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銀座ジャズバーエムズのブログ

 生演奏のある小さなバー・・・「大人のくつろぎ空間」をお探しの方にご案内申し上げます。

日本語の妙

2014-06-13 14:31:30 | つれづれ

演奏の2曲目に"We'll Be Together Again"を袴塚さんが選んだので
曲が終わるとジャンボ氏「会ったばかりでつれないね」
・・・「今は別れなきゃならないけど、またすぐ会えるからね。涙をふいておくれ」
なんて歌詞の内容を踏まえてのジョークです
お返しに"My Foolish Heart"の後、
袴「愚かなりし、わが心・・・ジャンボさんの場合は”私バカよね"と言います

ちなみに「愚かなりし」ではなく「愚かなり」です。
「し」という一文字がついただけで過去(完了)形。
「愚かなりし」だと「(あの時は)本当にバカだったなあ」
「愚かなり」だと「(今現在も)本当にバカなんだよね」

邦題は語呂やニュアンスを大事にして、文語が使われたものに名訳が多いのですが
先日"No Moon At All"を歌って
「月さえもなく、真っ暗で静かな夜の中でまったりイチャイチャしようよ、という歌詞で」
と説明したら、酒井一郎氏
「月とてもなく、じゃなかったっけ?」
私「おおそうです、その通りそっちの方が数倍シャレてますね
「・・・さえも」と「・・・とても」の違いについて、うまく説明できないのですが、
少なくともこの「・・・とても」は「とても・・・(=very much)」とは違い、イントネーションも
逆になります。

さらに"Wrap Your Troubles In Dreams"の演奏後、土井さんが
「これには邦題あったっけ?」
酒井「悲しみは夢に包んで、でしたかね」
土井「スゲ~~良く覚えてるね(感心)」

別に歌詞の内容をすべて理解しなければならないというものではないけれど、
佳き時代のスタンダードの数々を自在に演奏している人たちの感性は
題なんて曲認識の番号くらいにしか考えていない演奏者とは
実際一味もふた味も違うのです

今宵はそういう日本的感性の世界を地で行く、八丁堀育ちの我らが親分
(十手持ちにあらず);五十嵐明要(As)トリオのご出演です
美しいアメリカの音楽を江戸ノリで(説明不能)
存分に楽しんでいただけますよう・・・