もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ロックダウンを考える

2021年08月13日 | コロナ

 東京都の6区長らが、感染爆発地域へのワクチン優先配布を訴えた。

 提言者は、新宿・世田谷・中野・杉並区長と小金井・多摩市長で、提言の要旨は、首都圏・近畿圏等の「感染爆発エリア」にワクチンを集中させるとともに、「与野党が政治休戦して危機回避にあたるべき」として提言を自民党と立憲民主党の本部に送ったとされている。
 また、一方では六法全書を無視した「強力なロックダウン」の断行を論ずる声も一部にはあるようである。
 これまで人類社会は感染症の拡大防止のために、感染者を一部地域に隔離して外部との接触を断つことを行ってきた。映画「ベン・ハー」に描かれた“ライの谷”であり、日本が行った”ハンセン病者の隔離”である。ヨーロッパでも地域のペスト罹患者全員を納屋に閉じ込めて焼き殺した等の事例が遺されている。
 乱暴な言い方であるが、今回の6区長等の提言とライの谷ともに感染地域の囲い込みという発想では共通しており、提言が隔離地域に治療やワクチンを集中するのに対して、ライの谷は隔離地域は放置して他の地域を救済するという違いだけであるように思える。
 中国が採った武漢市の封鎖は、封鎖前に行路病者まで報道されたこと、習近平氏が視察すらしなかったことから考えれば、”ライの谷”発想に近いものであったように推測できる。ワクチンも開発されていないこと、人工呼吸器などの医療態勢不足、感染経路不明な状況では、武漢市をライの谷として囲い込み、他地域への感染防止を優先せざるを得ない状況にあったのであろう。

 万能ではないもののワクチンは開発され、感染方法・潜伏期間も特定された今、日本はどちらの途を選べばよいのだろうか。
 鳥インフルエンザでは感染・発症の別なく養鶏業書・鶏舎単位で人間が鶏を殺処分し、全能神に背いて倫理的に堕落したソドムとゴモラは神が全ての住民を劫火で焼いた。
 自分は宗教者でも無く信心の欠片も持たないが、これまでヒトは人間以外(一部は人間にも)に、全能神は全てに対して無慈悲に振舞ってきたことを思えば、今回の提言は、単なる都市生活者のエゴと解釈される以上に、コロナ禍を含む異状事態にあっては「ヒトがヒトを選別する」という究極の必要性を問いかけているようにも思える。
 「感染爆発エリア」住民の自分であるが、万が一にも我が町がソドムに指定されても、それはそれで安逸・利便を求めて都市に住み続けた”肉食った報い”と受け入れざるを得ないと覚悟させられた提言である。