もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ISの妻の国籍剥奪

2019年02月22日 | 歴史

 自由意志で出国してIS戦闘員の妻となったが母国への帰国を希望する米英人女性に対して、米国は帰国拒否、英国は国籍を剥奪することが報じられた。

 帰国を希望する女性は出国時の理想とは裏腹な現実に耐えかねて帰国を希望しているとされているが、両国政府はIS参加の経緯からテロ思想の伝播・拡散並びにテロ支援・実行を懸念しての処置であるとしている。英国が執った国籍の剥奪や米国の帰国拒否の措置が日本でも可能かと思って関係法令を斜め読みしたが、国籍法では自己選択による国籍の離脱は規定されているものの、公権力による国籍の剥奪は規定されていなかった。また、出入国管理法についても日本国籍を持つ人間に対して帰国を拒否できる手続きは規定されていないと見た。2000年に逮捕された重信房子受刑者(元赤軍派中央委員、日本赤軍の元最高幹部で、ハーグ事件の共謀共同正犯として服役中)を例に考えると、同受刑者は指名手配犯であり、偽造旅券で帰国(帰国以前にも10数度出入国記録有り)したものであるが、もし、指名手配にまでは至らない程度であった場合には日本国籍を証明できる書類を提示して帰国申請すれば、日本は帰国を拒むことはできなかったであろうと推測する。かねてからISには、日本人が傭兵として参加しているとともに、日本人とは特定されないが複数の東洋人妻が存在していることが報じられており、彼等が帰国を希望した場合には大手を振って帰ることができるのではないだろうか。重信受刑者が秘密裏に帰国した後、日本国内に潜伏中は多くのシンパから支援を受けるとともに、社民党との連携を模索する活動も行っていることから明らかなように、強固な信念や信仰を持つテロリストはそれに基づく行動に躊躇することは無いと思う。そのため、欧米諸国は自国出身のIS戦闘員のうち、身元や違法行為が特定できた者に対しては犯罪者として国際手配し、拘束してローンウルフ型テロの抑止を目指しているが、直接犯罪行為には手を染めないもののISの支持者である女性の扱いについては、各国とも頭の痛いことであると思う。アメリカ人女性については、既に代理人弁護士が法廷闘争を表明しており、人道支援の輪が広がることも予想されている。

 以上のことから、日本も、日本国籍を持つものの事実上国を捨てた日本人に対しては国籍の剥奪や帰国を拒否できる制度・法体系を準備しておくべきではないだろうか。“若気の過ち”や“人道的な酌量”に寛容で、将来の更生を大きく期待する日本文化であるが、価値観の多様化に対応できる国に変貌せざるを得ない時代に来ていると思う。


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