もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

米韓合同演習中止は蟻の一穴

2018年06月14日 | 韓国

 トランプ大統領の唐突ともとれる「米韓合同演習の中止」発言が、大きな波紋を呼んでいる。

 今回の発言が単なるリップサービスではなく、米中首脳会談に対する見返り・譲歩であることは間違いのないところであるが、大統領は合同演習中止によって失うものは少なく、経費を抑制できることの方が大きいと強弁している。しかしながら1歩の譲歩は100歩の譲歩のスタートであることを歴史は教えており、鄧小平の口車を真に受けて尖閣諸島の実効支配の積み重ねを怠ったために現在の事態を招いたこと、事実検証を等閑にしてその場しのぎともとれる”1官僚の遺憾表明”が徐々にエスカレートして、あたかも歴史的事実として独り歩きしている慰安婦強制問題、等々に如実に示されている。今回の演習中止発言を考えても、次の米朝実務者協議では合同演習が行われないことをベース・共通認識として次のステップに移行せざるを得なくなるため、堤防に空いた蟻の一穴を徐々に拡大させるという北朝鮮の策略に嵌ったものと思う。国家間の協定すら弊履の如くに棄てることができる独裁国の中国や北朝鮮、対日横暴は許容される韓国とは異なり、国際信義遵守を至上とする先進民主国家では元首の一言は国際公約として表明されたもので、違反することは許されない重みをもっている。

 今回のトランプ大統領の発言は、日韓(韓国の文大統領には温度差が窺えるが)はもとより、お膝元のアメリカでも政・軍から危惧の声が報じられている。北朝鮮の次のターゲットは、中国に支払うべきシンガポール行き旅費弁済のために、韓国からTHAADを撤去することであろうと思っている。”馬鹿な指揮官敵より怖い”とはよく使われる言葉であるが、大国の大統領を馬鹿とは呼べないものの、蟻の一穴がアメリカの極東・対中戦略崩壊にまで至る危険性を有していることを理解して欲しいと祈るのみである。


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