もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

hondaのイギリス撤退に学ぶ

2019年02月20日 | 歴史

 ホンダが、イギリスの生産工場を閉鎖することが報じられた。

 イギリスのEU離脱期限が指呼の間に迫った今も離脱合意案に議会の承認が得られないことから、合意無き離脱が現実味を帯びており、それに伴もなって関税・金融・運輸・国境管理の混乱は必至と予想されている。ホンダの撤退はEU離脱問題とは無関係としているが、長期的に見て関税や物流の制約が不利益となるとの見通しに立っていることは否定できないと思う。EU内の1地域として構築されていた産業構造、特に製造業や金融については、その基盤が根底から揺らぐもので逃げ出さざるを得ないものと推測する。現在イギリスから逃げ出した外国企業は?と思い、調べてみるが良く分からなかったが、EUの活動拠点である本社機能をイギリスから他の国に移転した外国企業は数百社に上るのではと考える。さらには、イギリス企業でも30%がすでに国外への移転計画を立てているか移転を前向きに検討しているとされており、既にイギリスを代表するダイソン、ロイズ、ボーダフォンはイギリスを抜け出している。イギリスに進出している日本企業は1000社を超えるとされているが、大手企業のソニー・パナソニックはアムステルダムに本社移転、日立は原発から撤退、トヨタ・日産・スズキは事業縮小と、個別に見ればEU離脱以外の要因もあるのだろうが、イギリス離れの動きを見せている。かって世界中に植民地や衛星国を置き「陽の沈まない帝国」として栄華を誇ったイギリス連邦が衰退したとき、困難なフォークランド紛争を勝ち抜いたように「ジョンブル魂」を発揮して国愛的な発言力を回復したイギリスであるが、再び栄光の座から滑り落ちようとしている。この状態が続くならば、税収の減少による福祉の後退、失業率の増加や個人所得の減少などに波及して、国民生活にも影響が出てくると思われる。この原因が国民投票というポピュリズムに国の将来を委ねた結果であることを考えれば、移民の抑制という一時的な民族的熱情の勝利がボディブローのように国威を損なうことを示しているように思われる。豊富な地下資源を有するために、宗主国の搾取を逃れて21世紀には世界を席巻するであろうとされたものの未だに民族対立と利権争奪に明け暮れるアフリカ諸国の民族独立運動、同じ道を同じ構図でイギリスが辿っているように思えてならない。

 いま、沖縄は熱情に浮かされたように県民投票に打ち込んでいる。韓国は官民を挙げて反日・親北に狂奔している。感情のはけ口を誘導され、民意のはけ口に方向性を与えられたポピュリズムの危険性をイギリスの今に見るのは、間違いだろうか。


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