制度を採っているものの、平時に沿岸警備隊の職能を海軍が代行することはない。枝野弁護士の得意分野は知らないが、国際法に通暁した国際弁護士では無いようである。

 韓国真っ青の自公政権の積弊清算による集票に懸命な枝野氏であるが、流石に安全保障については「米軍のアジア・太平洋地域におけるプレゼンスの重要性についての認識は従来の日本政府の認識と同じ」であるとしているが、一方で「基本姿勢が揺らがないということと、粘り強い時間をかけた交渉をする、という姿勢であれば、日米同盟に影響を与えることはない」ともしている。
 辺野古移設決定まで20年を要し、漸く見出した方策を中止して更に長い(粘り強い)交渉と検討を重ねることは如何なものであろうか。その間結果としてアメリカは「日本疲れ」を起こし、(何年も)普天間住民は政治の犠牲となって危険なままに放置されることになる。それとも、お得意の「お金配り」で我慢してもらうのだろうか?


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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (行雲流水の如くに)
2021-09-25 19:47:48
こんばんは。
軍事面ではほぼ素人ですので2点ほどご教示お願いしたいと思います。
①今の現有の自衛隊の能力で、どこかの国が攻めてきた場合(通常兵力で)、わずか10日ほどしか自衛能力がないのですか?
②横田基地はなぜ未だに存在するのでしょう。日本の空を日本が自由に使えない。おかしいと思うのですが。
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有難うございます (管理人)
2021-09-25 22:04:57
行雲流水 様
コメントを有難うございます。
軍事強国(ソ連・中国)の本格侵攻では、自衛隊単独の継戦能力についてアメリカの軍事専門家は、基地・司令部の抗堪性が低いことなどから1週間程度と見積もっていますし、かって国会でも防衛力整備の上限目安としての政府答弁にも使用されたと記憶しています。
横田については、朝鮮戦争の国連軍司令部や在日米軍司令部がおかれ、日本有事には米軍の後方主基地とされていることから、返還は無いと思われますし、返還を求めるべきでないと思います。石原都知事が横田空域の一部開放で納得したことも、その間の事情を理解していたためと思っています。
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Unknown (行雲流水の如くに)
2021-09-26 08:52:29
こんにちは。
ご回答ありがとうございます。
それなりに理解しましたが、やや疑問が残ります。
日本の自衛力はほんとうにその程度のものなのか?日本の自衛のためと称して米軍の基地があります。その辺の活用はどうなっているのでしょうか?

朝鮮戦争の後方基地という表向きの理由は分かりますが、本音では「瓶の蓋」とアメリカが考えているのでは?

日本の真の独立はなかなか進みませんね。
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追伸 (管理人)
2021-09-26 11:37:47
行雲流水 様
あくまで、自衛隊と強国軍の戦力対比からの試算で、在日米軍は直ちに支援・介入するでしょうし、グアム兵力・在韓米軍も存在することから、日米安保が機能さえすれば自衛隊が短期間で戦闘力を失うことは無いと考えます。
横田の存在については、トランプ大統領が来日時に横田を利用したことが、連合国(西側諸国)とアメリカの真意を示しているのではないでしょうか。
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今のままでは、何を言っても空論です (onecat01)
2021-09-27 23:29:36
 管理人殿

 1. 現実的な日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策
 
 3. 対等で建設的な日米関係

 1と3だけでも、立民に米国との交渉が無理なことは、鳩山政権時の迷走ぶりで証明されています。

 マルクス主義を捨てない限り、日本ではまず政権は取れません。中国や韓国・北朝鮮を第一とし、反日思想を基本にしている党が、どんな姿勢で米軍と交渉するのでしょう。

 対等の立場というのなら、まずは憲法を改正し、日本の国防を自国の軍隊でするというのでなければ、米軍基地は無くせません。その大前提の「憲法改正」を否定する党が、米軍とどんな交渉をするのでしょう。

 彼らは政権党になる前に、立ち位置の思想から変えなくては、何を言っても空論でしょう。
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同感です (管理人)
2021-09-28 08:51:38
onecat01様
論理として破綻しているとしても、空論の方が大方の耳には心地よく響くように思えますが、声を上げ続けてまいりましょう。
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