ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

好景気と言うけれど・・・

2007年02月02日 | 時事ネタ関連
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① 日米同盟が強化された。
② 自民党が選挙で圧勝した。
③ 民営化が政治的争点になった。
④ ベンチャー企業の社長逮捕。
⑤ 首相が戦後政治との決別を表明。
⑥ 天皇と皇室への関心が高まった。
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以上の6項目を読んだ貴方の脳裏に、パッと浮かんだ時代は?恐らく或る年齢を境に、思い浮かんだ時代は2つに大別されるだろう。若い人達は「最近の日本に関する出来事じゃないか。」と、そして自分を含めた中・高年世代だと「1980年代後半から1990年代初めにかけての好景気時代、即ちバブル景気に沸いていた頃の日本の出来事。」を思い浮かべる人達が多いのではないだろうか。

AERA(1月29日号)」に「80年代からの手紙」という特集が組まれていた。上記した6項目は、同志社大学法学部の村田晃嗣教授(政治学)が昨年末に出版した「プレイバック1980年代」の冒頭で、「これは何時の時代の事だと思うか?」と読者に提示された質問だという。

「日米同盟が強化されたきっかけは『ブッシュ小泉』では無く、『ロン・ヤス』のロナルド・レーガン大統領と中曽根康弘首相の頃から。」で、「郵政道路公団に限らず、80年代には国鉄電電公社が民営化。され、「嘗て新興企業だったリクルート江副浩正前会長(当時)が逮捕されたのは1989年。」の事だった。「当時の中曽根首相が『戦後政治の総決算』を唱えれば、安倍晋三首相は『戦後レジームからの脱却』を宣言。」し、「昭和天皇の死去で皇室への関心が高まったのが1989年ならば、最近は雅子さんの病状や、紀子さん男児出産前後の皇位継承問題が注目を集める。」等、1980年代末と現在はとても似通った”空気”を持っているのだ。

村田教授がこの本を書いた理由は、「今の学生に80年代を知って貰いたいと思って書いた。嘗て経済的に成功した事実には自信を持って良い。今極端に萎縮しがちな学生が、前向きになれるムードになると思うから。」というもの。しかし似通った空気を持ちながら、80年代末と現在では微妙に異なる差異が存在しているのではないか?と(AERAの)記事では記している。

バブル期の頃は「東京24区」と称され、地価が高騰し続けた長野県の軽井沢。しかしバブルが弾けて以降は、1坪当たりの地価が2004年迄の約10年間下がり続けたという。人気の鹿島ノ森地区でも、ピーク時の約10分の1に当たる約17万円に迄地価は下落したのだが、2004年暮れからは一転して上昇傾向に入り、今は1坪50~60万円に。唯、家や別荘の買い手の”中身”が、80年代末とは明らかに違うそうで、バブル期は「余った資金の使い道に困った企業が、転売目的で軽井沢の土地を買い漁った。」のが専らとすれば、最近の購入者は価値在る物だけに金を注ぐ、言わば和製ボボス(アメリカの新上流階級)が主とか。

又、経済ジャーナリストの財部誠一氏によると、「近年、業績が良い企業の共通点は国際企業。」とし、自動車、商社、家電の各社はその売上の半分以上が海外で在り、決算書類上では業績好調でも設備投資は海外に廻される等、思った程国内に資金が廻らないので、”いざなぎ景気”超えという好景気を多くが実感出来ないのではないか。としている。

80年代末からのバブル期は、若者も参加していた「国民総バブル」状態だったのが、今のバブルの担い手は和製ボボスや団塊の世代六本木ヒルズ族に代表されるニュー・リッチといった極めて限られた層だけではないかという指摘も在る。解雇の不安に怯えつつ、長い不況に耐え、少子高齢化は進み、階層化が年々鮮明になる中、一部の新上流階級だけがバブル再来を享受し、多くの国民は景気回復の実感さえ持てない世の中なのではないかと。

2月に公開予定の映画「バブルへGO!! ~タイムマシンはドラム式~」の監督で在る馬場康夫氏(ホイチョイ・プロダクションズ代表)は、バブル崩壊後の「失われた10年」を若者殺しの時代、時代の中心に若者不在の状況が続いていたとしている。唯、バブル期を楽しんだ若者達の子供が早ければ20歳前後に成長している今、若者不在の風潮から脱却する兆しが見え始めているとも。馬場氏は1980年代当時のベストセラー「なんとなく、クリスタル」に擬え、今の20歳前後の若者達を「クリスタルの子供達と呼び、「『クリスタルの子供達』は親から引き継いだ文化をストックしている。次の時代の消費を担う存在になる。もっと沢山稼いで、一杯使おう。そんな若者で溢れる時代の方が、今より楽しいとは思う。」とエールを送っている。

又、「繁華街でタクシー待ちに行列し、無意味に浮かれ、地価は永久に上がり続け、ジャパン・アズ・ナンバー・ワンを信じて疑わなかったあの最低な80年代バブルさえ、今のド最低バブルよりはパッとしていただけ気分は良い。『バブル』が媚薬に見えて来るのだ。」と皮肉交じりながらも、記事は嘗てのバブル景気を現状よりは評価しているのだが、これはどうなのだろうか?あのバブル期を正に若者の一人として潜り抜けて来た者としては、未だ現状の方がまともに思える。

記事では「ウォーターフロントの空き地に突如出来たディスコジュリアナ東京』。無駄遣いに見えた建物から『元気さ』や『文化の様な物』が生まれた。」と記しているが、確かにそういう評価も在ろうとは思うし、あの時代の全てが悪かったとは言わない。でも、無根拠に「自分達は最高の存在なのだ!」と思い込み、熱に浮かされた様に永遠の繁栄を信じ込んでいただけというのが、あの時代を生きて来た人達の大半ではなかったろうか。本当に意味の在る時代で、其処から真の自信や次に繋がる何かを少なからずの人間が得ていたならば、此処迄長い”冬の時代”を迎える事は無かったと思うのだが。

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7 コメント

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僕も・・・ (アラメイン伯)
2007-02-02 23:37:30
バブル全盛に二十代の前半を過ごした世代です。
あの時分は本当に楽しかったですね。若かったせいもあるのですが。
確かに現在は似てるといえば似てるのですが、なんか実感がないです。

あの頃は何もかも日本が一番だと信じてる人が多かったです。政治体制も日本型の官僚主導が良いとすら言ってる評論家もいたくらいですから。
今そんな人いません。


まあ景気は浮き沈みあるものですが、あの頃のジュリアナとかを文化とよぶのは少し微妙かな?
単なる流行。
ワンレン・ボディコンの女性は最早いません。

現在の好景気とバブルで違うところは円がそれほど強くない。
好景気といっても個人消費は伸びてないしユーロ高でブランド品の高いこと。円が強くないということは実態としての経済はそれほどでもないってことです。


バブルの反省として投資が不動産にまわったことではないかと考えます。投資が個人消費が伸びるようなとこに行くといいですね。
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クリスタルなんてしらない (おりがみ)
2007-02-03 01:02:35
ジュリアナもホイチョイも田中康夫も知っていたけれど、おりがみの生活実感には無縁の物ばかり。
バイトとボランティアに明け暮れていました。
華やかな物ばかりでなく、クレジットやサラ金で身を持ち崩す人がたくさんいたと記憶しているのであります。

あぶくゼニとはよく言ったもんだと、バブル崩壊を眺めてました。


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お金のゆとりはなくとも心のゆとりは持ちたいですね (マヌケ)
2007-02-03 12:59:35
前年比で見れば少しは給料も上がってるのかもしれませんがほとんどのサラリーマンは景気が落ち込んですぐからのリストラでボーナスなど数十万単位で下がってますから年収じゃ数年前から下がったまま。 マスコミの言う好景気って違うんじゃないかなあ。 企業の業績だけ好転しても社会に還元されなければ、政府は税収が伸びればとりあえずそれでいいんだろうけど。 うちなんかそろいもそろってB級サラリーマンなので打たれ弱いと言いますか、みんな疲弊しちゃってます。 それにあくせくするのをやめてしまった人が多くてそれはそれでいいのかもしれませんが、やる気のない人が多く・・・ここ数年はがんばっても報われないことが仕事上多かったからでしょうが、若い人が元気がない。 社会全体がこんなだったら大変だと思います。 あのバブル期は私も20代前半で元気ビンビンでしたが、バブルとは特に関係なく世の中がなんだか騒がしいなあという感じでした。 みんなと同じことをするのがあまり好きではない性質なので踊る事もなく踊らされる事もありませんでした。 ただ、お付き合いで無理やり銀行さんからバンクカードなるものを作らされいつのまにか残高もないのにお金が出てくるものだから60万近くの借金が、あれが私のバブルな思い出といえばそうかな。 
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-02-03 13:51:51
書き込み有難うございました。

バブルが弾けて以降、手当てがカットされたり、ボーナスの下げられたりと、年間収入は確実に下げら続けていましたから、好景気に転じたと言われても一寸やそっとの収入アップではそれを実感するのは厳しいものが在りますよね。おまけに控除される項目が減らされたり、税金が上がったりしているのですから尚更です。

小泉政権以降、国の視点が国民から企業に大きく移って行った様に感じます。だからこそ、経団連の申し入れには唯々諾々と盲目的に政府は従うのでしょう。「一将功成りて、万骨枯る」という諺が在りますが、「一部の企業や金持ちが益々栄えて、多くの国民が幸福な生活を実感出来ない。」というのでは、この国の未来はどうなってしまうのか心配です。
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やや乱暴だが… (Spa supernova)
2007-02-04 00:00:59
イギリスの90年代後半~現在にも似てますよね。
①レーガンーサッチャー≒クリントン、ブッシューブレア
②民営化の嵐≒ウィンブルドン現象、東欧、中国、インドへの工場流出
③ダイアナブーム≒ダイアナの死、ウィリアム、ハリーを巡る報道合戦

空気という点では80年代の派手だが野暮ったさもあった雰囲気と今のクリーンで無機質な雰囲気はちょっと違うような…

バブルのときは人ごと過ぎてなんじゃらほい、でした。
円については
2003年で1ドル=120円ぐらい、1ユーロ=110~120円?
1987年ぐらいはヨーロッパ通貨は未統一、1ドルって200円ぐらいだったでしょうか?

皇室だと昭和天皇の病気、三笠宮離脱希望騒動、皇太子(現天皇)の子どもたちを巡る明るい雰囲気なんかが思い出されます。

スポーツだと藤田巨人、伊藤みどり、男子マラソン、ラグビー、新体操…。

>若者殺しの時代

確かに。でも50ぐらいのオッサンと話すと「何抜かす、オイルショックの俺らのほうが酷かった、若いモン辛抱足らん」とお前は戦中派(死語)かいな、というようなことを言いますね(苦笑)

まあ時代には相違点いろいろありますわ!!
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追伸 (Spa supernova)
2007-02-04 00:05:49
1989年と今の共通点といえば
フランス首脳の口の悪さ。品のなさ。フランス人=イヤミなヤツのステレオタイプスを地で行く素敵さ(笑)
1989年クレッソン首相「イギリス人はみんなホモ」「日本人はアリ」(記憶違いがあるかも)
2007年大統領候補サルコジ(うんざりするような嫌なやつ)、ロワイヤル(この女も舌禍多し)
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>Spa supernova様 (giants-55)
2007-02-04 01:11:34
書き込み有難うございました。

「歴史は繰り返す」と言いますよね。以前書いた記事「近親憎悪?」(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/a6d18c53ef78665c8f9d829aed9622e6)では、中曽根元首相と小泉前首相の余りにも似通った点を挙げたのですが、「イギリスの90年代後半と現在」も確かに似通った雰囲気は在りますね。

唯、サッチャー元首相とブレア首相を比較すると気付かれるとは思うのですが、あの当時と現在の指導者の顔触れを見比べると、どうしても現在は小粒感が否めない気がします。まあ大粒だから良いと言う訳でも在りませんが(笑)。

クレッソン首相って居ましたねえ。書かれている傲慢な発言の数々、今でも覚えております。
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