60代のころ、一度アデランスしたことがある。
前頭部が禿げてみっともなく感じたので、 大坂・梅田のアデランスの店に何度
も通って、大枚を払って後頭部に残っている地毛に合わせてシルバグレーのふさ
ふさの髪をあつらえてもらった。
そのころゴルフに熱中していて、アデランスした頭で参加したが、同僚や友人は
誰も気づかなったのでほっとしたものだ。
ただプレー後の風呂で、シャワーを浴び思いっきり髪をしごいたときアデランスが
外れそうになってヒヤッとした経験がある。
もしカツラがポロリと外れたら…と思うと、とんだ笑い話だねえ、と苦笑した。
ある日幼い孫に「おじいちゃんカツラしてる」と、大きな声でバクロされた。
いささか恥ずかしかったが「子供は正直で容赦しないなあ」と、妙に感心したものだ。
先日、葉室麟さんのエッセー「古都再見」(新潮文庫)を読んでいたら、葉室さんは
50代前半に白髪が目立ってきたので「良く見られたいうミエがあって」髪を染めたこ
とがあったらしい。
でも友人に「髪を染めるということは嘘をつくということだ。ありのままの方がよい」
といわれ「さすがいいことを言う」と感心、それっきり髪を染めるのやめたという。
私もミエを張っていたんだねえ。
葉室さんの友人のように「嘘をつく」とはっきり意識していたわけじゃないけど、何
となくニセモノを頭にのっけている後ろめたい気(あくまで個人の感想です)もして
いたこともあって、孫に「バクロ」されたのを機会に、アデランスをすっぱり止めた。
もう20年も前のことである。
今では禿げていても「文句アッか!」と胸を張って生きている。(別に威張ることでは
ないだろうけど)
ところで常々不思議に思うんだけど、女性のカツラ(ウイッグ)は自然に受け入れられ
テレビCMなどでもファッションとして紹介されているのに、男性のカツラはなんとなく
恥ずかしく後ろめたように思われているのはなぜだろう。(これも個人の感想かもしれ
ないけど)
🌸 7月の花 🌻
<ポーチュラカ>
<サルスベリ>