ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「白虎隊」

2007年12月16日 | TV番組関連
賊軍の汚名に怯え乍らも、老若男女数千の犠牲者を出して迄、会津の人々は何故戦わなければならなかったのか。その痛恨の記録の象徴を白虎隊という。」

20年程前より、紅白歌合戦の視聴率低落が指摘される様になった。その要因は色々在ろうが、日本テレビが1985年から始めた或る試みが大きく影響したと言われている。この年から同局は、12月30日&31日の両日に「年末時代劇スペシャル」を放送する様になり、これがかなり好評を得て、紅白の視聴率を大幅に下げる結果となったのだ。このスペシャルは第一弾の「忠臣蔵」から第九弾の「鶴姫伝奇」迄製作&放送されたが、自分は全てを見ている。歴史が好きというのも在るが、何と言っても豪華なキャスティングが魅力だった。全9作の内で最も好きなのが第二弾の「白虎隊」で、これ迄に何度見た事だろうか。そして昨日、チャンネルNECOで「白虎隊」が約5時間に渡って再放送されたので、又しても見入ってしまった。

白虎隊に少なからずの人が惹かれるのは、判官贔屓という部分が大きいだろう。それに加えて自分は、以前「ならぬ事はならぬものです」でも触れた様に敗者の美学&滅びの美学に心を奪われてしまうというのも在る。白虎隊の少年達が自刃した飯盛山には過去3度足を運んだが、無念の内に命を絶った彼等の事を思うと何とも言えない気持ちになる。

冒頭に記したのは、「白虎隊」の冒頭に流れるナレーション。に従ったが為に賊軍の汚名を着せられ、殉じていった者達の哀しみが心を覆う。何度も見たドラマだが、同じ場面で同じ様に滂沱してしまう。扱っているテーマも在るが、出演している役者達の演技力の高さも心を揺さぶる大きな要因だろう。

21年前の作品故、物故者もかなり居る。首相役を演じさせたらこの人の右に出る者が居ない、”黒木警視”こと丹波哲郎氏。ドラマ「ありがとう」を始めとして、”日本の御母さん”というイメージの女優だった山岡久乃さん。貴重な脇役の一人だった松山英太郎氏。映画「砂の器」での本浦千代吉役、映画「八つ墓村」での井川丑松役等が印象的な加藤嘉氏。”しょこたん”こと中川翔子さんの父で在り、ヴィジュアル系アーティストの的存在だった中川勝彦氏(32歳で亡くなった彼が、同じく夭逝した沖田総司役を演じているのは何とも皮肉だ。)。そして大好だった脇役の一人・高品格氏。又、露口茂氏の様に御存命では在るが、最近マスメディアに殆ど登場されなくなった懐かしい顔触れも。

時代劇に於ける里見浩太朗氏の存在感は別格と言えるが、森繁久彌氏も同様だ。某ネット配信では森繁氏の悪口ばかりを書いている自分だが、あくまでも”御笑いを捨てた人物”*1としての彼が大嫌いなので在って、役者としての彼は好き。この作品では老藩士井上丘隅役を演じているが、「これぞ役者!」という素晴らしい演技を見せてくれている。

似通った番組が並んでいる、ここ数年の大晦日。又、年末時代劇スペシャルを放送してくれないものか。因にチャンネルNECOでは、第五弾の『五稜郭』が30日(日)に、そして『白虎隊』が31日(月)に再放送される。同局を視聴出来、且つこれ等の作品を未見の方は是非見られては如何だろうか。

*1 彼が主演した「社長シリーズ」や「駅前シリーズ」は何度見ても笑える。

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16 コメント

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CSに入っていてよかった (higu)
2007-12-16 13:45:58
私は残念ながら、このシリーズは放送当時見られませんでした。ですから、チャンネルNECOを視聴できるので『田原坂』と『五稜郭』録画して見ます。
今月に同テレビのホームページで「今月の放送予定番組」を見た時には、思わず「おおっ」と感嘆の声を漏らしてしまいました(笑)。このテレビでは鷲尾いさこ主演の『検事霞夕子』シリーズや、眞野あずさ主演の『弁護士高林鮎子』シリーズをはじめ私好みや、質の高いドラマを放送しているのでよく見ています。今から非常に楽しみです。

私的に、最近の時代劇にはあまり心を惹かれるものが少ないので、このシリーズや里見幸太朗が主演した『樅ノ木は残った』は是非再放送して欲しいですね。
ちなみに、題材としては『鶴姫伝奇』が最も好きです。

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やっぱり「風と共に去りぬ」とダブりますね。 (パピプペ・ヨンジュン)
2007-12-16 14:03:46
会津地方は「白虎隊」などの戊辰戦争の悲話を忘れられず、薩長に今もって抵抗感があるのだとか。私としてはやはり「風と共に去りぬ」の舞台となった南北戦争で負けたアメリカ南部とダブりますね。奥羽列藩同盟の会津若松はアメリカ南部連合のアトランタのようなところだったのか?
先日13日は日中戦争における南京陥落70周年ですが、中国のネットでは「日本鬼子」だの「小日本」だの
「東京大虐殺で報復だ」だの散々な書き込みでした。
(現在、「北京バイオリン」や同じ陳凱歌監督の「プロミス」にのめりこみ、中国ネットを検索していたら、目に入ったのです。)
また「はだしのゲン」のwikipediaにおける解説でも作者の意図とは逆に「原爆を落としたヤンキーに報復しろ」という意見もあったという文章が書かれていたことも思い出し、戦災の恨みは簡単に水に流せないものだと悟ったものでした。
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主題歌 (おりがみ)
2007-12-16 14:52:24
ベーヤンの愛しき日々・・だったか?
歌のお化け番組に対抗するドラマからヒット曲が生まれるというのも皮肉なような・・。

土佐に縁ある人間ですので、会津の人と話す時ちょっと緊張する・・というのは本当です。
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未見のドラマですが (青空百景)
2007-12-16 15:00:21
佐幕派びいきの幕末好きなのでしゃしゃり出てきました(笑)。
うーん、敗者の美学とか滅びの美学とかいうのは抵抗がありますねえ……。
昔のサムライというものは、「死を辞さない覚悟」で戦っていたと思いますが、滅びの美学というのとはちょっと違うのではないでしょうか。
会津藩には美しく滅びようなどという弱気はさらさらなかったと思います。彼等の意識の中では、自分達こそが真の尊王であり、薩長は「官賊」だったのですから。
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>higu様 (giants-55)
2007-12-16 19:51:09
書き込み有難う御座いました。

CATVに加入しているものの基本メニューには全く見ない番組(囲碁チャンネル等。)が結構組み込まれているのですが、チャンネルNECOは数少ない贔屓局です。ギャラの安い”芸NO人”ばかりを集めて、三番煎じの様な安直なヴァラエティー番組ばかりが地上波で垂れ流されている昨今では、見るに堪える嘗ての番組を視聴出来る局は本当に貴重です。

チャンネルNECOではこの時期になると「年末時代劇スペシャル」を再放送しますよね。「田原坂」や「勝海舟」も同局で再放送を見ましたし、先日は「五稜郭」を見て滂沱。やはり里見浩太朗氏は時代劇が似合います。

「年末時代劇スペシャル」の私的ベスト3は「1位:白虎隊、2位:田原坂、3位:忠臣蔵」となっており、残念乍ら「鶴姫伝奇」の評価は高くは無いのですが、唯この当時に村上水軍をメインに据えたドラマというのは珍しかったと思われ、その意味では意欲作だったと言えましょう。
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>パピプペ・ヨンジュン様 (giants-55)
2007-12-16 20:05:00
書き込み有難う御座いました。

勝者の陰に敗者在り。当たり前の事ですが、どうしても勝者に光が当たる余りに敗者の存在は忘れがちなもの。勝ち組では無い負け組みの自分としては(笑)、どうしても負けた側にシンパシーを感じてしまいます。ですから仰る様に、「風と共に去りぬ」でアメリカ南部側にシンパシーを感じてしまうのでしょうね。

今から16年前の話ですが、「同窓会大量殺人未遂事件」(http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/dousoukai.htm)というのがマスメディアを賑わせましたよね。中学を卒業してから12年後、一人の人間が幹事となって同窓会を主催したものの、同窓会の場にその幹事は出席していなかった。実はその時間、”彼”は警察に身柄を拘束され取り調べを受けている最中で、その容疑は「砒素入りビールや爆弾を用意し、同級生達を皆殺しにしようとしていた。」というもの。同級生達は虐めが在った事実は認めたものの、「まさか、それを未だに恨んでいるとは思ってもいなかった。」といった証言をしていたと記憶しています。この様に「虐めた側はその事実を直ぐ忘れてしまうも、虐められた側はずっと忘れない。」というのはまま在る事。戦争の被害者というのも同じだと思います。
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Unknown (アラメイン伯)
2007-12-16 22:24:04
このドラマ好きです。
私のご先祖様が土佐藩士で会津まで戦いにいったということもありますが、それはそれとして。


滅びの美学とか武士道とか云々はともかく。
戊辰戦争ってどうなの?と思います。
官軍って会津の戦死者もろくに埋葬せず風葬にしたとか・・
何かこう武士道を感じさせるものが戊辰戦争では感じられない。

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白虎隊は (higu)
2007-12-16 22:54:08
今年の正月、テレビ朝日でもドラマ化していましたね。
致しかたないのでしょうが、「勤皇」対「佐幕」という学界では古臭くなってしまったというか、あまり採用されなくなってしまった観点をメインに描かれると、大学で歴史を学んだ人間としては少し見る気が萎えてしまいます。その方がドラマとしてや、幕末ファン向けには良いのかも知れませんが、もう少し近年の研究の成果を取り入れた作品が出てきて欲しいです。
これも少し近年では異論が出ていますが、「中央集権的近代国家」対「諸藩連合国家」という観点から、仙台藩や米沢藩を主役に据えた戊辰戦争(東北戦争)のドラマなど、「中央」と「地方」の格差が言われる昨今ですから、私的には面白いのではないかと思います。

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>higu様 (giants-55)
2007-12-17 00:03:20
書き込み有難う御座いました。

正月に放送されたドラマは自分も見ましたが、「うーん。」という感じでしたね。”必殺シリーズ”の様な時代劇ならばSF調を盛り込むのも在りだと思うのですが、一応は「本格派時代劇」という売りだった筈の番組があれではねえ。

「忠臣蔵」では憎々しい悪役の吉良上野介ですが、近年では「人心を掌握していた名君」という評価がそれなりに知れ渡る様になりました。逆に「悲劇の殿様」とされていた浅野内匠頭は、「異常な迄の癇癪持ちだった。」等のマイナス要因が指摘され出していますよね。それでも「忠臣蔵」のドラマ等が製作されると「ヒール:吉良、ベビーフェイス:浅野」というパターンが踏襲されているというのは、変化を望まない国民性故の事なのでしょうか。
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リンク先拝見しました!! (パピプペ・ヨンジュン)
2007-12-17 00:07:19
ありがとうございました。そして久しぶりの書き込みにも関わらず挨拶ナシだったことも重ね重ねお詫びいたします。
この事件は佐賀で起こったものだったんですね。佐賀といえばつい最近でも病院での発砲事件で標的のヤクザと間違われた一般市民が犠牲になったり、かつては同じ肥前の国だったお隣長崎でも佐世保のスポーツクラブでの発砲で二人の方が犠牲になった挙句、犯人も自殺、そして伊藤一長長崎市長暗殺と最近肥前地区で銃関連の事件が多く、怖いイメージが付きまといますね。
その中でも最新の佐世保のスポーツクラブの件は犯人がやはり犠牲者の男性に恨みを抱いていたみたいです。もはや昔のように喧嘩も怖くてできない時代ですよね。
私が55さんと同じ様にアメリカ南部にシンパシーを感じるのはやはりメンタル面で多くの共通性をもち、
とりわけ日本人と南部白人が「被害者であり加害者でもあった。」というところでしょうか。戦争の敗者でありながら方や黒人を奴隷にして過酷な境地に追いやッった立場、方や食うか食われるかの時代とはいえ、中国に侵略した立場で痛し痒しのところがあるでしょうね。
冬場の南京陥落時に夏服の兵士が民間人を虐殺する写真には疑問を抱くものの、戦争が綺麗ごとですまないことも確かで怒れる中国民衆に石原慎太郎バリに「真っ赤な嘘だ。」なんてうかつにもいえませんものね。
話が大幅に脱線して申し訳ありませんでしたが「白虎隊」をはじめとして「平家物語」の敦盛や「沖縄戦」で志願した中学生の話をきくと戦争は子供であれ情け容赦ナシなのだなと恐ろしくもなり、悲しくも感じます。
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