先日、学生時代に楽器をやっていたという方に
「どんな曲がお好きですか?」と何気なく聞きました。
私としては、その時の演奏家と自分とで、何かリクエストにお応えしたいな、と
思って曲名をお聞きしたつもりだったのですが、
「アート・ファーマーとかその辺よくやっていましたね」というお返事。
なるほど、つまりジャズを好む人というのは、曲そのものは題材というか
ネタであって、それをどのように料理し、どんなやり方で演奏して聴かせるか、
というほうにより興味があり、熱心である、ということなんだ、と納得。
もちろん、歌だって「どんな声で歌うか」「どんな間の取り方をするか」
「どんなコブシをきかせるか」「どうやってスウィング感を出すか」というような
要素でずいぶん違ってしまい、それが好き嫌いにもなり、面白さでもあるのです。
が、歌の場合は特に、詩の言葉をいかに伝えるか、で聴く人を説得する、
という要素があるので、何の曲(詩)を歌うか、というのは大きな意味が
あります。 自分の得意なコブシが回せるから、という理由で同じ曲ばかりを
歌うことには興味がわきません。
カッコイイな、と思うフレーズは真似して使ってみたいけど、すっかり真似して
その人以上にカッコよくなれるものでもなし(カラオケで楽しむ分にはいいんですよ)
願わくは、オシャレな要素をさりげなくちりばめて、季節やその場に合った詩を
自分らしく表現し、聴く人をいい気分にさせたい・・・・これが歌手としての
究極の(って日常的なものなんですけど)目標だと私は思っているのです